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INTERVIEW

Japanese

里緒

2018年09月号掲載

里緒

インタビュアー:蜂須賀 ちなみ

名古屋在住のシンガー・ソングライター 里緒が、初の全国流通盤『青と青と青』をリリースする。この作品がとてもいい。無垢な声質でありながらも"きれいに歌うこと"に終始しないような表現力のあるヴォーカル。比喩を巧みに使いながら内省的な世界を綴る歌詞。楽曲の表情を引き立たせるサウンドメイキング。起承転結を描くミニ・アルバムとしての構成力。どこをとってもセンス抜群だ。しかし――先ほどは便宜上"シンガー・ソングライター"と書いたが、彼女は"「シンガー・ソングライターです」と自分から言うのが恥ずかしい"という理由で"うたうひと"と名乗っている。そんなエピソードからも、また歌詞の内容からも読み取れるように、彼女の劣等感はとてつもなく大きいようだ。いったいどうしてなのだろう? 本人に直接訊いてみた。

-そもそも、どういう経緯で歌を歌うようになったんですか?

YUIがめちゃくちゃ好きで、"YUIみたいになりたい!"と思って始めました。小4からギターを始めて、そのときからずっとYUIの曲だけをコピーしてましたね。エレキ・ギターから始めたんですけど、途中でアコギに持ち替えたときに、なんか"歌えるんじゃね?"みたいに思って(笑)。そういうノリで弾き語りをするようになりました。それが小6ぐらいですね。

-今の曲からはYUIの影響はそれほど感じられませんけど。

そうですね。変わったのは高校入ってからぐらいですかね。

-どうして変わっていったんでしょう。中学までと高校以降で、例えばご自身の性格って結構変わりましたか?

変わりましたね。普通にだんだん性格が捻くれていったっていうのもあるんですけど......。中学のときとかはめっちゃ夢を見てて、"大きいところで歌いたい"、"テレビに出たい"っていうふうに思ってたんですよ。

-誰かに聴かせてみたりはしました?

いや、勝手にひとりで弾いて、自分で聴いて満足、みたいな感じでした。でも、曲を作って完成したときに"これはいい曲だから絶対もっといろいろな人に聴いてもらえた方がいいんじゃないかな"っていうふうにも思ってて。でも、すぐ行動はできなかったですね。"もうちょっと練習してから"って思ったので、中学の間は練習期間にして、高校に入ってから(ライヴハウスに)出る、みたいな。

-いいですね、夢に向かっていってる感じがあって。

でもだんだん現実が見えてきて"私なんてどうせ......"みたいな気持ちになっていったんですよ。それに、ライヴハウスとかにも結構行くようになったら"あ、こんな人たちがいるんだ"、"ちょっと自分でも調べてみよう"ってなって。それで小南泰葉さんとか、Suck a Stew Dry(※現THURSDAY'S YOUTH)、3markets[ ]みたいなちょっとアングラ系を聴くようになっていったんですけど、そうやっていろいろ聴くようになってから"こっちの方が嘘がない"って気づいたんですよね。

-そういうふうに気づけたきっかけってありました?

1回ライヴをやって、これじゃない感が自分の中ですごくあったんですよ。それで、そのときあった曲を完全に全部捨てて書き直しましたね。新しい曲もわりとすんなり書けて。

-それが高1のころのことだと。ちなみに、クラスの中ではどういう性格でしたか?

小学校のときはめっちゃ明るくてみんな友達だったというか、クラスの中心みたいな感じでしたね。中学はあんまり憶えてないんですけど、高校から完全にもう、トイレでお弁当食べるくらいになって。

-その時期ってつらかったですか?

つらくはなかったんですけど、つまらないなぁとは思ってました。喋り相手も自分から探そうと思えば探せたはずなんですけど、それをしなかったのはたぶん、そのクラスや学校の中に深く関わりたいと思う人間がいなかったからで。

-逆に言うと、中学生のころまでは"この人と深く関わりたいかどうか"を基準に人と付き合っていたわけではなかったんですかね?

うーん......そのときは"友達といないと恥ずかしい"みたいな気持ちがあって、"とりあえず近くに誰か置いておかないと"みたいな感覚だったというか。それでめっちゃ気を遣って話したりしてたんですけど、高校に入ってから"これってめっちゃ面倒臭くね?"みたいなことに気づいたんですよね(笑)。"別にごはんをどこで食べてもおなかいっぱいになれれば一緒じゃん"みたいな。

-なるほど。今回収録されている曲で一番古い曲はどれですか?

最後の「何」ですね。書いたのは1年以上前だったかなと思います。これが一番素なのかな。

-他の曲はわりと抽象的ですけど、この曲は一番ストレートだと思います。歌詞を読んで思ったのは、コンプレックスが相当根深いんだろうなぁってことで。

常に闇落ちをしているので、曲作ってるときはそういう表現ばっかりになっちゃいますね。"もう早く死にたい"みたいなことを家にひとりでいるときとかにずっと考えちゃいます。

-何に対してそんなにコンプレックスを抱いているんですかね?

一番は外見なんですけど、性格もです。だから全部ですね。

-外見に対するコンプレックスはいつごろからですか?

高3ぐらいですね。単純に写真とか撮ったのを見たときに"うわ、めっちゃブスだなぁ"みたいなことを思うようになって。ステージ立ってると人から見られるじゃないですか。"見られる側の人間なのになんでこんななんだろう"って思っちゃって。

-アー写もうつむいている写真が多いように思います。

真正面からが無理になっちゃったんですよね。だから真正面の写真の場合はゴリッゴリに加工してます(笑)。前まではわりと平気だったんですけど、私はブスなんだって思い始めたころから写真も怖いし、動画なんてもう......。今回の「花」のミュージック・ビデオとかもわりと自分的にはもう......"あぁ~"って感じで。"もっときれいでいないといけないのになぁ......"って。