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INTERVIEW

Japanese

24emotions

24emotions

"時代を揺るがす、5つの感情"をキャッチコピーに掲げる5人組ガールズ・グループ 24emotions。アジアのマーケットでも競い合えるエンターテイメントを創造するべく、"時代を動かす"をテーマに設立されたアクシーエンターテイメントから今年3月にデビューしたばかりの彼女たちだが、最新MV「mia mia」は再生回数60万を突破、そして来年1月26日に2,000人以上の収容人数を誇るKT Zepp Yokohamaでのワンマン・ライヴを発表している。その前哨戦として8月29日に控える渋谷WWW Xでの1stワンマン公演を目前に、センターを務めるアメイズド・ハルナと、GACKTも手掛けてきたプロデューサーの鮫島 巧に、これまでの活動についてや意気込みを訊いた。

Member:アメイズド・ハルナ
Producer:鮫島 巧
Interviewer:宮﨑 大樹

-鮫島さんは、日本だけでなくアジアのマーケットでも競い合えるエンターテイメントを創造することを志して、アクシーエンターテイメントを設立したそうですね。

鮫島:日本の音楽って、いい意味でも悪い意味でもJ-POPがガラパゴス化しているんですけど、僕はあんまりそれを悲観的に考えていなくて。日本人はすごく器用なので、K-POPの部分をちょっと取ったり、アメリカの文化をちょっと取ったりとかして、それを独自の解釈で構築するのがすごく得意だと思っているんです。だからオリジナルのJ-POPと言われるどの国にもないようなサウンドが構築されている気がしていて。僕らのライヴ・チームがVaundyさんとかSEKAI NO OWARIさん、Mrs. GREEN APPLEさんとかにも関わっているので、いろいろライヴを拝見しているんですけど、若手も含めて実力派だらけで、本当にいいアーティストがたくさんいるので未来は明るいと思っています。

-なるほど。

鮫島:ただ、言語の壁はすごく大きいと思うんですが、K-POPはアメリカでリリースするときもオリジナルの韓国語のパートを残して成功したので、あっちの人も僕らが英語がわからないときに洋楽を聴いていた感覚と同じなんだろうなって。日本語だろうと一緒のことだと思ってます。現段階では、積極的にアメリカを狙おうとか、ヨーロッパを狙おうとかはそこまで意識していないんですけど、アジアに関しては、日本人としてアジアの人に浸透させたいというか、感覚的ですが他人じゃない気がしているんです。なので、僕らの音楽をしっかり届けていきたいという想いがあります。自分はGACKTさんのプロダクションを長い間やってきて、1年の半分くらいはマレーシアやフィリピンを行き来してたこともあるんですけど、フィリピンやマレーシアとかでいろいろ見ていると、そういうところにはまだ音楽のエンターテイメントが行き届いていないんですよね。マレーシアだったら、デパートで演歌みたいな中華系の音楽がかかるか、もしくはK-POPがかかるか、みたいな。

-極端な感じがしますね。

鮫島:ミュージック・シーンが盛り上がっていないということ以外でも、マレーシアとかフィリピンに行ったときって、現地の人が僕らの顔を見ると10年前は "ジャパニーズ?"って聞かれていたんですけど、この4~5年で"コリアン? チャイニーズ?"に変わっちゃったんですよ。アジアで日本が音楽だけではなく、全体的に取り残されているのを肌で感じていて。ガラパコスって形容されてるのはいいところもあるんだけど、やっぱりもっと外に向けて立ち上がらなくちゃいけないなぁと思うことが多々あります。で、25年ぐらいエンターテイメントに関わってきたなかで、自分がアーティストとして出ていくというのは年齢的にも大変ですし、やっぱり若さも強い武器なので、そういったものを考えているときにアイドルというコンテンツがすごく強いなと思ったんです。自分の曲との相性も悪くないので、"時代を動かす"というコンセプトでアクシーエンターテイメントを設立しました。今までは100のアーティストをさらに拡げていくかという仕事だったんですけど、今は本当に0→1なので、まったく似て非なるもので。ものすごく大変なんですけど、やりがいもありますね。

-そういった想いを背負い、アクシーエンターテイメントの第1弾アーティストとして2023年3月にデビューしたのが、ハルナさんが所属する24emotionsということになりますね。改めて、グループについてご紹介をお願いします。

ハルナ:24emotionsは、5人組で活動しているグループです。アイドル経験がある子もいたり、逆にダンス未経験、歌未経験の子もいたり、スキルがバラバラの状態で集まったグループで、アイドル経験者も数人います。集まり方は様々ですが、これがラスト・チャンス、アイドルに対しての最後の挑戦! という意気込みでやっているメンバーが大半なので、全員の気持ちが強いグループだと思います。

-キャッチコピーは"時代を揺るがす、5つの感情"ということですが、どういった想いでこのキャッチコピーになったのでしょうか?

鮫島:さっきの話に通じるアクシーの理念と、アクシー初のグループというところで、時代を動かせるような大きなことを成し遂げたいんです。それが僕のここ10年の目標ではあるんですけど、二番煎じじゃなくて、独自の世界観で切り拓いていくオンリーワンなものを作っていきたい。それで、3rd MV(「Miracle Mirror」)でガラッと路線変更をするときに、このキャッチコピーを作ったんですよ。

-メンバーの選抜はいわゆるオーディション形式だったんですか?

