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INTERVIEW

Japanese

Pampas Fields Noise Found art

2016年12月号掲載

Pampas Fields Noise Found art

Member:サイトウトキヤ(Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

札幌が生んだレベル・ロッカー PAMPAS FIELD ASS KICKERSが、フロントマンであるサイトウトキヤのソロを経て、約8年ぶりに再始動。心機一転、バンド名をPampas Fields Noise Found artに改めると同時に、前身バンド時代のミクスチャー・ロック・サウンドも煌きを感じさせるものに劇的に進化している。完成に1年を費やしたというフル・アルバム『U:II』(読み:ユー・ユー)はUKロック、エレクトロニカ/アンビエント、ダンスの要素に加え、フォークの郷愁も消化。バンドのポテンシャルをダイナミックに印象づける集大成と言えるものになっている。

-Pampas Fields Noise Found artはどんなふうに始まったんですか?

もともと、14年前にPAMPAS FIELD ASS KICKERSという名前でバンドを始めたんです。それから6、7年ぐらい活動したのち、活動が止まっていたんですけど、一昨年ぐらいからまたやろうということになって、気分も名前も変えて動き出しました。

-メンバーはASS KICKERSのときと同じなんですか?

ドラムのGongだけが一緒で、ギターとベースは変わりました。ベースのaid_uは以前、ちょこっとだけ一緒にやったこともあったんですけど、1年もしないうちにまた活動がストップしてしまったので、正式加入は今回からになります。

-ASS KICKERSはなぜ活動休止してしまったんですか?

理由はいろいろあるんですけど、アルバム(2005年リリースの1stフル・アルバム『SALIR』)を出したあとツアーを回って、ミニ・アルバム(2006年リリースの『PxFx Junk Echo』)を出してさらに60ヶ所ぐらいツアーを回ったんですよ。それがほとんど車中泊しながらの旅だったということもあって、燃え尽きたというか、仲違いしてしまったというか(笑)。そのあと、周りの人たちが"またやってよ"と言ってくれたので、2011年に一度再結成したんですけど、今回はもうASS KICKERSではなくて、心機一転してやりたかったんです。

-でも、Pampas Fieldsという名前は残したかった?

そうですね。全部変えちゃってもよかったんですけど、そこは残した方が続いている感じがあっていいかなと思ったので。

-ASS KICKERS解散後、サイトウさんはソロでバスキングなどをやっていたそうですが、またバンドをやりたくなったきっかけはあったんですか?

ライフスタイルに根差した感じで音楽をやりたいと思ってバスキングを始めたんですけど、バスキングしながら、自主でデモCDを作って、東京でもライヴをちょいちょいやっているうちに、またバンドをやりたいと思ったんですよ、やっぱり、バンドででかいステージに立ちたいというのがずっと目標としてあるんですよね。

-Gongさんとは気が合うわけですね?

高校時代から一緒に音楽をやっている友達なので、面倒くさいコミュニケーションが省けるっていうのはあるかもしれないです。バンドをまたやろうと思ったとき、ちょうどGongが東京から札幌に帰ってきたんですよ。それもあって、また一緒にやり始めました。

-ギターのナカノヒロユキさんとはどんな出会いがあったんですか?

札幌にKLUB COUNTER ACTIONというライヴハウスがあって、ASS KICKERSのころからそこでずっとライヴをやっていたんですけど、ナカノさんは仲の良い、先輩のハードコア・バンドのギタリストだったんですよ。そのころから結構良くしてくれて、"バンドも一緒にやりたいね"って言ってくれていたんです。それが今回、実現しました。

-ASS KICKERSのころはSUBLIME、LONG BEACH DUB ALLSTARSを連想させるパンク、レゲエなどのミクスチャー・ロック・サウンドだったそうですが、今回のアルバムを聴かせてもらったところ、その名残もありつつ、音楽性が結構変わったという印象がありました。

バスキングを始めてから、今の音楽性に近づいていったんです。ASS KICKERSがダメになって、そのころは東京に住んでいたんですけど、札幌に戻ってきて、ずっと暗い生活をしながら聴いていた音楽がTHE BEATLES、OASISといったUKロックだったんですよ。ちょうどそのころ、2007年とか2008年ぐらいに海外のインディーズ・シーンに変わった音楽が増え始めて、面白いなと思いながらMyspaceで新しい音楽をいろいろ探しているうちに、それまで自分がやっていたジャンルとは違う方向に広がっていったんです。例えば、José Gonzálezというスウェーデンのシンガー・ソングライターとか、フロリダのRADICAL FACEとか、エレクトロニカとアコースティック・サウンドを混ぜている人たちに特に惹かれましたね。

-そのうえで、新しいバンドではどんなことをやりたいと考えたんですか?

とりあえず、バッと開けるような音楽をやりたいと思いました。ただ、メンバーそれぞれに違うバックグラウンドを持っているんですよ。aid_uはエレクトロニカというか、アンビエントな音楽を自分で打ち込みで作るから、そういう要素も加わったし。ヒロさん(ナカノ)はもともと、ハードコア・バンドをやっていただけあって、ノイズとかバンドで言ったらBORISとかに傾倒している。Gongはヒップホップが好きだったんですけど、最近はJ-POPや J-INDIESを聴いているし。それらが混ざり合いながらできたのが今回のアルバムなんです。

-あぁ、なるほど。曲がすごく多彩だったので、どんなふうに作っているのかなと思っていたんですよ。

今回のアルバムは、ASS KICKERS時代と僕がソロでやっていたころの曲のリメイクに新曲を加えた構成になっているんですよ。だから、日本語のみの曲があったり、英語のみの曲があったりして、時期によって曲の雰囲気も違うんですけど、それを現在の4人でやったらこうなったという感じなんです。ちなみに、今年3月にシングルとしてリリースした「THANK U:II」(Track.4)を始め、タイトルにリピート・マーク(:II)がついているものがリメイクです。

-なぜ、そういう作品に?

心残りだったものをちゃんと作り直したかったということと、新たにバンドを始めたとき、バスキングのころにやっていたような曲をやっていくんだろうなというのがあったんですよ。ただ、アルバムの方向性は特に考えてなくて、できあがってみたらこうなっていたという感じなんです。でも、改めて"U:II"というアルバム・タイトルやジャケットの写真を見てみたら、"繰り返す、繰り返す"というニュアンスが感じられたんですね。"循環"というテーマが無意識のうちにあったのかもしれないです。ジャケットは海の写真なんですけど、水の流れに喩えると、海から蒸発して、雲になって、山に雨が降って、それが川になって下ってきて、また海に戻るというその循環が、自分たちのバイオリズムが戻ってきたことと重なったように感じられたんですよ。