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INTERVIEW

Japanese

butterfly inthe stomach

2021年01月号掲載

butterfly inthe stomach

Member:小野 雄一郎(Vo/Gt) 中江 太郎(Dr/Cho)

Interviewer:稲垣 遥

ヘッドフォンやスピーカーなどのオーディオ・アクセサリーを手掛けるALPEXとSkream!がタッグを組んで実施した、オーディション型ライヴ・イベント"ALPEX FESTIVAL2019 supported by Skream!"。同企画で見事優勝を勝ち取った2人組がbutterfly inthe stomachだ。ヴォーカル&ギターの小野雄一郎は、ザ・チャレンジでは青サングラスをかけ"チャレンジオノマック"を名乗り、渡會将士と水野創太とのヴォーカル・グループ HANDSOMEでも活動中。そして、もう一方のドラマー 中江太郎は数々のシンガー・ソングライターや歌い手、バンドのサポート・アーティストとしても幅広い信頼を得ている。そんな確かな実力を持つふたりからなるロック・デュオ"バタスト"に、このたびSkream!が初インタビュー。バタストの成り立ちや楽曲について、"ALPEX FESTIVAL"について、優勝特典の商品PVについてなど、たっぷり話してもらった。

-まず、約1年前の話にはなりますが、"ALPEX FESTIVAL2019"で優勝されたときのお気持ちから教えていただければなと思います。

小野:僕ら賞レースといいますか、優劣を決めるものに出たことが1回もなかったので、純粋に"選んでもらえるんだ"みたいな驚きがありました。2人組だし、ライヴハウスで横一列になっていろんなバンドとやるには弱点も多いので、その中で選んでもらえたのが嬉しかったです。

中江:実際ライヴしてるときは、賞レースっぽい気持ちにそんなにならなかったのが良かったなっていう。

-普段のライヴと同じような感覚でやれたというか。

中江:そうですね。なんなら予選も決勝も20分とかで、普通のイベントだとだいたいが持ち時間30分以上の中で、それよりもずっと短い20分で俺ららしいことってどうやるか、考えながら予選をやって。それが結構良くって、じゃあ決勝でも同じ曲でやろうということでセトリも変えなかったんです。だから、20分で見せられる自分たちみたいなところをちゃんとやれたのかなって。

-コンテスト・イベントへの参加は、"ALPEX FESTIVAL2019"が初めてだったという話もありましたけど、今回なんで応募してみようってなったんですか?

小野:ALPEXの染谷(浩之)さんという方が"ライヴ観に行ってもいいですか?"と突然連絡をくださいまして。オファーはいろいろいただくんですけど、そのときは概要とか云々よりも、"とりあえずライヴ観させてもらっていいですか?"みたいな感じだったんです。足を運んでくださる外部の方なんてまずほとんどいないので、そこで"おぉっ"と思って。で、そのまま話を聞かせていただくうちに、イヤホン・メーカーでこういうことをやるんだけど、どうかな? と"ALPEX FESTIVAL"を紹介していただいたんです。たぶん染谷さんじゃなかったらお断りしてただろうなっていう感じで。

中江:そういうのにあんまり気乗りするタイプじゃないもんね。

小野:どちらかというと断りたくなっちゃうほうなんですけど。

-それはどうしてですか?

小野:あんまり順位とかつけるのが好きじゃない、温厚な性格なので......。

中江:(笑)

小野:今までだったらたぶん断ってたと思うんですけど、実際お会いして熱意とかもダイレクトに受け止められたので、やったことないしやってみようかなという気持ちになりました。

中江:僕は単純にイヤホンが好きなんです。イヤホンのメーカーがこういうイベントをやろうとしてて、優勝するとそのメーカーと一緒に何かをできるっていうのが面白そうだなと思いましたね。

-なるほど。そんなバタスト(butterfly inthe stomach)なのですが、結成自体は結構前で、活動を重ねてきたロック・デュオなんですよね。ふたりで動き出したのは2013年ですが、もともとは小野さんが別のメンバーと組んでいたバンドということで、そこからどういうふうに太郎さんが加入されたんですか?

小野:もともと3ピースのバンドだったんですけど、メンバーがふたり抜けて、どうしようかな? って。バンドの名前自体はもうちょっと残して頑張りたいなっていう気持ちが当時あって、そのタイミングで太郎君が連絡をくれたんです。それは偶然のひとつで、彼は彼で東京に来てて(※それまで中江は大阪を拠点に音楽活動をしていた)。

中江:音楽活動どうしよっかな? と思ってて。

小野:その"どうしよう?"っていうタイミングが一緒で、連絡をくれて、いろいろ話しているうちに、ちょっとやってみようかと。最初は他のメンバーも探してたんですけど、気づけばふたりだけでやってて(笑)。

-そうなんですね。このベースレスのふたりの編成っていうのは意図したものだったのかな? と気になってました。

小野:未だにメンバーを探してるテイです。

中江:はははは(笑)! 探してないんですけどね。

小野:"ドラクエ"みたいにちょっとずつ仲間が増えていくストーリーを、なんとなく思い描いてたんですけど、ずーっとふたりで冒険してるっていう感じです(笑)。

-ふたりで活動するアイディアが何かあったわけではないんですね。

小野:ないですね。

-じゃあ今の音楽の方向性を決めるにあたって試行錯誤が結構あった感じですか。

小野:うん。めちゃくちゃありましたし、今もやっぱりそこはずっとありますね。

-具体的には、例えばローが足りないんじゃないかとか?

