Overseas
JOAN
Member:Alan Thomas(Vo/Gt/Key) Steven Rutherford(Dr/Vo)
Interviewer:菅谷 透
-アジア圏のファンからは、どんな反応を貰いましたか?
Alan:例えばフェスで会場を変えるときに、オーディエンスの中を通って歩かないといけないことがあるんだけど、そういうときにみんな声を掛けてきてくれてさ。アジアにいるという感じがしなくて、アメリカのファンと接してるのと同じような感覚だったんだよね。僕たちとファンはJOANというバンドの何かしらの部分で繋がってると思うんだけど、それがきっとアメリカでもアジアでも同じなんじゃないかなと感じるよ。
Steven:僕たちとファンのみんなとの間に何かブリッジになるようなものがあると思うんだけど、それがきっとアメリカであろうがアジアであろうが共通していて、みんな繋がってるという感じがするんだよね。その感覚はすごく特別なものだし、とても嬉しいよ。
-ここからはアルバム『Superglue』についてうかがいます。シングルやEPなどは多く発表されていると思いますが、今作は初のフル・アルバムになりますね。
Alan:そういうタイミングだったんだと思う。例えば、僕たちの中でJOANとは何かというアイディアを確立したかったし、どんなサウンドでアルバムを作りたいのかもそうだね。さっきも言ったようにバンドのサウンドもどんどん進化していったから、どの時点で僕たちがアルバムとして曲を出したいかというのもいろいろ考えていたんだ。僕たちが持っているアイディアに対して、より心地よさを感じられるような時期というのを待ってたんだと思う。他にもそれぞれ結婚したり、お互い3週間違いで娘が生まれたりしたんだけど、そういうこともあったから自分たちの世界観がいい意味で変わってきて、いろいろと大きな問いやアイディアが浮かんできたんだ。人としてどうあるべきなのか、子供のためにどんな人生にしていきたいのかといったことや、妻や家族についてもそうだし、バンドについてもそうだし、いろんなことを考える時間があった。それらを踏まえたうえで、今アルバムを書いてもいいんじゃないかなって思える時期が来たから、アルバムを書くことにしたんだ。
-"Superglue(強力接着剤)"というタイトルの由来についてうかがえますか?
Alan:(表題曲の)「Superglue」が由来だね。僕たちの友人のFLEURIEと一緒にセッションして作った曲だよ。そのときは僕たちふたりとも子供がいて、さっきも言ったようにいろいろなことを考えるようになっていた。答えがわからないこともあるし、人生とはなんだろうと考えることもあったね。僕たちは同じような人生のステージを歩んでいたから、似たようなことを考えていた。それでふと娘の顔を見たとき、彼女が答えを知っているような気分になったんだ。バラバラになってしまったものをくっつけてくれる接着剤(glue)が、僕たちにとっては娘だった。みんなにとってはそれぞれ違ってくると思うし、それが何になるのかはわからないけれど、みんなが迷ってたり、崩れたりしているときに繋ぎ留めてくれるような存在が"Superglue"だね。
-なるほど。お話を聞いて日本の"子はかすがい"ということわざを思い出したんですが、子供が重要な役割を果たすというのは万国共通なのかもしれないですね。
Alan:それは興味深いね。そういえば3~4歳くらいの子供たちがみんなで歩いているのを見たんだけど、2年くらい前までは、そういうのを見ても"子供はかわいいな"くらいにしか思わなかったんだ。でも実際自分が子供を持つと、ひとりひとりが本当にかわいくてね。その子たちを見たときも自分の娘が恋しくなったんだけどさ。特に文化も言語も違う国で子供を見ると、また特別な感じがするよ。
-アルバムでは、サウンド面でも大きな変化を見せています。例えば「Loner」ではポップ・パンクのような雰囲気だったり、アコースティック・ギターをフィーチャーした楽曲があったりと、バンドらしさが感じられる仕上がりになっていますが、アレンジメントではどのようなことを意識しましたか?
Alan:型にはまるようなことはしたくなかったんだ。僕たちはひとつのサウンドに絞って曲を書くことはしないからね。例えばJOAN=レトロだとか、80sだとか思われるのはかまわないけど、それを目指しているわけでは決してないんだ。プロデューサー/ライターとして、エゴはないけれど、いい意味で僕たちはいろんなことができると思っているよ。自分たちが受けてきた影響を全部生かして、自分たちだからこそできる曲を作っていきたいんだ。デビューしてから常に新しいJOANをみんなに見せていきたいという気持ちがあるし、リサイクルしたものを使うというのは、僕たちがやりたいことではないね。僕たちにとっても新しいものをずっと書き続けていきたいし、影響を自然に出しながらも僕たちがいいと思う、そのときに僕たちが作ることができるベストなものを作っていきたいということを意識しているんだ。だから次のアルバムはまったく違うものになるかもしれないけど、ひとつ共通して言えるのが、タイムレスなものを作るのが自分たちにとってのゴールだね。例えば「Loner」を20年後に聴いたとしても、「Loner」を書いた日と同じフィーリングを得られるような、ちょっと鳥肌が立ってあの日どうだったのかが蘇るような、そういうメロディや歌詞を書いていくのが自分たちの中での唯一のゴールだよ。
-今作の中からお気に入りの曲をそれぞれ教えていただけますか?
Alan:「Superglue」だね。僕たちが今まで書いた中でベストな曲だと思っているよ。
Steven:「Flowers」かな。
Alan:それはわかる気がするよ。
Steven:僕にとってスペシャルに感じられる曲なんだ。アルバムの曲の中でも最後に書いた曲だけど、アルバム全体を支えるような曲になっているよ。
Alan:そうだね。あの曲の歌詞はアルバムの中で一番いいかもしれない。Stevenとアイディアを出し合って、お互いチャレンジし合ったんだ。普段そういうことはしないんだけど、メタファーを持たせたり、ストーリーテリングしたり、すごくいろんな要素を入れることができたね。
-ありがとうございます。そろそろお時間となってしまいましたので、最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
Alan:OK。(※改まって)日本のファンのみんな!
Steven:(笑)
Alan:(笑)こんなアメリカの小さな州から出てきた僕たちの音楽を、地球の反対側でも興味を持って聴いてくれていることが本当に嬉しいよ。この美しい国はすごくリスペクトに溢れていて、みんなが親切で、素晴らしいところだ。遠く離れたところから来た僕たちも、ホームのような気持ちにさせてくれていることが本当に嬉しいよ。みんな、ありがとう。JOANより愛を込めて。
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