鮫島:ハルナはスカウトなんですけど、他のメンバーは応募があった中から面談していったんです。それで合計20人ぐらいになったところでレッスンを数ヶ月してから、最終的にデビュー・グループとしてこのメンバーに決めました。

-ハルナさんがスカウトされたときの話をうかがえますか?

ハルナ:InstagramのDMでオファーをいただいたんですけど、スカウトのアカウントがフォロワー0、フォロー1ぐらいだったので、最初はよくある怪しい捨てアカかなと思いました(笑)。私はずっとダンスのインストラクターをやっていたんですけど、韓国や中国でオーディションを受けて、最終選考までいっていたのにコロナ禍で全部白紙になっちゃったんです。それで、こういうお仕事は諦めたほうがいいのかなって迷っているときにオファーのDMが来たんですね。私は今23歳なので、年齢的にもちょっと厳しくなってくるから、最後の賭けみたいな形でやってみようと思って。怪しいなぁと思いつつ、ぜひ面接を受けさせていただきたいですと、お返事させていただきました。

-ハルナさんはいわゆるセンター・メンバーですけど、それはいつごろから構想にあったのでしょうか?

鮫島:1stグループなので即戦力になってくれる子が欲しかったのは事実です。実力やキャラクターなど、メンバー全体のバランスを見ていったなかで、ハルナがセンターのときのバランスがすごくいいなと。とはいえセンターとなると僕からも要望が多いので、重圧は相当あると思います(笑)。

ハルナ:(笑)

-メンバーはどういうところを重視して選出していったんですか?

鮫島:研修生は全員デビューさせたい想いでやっています。研修生をふるいにかけて落として選抜していくという考えを極力持ちたくなくて、いずれ全員デビューさせたい。とはいえ、抱えるキャパにも限界があるので、あとはメンバーの組み合わせとかタイミングだなと。そのなかで、1stグループとしてはバランス的にいろんなキャラが欲しいと思ったんですよ。ハルナはとにかくダンスのキレが良くて歌も歌える、ルックスも垢抜けているので強いマルチプレイヤーだなと思って。最年少の(ピースフル・)ユラは最初に会ったときは緊張しちゃって本当に笑わなくて、感情が無みたいな子だったんですけど(笑)、昔からバレエをやっていたので踊りの回転がきれいで軸がしっかりしているので、プロの力を入れてプロデュースしたらものすごく変わるだろうなと。キュートなキャラも欲しかったので、そこがバッチリだった感じですかね。(スーパーハッピー・)サクラは踊りが苦手だったんですけど、歌が上手いし喋りも達者なので、そういう面で使おうと思っていました。

-はい。

鮫島:(クリティカル・)サキは漠然とアイドルになりたいみたいな子だったので、もともとダンスやヴォーカルをやっているとかではなくて。そういう子って意外と途中で折れちゃうことが多いんですけど、彼女は画面を通すと人一倍きれいに映るんですよ。すごくフォトジェニックなので、サキも化けるなと。彼女のいいところをどんどん探していって、いろいろ自信をつけています。最後に入った(セレニティー・)クルミはスタッフからの評判がめちゃくちゃ良かったんです。とにかく頑張っているし、モチベーションも高くて。次のグループで使おうと思っていたんですけど、そのタイミングでクルミしかいないなという総合的な判断でした。入れてみたらすごくバランスが良かったです。彼女はコンプレックスもすごく強い子なんだけど、変わりたいという想いがすごく強かったので、ガラッと変わった雰囲気を作れたひとりかなと思っていますね。グループとして本当に固まったのは1月末ぐらいで。その2週間後にはもうMVの撮影をしていて(笑)、かなり急ピッチでいろんなことを固めていった感じです。

-メンバーが固まってから2週間後ですか。

鮫島:1st(「24emotions」)と2nd(「ふぁびゅらす」)のMVを1日で2本撮りました。だから今観るとちょっと恥ずかしい、垢抜けない状態なんですけど、それも想定済みでしたね。最初は新鮮でフレッシュな状態を閉じ込めようとしたので、MVのクオリティもそこまで上げないで、フレッシュな感じで作ろうと。それで、3rdくらいで垢抜けてきたら、ガラッと変えた感じです。

-言っていただいたように、デビューして間もないタイミングで大きく路線変更がありましたよね。1st MV「24emotions」で王道アイドル的なポップスを歌っていたのが、そこからダンス・ミュージック色を強めていったわけですが、この路線変更をどう感じていましたか?

ハルナ:1st、2ndのときにライヴ活動をさせていただいていたんですけど、なかなか自分たちが思うように結果がついてこなくて、自信をなくしていたんです。そのときに"路線変更をするぞ"って言われて。最初はちょっと戸惑いはあったんですけど、うちらはゼロからスタートしているから、もうこれ以上下がることないし"できるものはとにかくやろう"と5人で話しました。今は路線変更して良かったなと思っています。

鮫島:性格的にも全員アイドルアイドルしていないんですよね(笑)。時間は有限なので、どうやってその場その場で適切且つ大胆な決断をしていくかが大切で。ハルナが言ったように、ゼロからなので何をやったっていいと思っているんです。こっちがダメだったらあっちだね、というので全然いいと。見本がいないところを作ろうとしているから、ものすごく大変です。でも、僕はクリエイターとして彼女たちが真っ白なキャンバスのままでいいなと思っていて。例えばMV監督と会って色をつけてくれたら、スタイリストが衣装を作ってくれたら、こんな景色が見えたからこっちに行こうとか、チームでこのアーティストを作っていくスタイルにしている感じですね。それを僕が取りまとめて判断をしています。