小野:そうですね(笑)。ローが足りないのもそうだし、2人組でもかっこいいバンドとかがいるじゃないですか。特に最近どんどん増えてきてて。だけど、自分たちはそこと違うんだなっていうのを思ったんです。結局そういう人たちのセオリーには僕らは当てはまらなくって。それは好きなものだったり、スキルとかの影響もあったりすると思うんですけど。ふたりでやるのは無理があるなかで、どこまで楽しむかみたいな。"ふたりだからかっこいい"っていうのとはちょっと違う感じなんですよね。

-好きなものって話も出ましたけど、おふたりはどういう音楽を聴いてきたんですか?

小野:バンドをやりたいと思ったきっかけはTHE YELLOW MONKEYや、L'Arc~en~Ciel。90年代後半の日本のロック・バンドに心を打たれて始まったんで、決してTHE WHITE STRIPESがめちゃめちゃ好きですとか、そういうことではなかったです(笑)。

-特段2ピースに憧れたというわけではないと。太郎さんはいかがですか?

中江:世代的には一緒なんで、イエモン(THE YELLOW MONKEY)はまさに一緒で、最初にスタジオ入ったときにやったりもしたし、あと僕はスターダスト☆レビュー、マッキー(槇原敬之)とかTHE歌モノをちっちゃいときから聴いてて。育ちが沖縄なんで、CARPENTERSとか、アメリカの音楽もいっぱい聴いてましたね。

-そうなんですね。では、今のふたりの音楽を作るにあたってはどういうところを意識していますか?

小野:年単位とかでどんどん変わっていってるんですけど、基本的にはギターとドラムが塊になっているよりは、ギターはギターでかっこ良くてドラムはドラムでかっこ良くて、歌が真ん中にあるっていう。一緒の方向に向かっていくっていうよりは、こっちは任せたから、こっちは俺がやる! みたいな。

-それぞれがプレイヤーとしても魅せられるような。

小野:はい。そうですね。

-バタストの音楽はふたりだからといって、パワーで押す感じではなく、かといって打ち込み要素が強いものでもなくて、生楽器のバンド感があるなってすごく感じたんですよ。それはその意識の影響もあるのかもしれませんね。

小野:ありがとうございます(※小声)。

-(笑)小野さんは、ザ・チャレンジや、ヴォーカル・ユニット HANDSOMEでも活動されていますけど、バタストの楽曲はふたり編成だからというのはあると思うんですが、どちらともちょっと違った印象です。そこは考慮しているところがあるんですか?

小野:そうですね。バタストの曲作りでは、ギターがどう鳴っているかっていうのが一番気にしているところで。最初ふたりで始めて、"なんでこの曲はふたりでもできるのに、この曲はふたりでできないんだろう?"っていうのがわりと多かったんです。それがしかも主観なので、はたから聴いたら別にわかんないところだったりもするんですけど、自分の中でこれはOKだけど、これはダメだっていうのがあって。それをやっていくうちにだんだんわかってきたんですよね。なので、バタストの曲に関してはその"OK!"っていうところにいかせるというか。

-例えば、どういう部分でしょう。

小野:昔は、ギターは6弦が絶対鳴ってないといけないのかなって思ってて、そこを意識して、使えないコードがあったり、チューニングを変えないとプレイができなかったりしたんですけど、最近ちょっと違うのかなと感じてきました。トライ&エラーというか、発見しては立ち止まって考えて"あ、そういうことか"って進んでいくというか。2人組で気持ち良くなるところが一番大事です。

-そこは太郎さんと話したりするんですか?

小野:してますね。(中江は)"大丈夫じゃない?"って言うときもあるし、"たしかに"って言うときもあるし。意見を共有してくれてると思ってます。

-太郎さんはドラマーとして、いろんなアーティストのサポートで活動もしていますが、2人組というところで他とは違う部分はありますか?

中江:概念がめちゃくちゃ変わったのは、レコーディングするときにベースとドラムで録るのがベーシックと言ったりするけど、歌う人が弾く楽器とドラムが録るのが一番ベーシックなんだろうなと。メトロノームでリズムをとる位置はふたりで全然違うけど、結局一緒に演奏するのはふたりなわけだし、だったらそれを一緒にバッと録るのがいいなって感じました。ベースがいない形で自分がやるとは思ってなかったし、やりたいと思ってやったわけでもなかったけど、今結局そのなかで楽しめてるんですよね。最初はそこからベースのいるバンドのサポートに行くと音が多くて"あれ? どこに落としどころがあるんだ?"みたいにずっと探ってる時期もあったけど。2人組の場合はそれで言うともう落としたところが落としどころになるから、それを擦り合わせるって意味では一番シンプルだし、うまくいくときといかないときがわかりやすいくらい。

-たしかにそうですね。他の音との兼ね合いっていう意味ではギターのことだけ気にしたらいいというか。

中江:そうそう。バランスとか多数決とかがないんで、そのへんは、ならではで面白いなって。ただ歌が真ん中にいるっていうとこだけあるんで、そのうえで演奏的に楽しめればと。

-そういう工夫があったうえで、2人組ならではみたいなところを突き詰めようとしなかったのがまた面白いですね。

小野:そうなんですよね。まぁできた......まぁまぁいいや。

-......できればやりたかったですか(笑)?

小野:(笑)やってみたいなっていうのももちろんあったんですけど。ルーパーを使ってみるとか。でも、それをするとやっぱねぇ......歌えなくなっちゃうんですよね。

中江:(笑)

小野:"何が起こってるんだ!?"みたいな。なるべく足下は1個か2個にしときたいなぁって(笑)。