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INTERVIEW

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SLEIGH BELLS

 

SLEIGH BELLS

Member:Alexis Krauss(Vo)

Interviewer:山口 智男

メタルコア・バンドの元ギタリストとガールズ・グループ出身の女性シンガーが2009年に結成したニューヨークのエレクトロ・パンク・デュオ、SLEIGH BELLSが前作『Bitter Rivals』から3年ぶりとなる新作『Jessica Rabbit』をリリース。外部クリエイターとの共作を含め、自ら変化を求めて新しいことにいろいろ挑戦した結果、4作目のアルバムとなる今回は前作以上にオープン・マインドな作品になっている。より多くのリスナーにアピールできる今回の作風を考えると、エレクトロ・パンクという言葉は彼らにとってもはや窮屈なものなのかもしれない。この3年の間にSLEIGH BELLSは大きな転機を迎えたようだ。

-3年ぶりの新作『Jessica Rabbit』を完成させた現在の心境は?

作品にはすごく満足しているし、自信もあるわ。3年かかったのは、自分たちが次の作品をリリースするにはまだ準備ができていないと思ったからで、自分たちが完全に納得できるまで曲を書き続けてレコーディングしたかったの。ビジネスの面でもいろいろあって、結果として自分たちのレーベルを作ってそこからリリースすることになったしね。自分たちが次にどんな音楽を発信したいかを見つけだすのにも時間がかかったし、何回も作り直したり変えたりもしたし、今回は、一番初めのレコーディングから最終的に曲ができあがるまでに、今までで一番時間がかかったレコードなの。

-SLEIGH BELLSはこれまで1、2年おきにアルバムをリリースしてきましたが、今回はなぜ3年空いてしまったのでしょうか、と聞こうと思っていたのですが、そういうことだったんですね。

そう。プロセスが今までとは違ったのよ。でも、3年なんて余裕でかかるバンドもいるし、私たちにも納得のできるベストなレコードを作ってリリースするのに、今回は3年という期間が必要だったのよね。

-今回は自主レーベルからの第1弾作品ということで、これまで以上に気合が入っていたのでは?

誰からのサポートもないし、予算もないし、気合は入れる必要があったわ(笑)。自分たちですべてを決めることができるぶん、責任もすべて自分たちにあったわね。

Mom+Popを離れ、自主レーベルを始めたのは、なぜ?

彼らとの関係がこじれてレーベルを出たわけではないのよ。あのレーベルからはもう3枚もアルバムをリリースしたし、ちょっと変化が欲しかったから自主レーベルを始めることにしたの。今回のアルバムで自分たちが達成したかったことと、レーベルが達成してほしかったことが結構違ったのよね。私たちは、今回のアルバムでいろいろなことに挑戦したかった。ラジオのためのアルバムは作りたくなかったの。だから、自分たちが作りたい作品が作れる環境に自分たちを置くことにしたのよ。デジタルが主流になった今、多くのアーティストにとってセルフ・リリースがすごくやりやすくなっている時代でもあるしね。

-自主レーベルのレーベル名と同じ「Torn Clean」という曲が2曲目に収録されていますね。"Torn Clean"をレーベル名に選んだ理由は?

ヴィジュアル的にもすごく目を引く言葉だと思ったの。ヴァイオレントな言葉とピースフルな言葉がひとつになっているから、ちょっと変な感じがするし、それが人の注意を引くと思ったのよ。激しさと平穏の両方を持っている言葉だから。あと、単純にあの曲が私のお気に入りの曲だからっていうのもあるわ。私たちの新しい音楽の象徴という意味でも、あのタイトルがいいんじゃないかと思ったのよね。

-『Jessica Rabbit』の曲作りはいつごろ、どんなふうに始めましたか?

曲作りを始めたのは、前回のアルバムのツアー中だったの。だから、2013年ね。ツアーの間、曲を書き続けて、最初のレコーディングをやったのはサンフランシスコだったわ。友達が経営しているスタジオでレコーディングしたの。そのときは、「Baptism By Fire」(Track.12)や「Rule Number One」(Track.11)を録ったのよ。それで、2015年の終わりまでには、たぶん30曲くらいレコーディングしていたわね。そこからベスト・ソングとワースト・ソングを選んでいったの(笑)。でも、アルバムのマスタリングが始まる1週間前まではずっと曲を書き続けていたわ。

-曲の作り方はこれまでと変わらず?

今回は、よりイコールな曲の書き方だったわ。前回のアルバムよりも、私とDerek(Miller/Gt)のふたりで一緒に書いた曲が断然多い。だからこのアルバムは、今まで以上にふたりのコラボレーションって感じなの。あと、今回は、いろいろなことを試すのにすごくオープンだったわね。自分たちのサウンドがある程度確立されていると、それを崩すことを恐れたり、それを変えることでリスナーをがっかりさせてしまうんじゃないかという不安から、なかなか枠を超えられないってことも多々あったりすると思うの。でも、今回はあまりそれを気にしなかったわ。私自身がお気に入りのアーティストたちもそうやってオリジナルのサウンドを作り出しているし、他とは違う面白い作品を生み出している。今回の私たちのアルバムもそういう作品になっているんだけど、みんながそれを理解して受け入れてくれたら嬉しいわ。

-資料によると、Track.4「I Can't Stand You Anymore」と「Baptism By Fire」の2曲でMike Elizondo(※ヒップホップを中心にロックも手掛けるプロデューサー)と共作しています。SLEIGH BELLSが外部のクリエイターと共作するのは初めてではないかと思うのですが、それをやってみようと思ったきっかけ、あるいは理由を教えてください。

彼は「I Can Only Stare」(Track.7)にも参加しているわ。アルバムのプロデューサーでもあるしね。さっきも話したように、このアルバムに関して私たちは今まで以上に新しいことにオープンだったし、何か違うことに挑戦したかったの。それに、自分たちの音楽をより広い領域に広げていくには、他のアーティストとのコラボレーションってすごく大切だと思ったのよね。今回はベストな曲が詰まったベストなアルバムを作りたかったし、そのためには彼が持つ世界観、才能が必要だった。自分たちでは作ることができないものを、彼と一緒なら作れると思ったの。Mikeは親友で、人としても素晴らしいし、アーティストの良さを最大限に引き出すことができる素晴らしいプロデューサーでもある。背中を押してアーティストに勇気を与え、目標を達成させるの。