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INTERVIEW

Japanese

スカーフ

2016年01月号掲載

スカーフ

Member:菊池 秀一(Vo/Gt) 座覇 誠(Ba) とみー(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

2014年に全国デビューを果たした3ピース・バンド、スカーフが待望の1stミニ・アルバムをリリース。2015年は共同生活を開始、ドラムスのとみーの手術など、彼らにとって大きな動きのある年だった。今作は制作面でも新たな課題へと取り組んでいる。ゆっくりだが着実に進歩してきたバンドが"やさしい音楽"という壮大なテーマを掲げ大海原へと船を漕ぎ出した。ここから新たなスカーフが始まろうとしている。

-スカーフは2015年、特に積極的に動いていた印象があります。

菊池:そう見えているなら良かったです。メンバー・チェンジもなくバンド活動をしていて、結成10年目くらいのときに"このままだと死んでいくだけだ、バンドを続けていられない。今の状況を変えたいな"と思って。自分たちがよく出演している吉祥寺Planet Kのレーベル(Low-Fi Records)からPENs+などが流通盤を出していたりもしたので、僕らも出したいと言ってみたら"いいよ"と言ってもらえてリリースすることができました。音源のクオリティも今までよりも高いものが作れたし、それまでは遠いところに住んでいるお客さんに"CDショップで買えないんですか?"と言われることもあったので、そういう人にも届けられたし、僕らのことを知らなかった人にも届けることができました。

座覇:全国流通盤をリリースしてからCDを売るための宣伝活動をしたりもして。そういう活動はそれまでにはなかったことなので、出して良かったなと思います。

-そして2015年6月ごろからメンバー3人の共同生活を始められたんですよね。

とみー:私がスタンダード・プードルを飼っていたので"広い家に引っ越せたらな"と思っていたときに、ちょうど彼(※座覇)が引っ越したいと思っていることを彼のTwitterで知って。それで"みんなと1匹で一緒に住まない?"と私が提案しました。嫌がられるかな......と思ったけど意外とすんなりOKしてくれて。ふたりとも犬の散歩にも行ってくれるので助かっています(笑)。

菊池:バンドのためにもなるかなと思って、ずっと使っているスタジオの近所の一軒家に引っ越して。一緒に住むようになってすぐ制作にも入れたり、バンドにおける事務的な作業も分担しやすくなりました。

-バンド活動もさらに本腰を入れていける環境になってしばらくして、とみーさんの子宮筋腫が見つかりました。

とみー:ピロカルピンのサポートでツアーを回っているときに体調がおかしくなって、スカーフの10月の初ワンマンの前週に病院へ行って発覚しました。お医者さんに病気のことを言われて真っ先に浮かんだのがバンドのことで......ツアーも決まっていたし、手術をしたらすべてのライヴをやるのは不可能だろうな、このタイミングでバンドがストップしてしまうなんて、と思ったらその途端涙がぼろぼろ出てきてしまって。

菊池:駅から自宅までの間にいつもランニングして帰るんですけど、その知らせをもらった日に「やさしい音楽」(Track.5)を聴きながら走っていたら"とみーがいなくなったらどうしよう!"と思って。おまけに自分の曲がすごく良くて沁みてきて、走りながら泣いてました......。そのときは良性か悪性かわからなかったから本当にとみーの死を考えました。

-メンバーさんおふたりが手術に送り出してくれて、手術も成功して。本当に良かったです。サポート・ドラマーさんを招いてのライヴもいい経験になったのでは。

菊池:そうですね。ビートも、とみーとは結構違ったし。

座覇:普段聴き慣れないフィルが入ってきたりもして。それはそれで面白かったですね。

-とみーさんはご自分のいないスカーフのライヴをご覧になってどうでしたか?

とみー:んー......これ言っていいのかな。自分がドラムと叩いてる叩いていないは関係なく、そのライヴをお客さんとして観て直感的に"自分がお客さんならこのバンドのCD買わないな"と思ったんですよ(笑)。それくらい"このままではまずい"と思ったんです。バンドをちゃんと立て直さないととものすごい危機感を覚えました。

-スカーフがここまでバンド活動を続けてこれたのはなぜでしょう?

菊池:僕はずっとバンドマンでいたいという気持ちがあるんです。だからふたりがその夢を叶えてくれている......というか。それと、ゆっくりではあるけれどバンドが進歩してきているし、いいこともあったので。それが挫折しなかった理由かもしれません。バンドを続けているお陰でいろんな経験ができました。

とみー:スカーフを結成する前、バンドをやりたいなと思っていろんなヴォーカルのデモ・テープを聴いてたんです。けど最初に(菊池の)デモ・テープを聴いたときに"他の人とは違うな。この人と一緒にやりたいな"と思ったんです。他の音楽好きの人よりも音楽がものすごく好きというわけではないんですけど(笑)、バンドを辞めた自分がどうやって生きていくのか想像がつかなくて。

座覇:やっぱり"この3人で上を目指したい"という気持ちがあるので。最近は動きもあっていい流れでやれてるし、もっと頑張っていかなきゃいけないなと思っていますね。

菊池:さっきとみーが言ったように、今はもっとライヴを良くしていきたいなと思っています。うまく演奏することや音を外さないようにすることばかりに気をとられてたところがあったので、もっと観ている人に熱を伝えていかないといけないなと思って。それで筋トレをしたり、フィジカル面を鍛えたりもしていて。歌詞を書いた瞬間の熱の感覚を呼び覚ますようなライヴをしなければいけない。そのためには制作のときからちゃんと熱量のある音を出さないといけないなとも思っています。

-今作『やさしい音楽』の制作はいつごろから?

菊池:レコーディングは8月ぐらいにしました。とみーの病気が発覚する前です。僕的には1曲1曲丁寧に作ることだけを考えて制作をして。とにかく"いい曲"を作ることだけを考えました。みんなに聴かせたい曲を作って10曲レコーディングして、その中から"削るならこれかな......"と消去法で選んだ5曲を収録しています。"やさしい音楽"というタイトルのアルバムにしたいと思っていたので「やさしい音楽」という曲を書いて。そのタイトルにしっくりくる曲が揃ったんじゃないかなと思います。

-スカーフの音楽は歌とギターがしっかり主役になった音作りですよね。座覇さんのベースはシンプルで、とみーさんのドラムはパワーがあるので、しっかり歌とギターをバックアップして、且つ遠くに飛ばしている。スタンダードゆえに音に安定感があると思います。

菊池:テクニカルなことができない、というのもあるかもしれないですね(笑)。テクニカルなことをやりたくないというのもあるし。

座覇:歌がちゃんと聴かせられるようなフレーズにしたいなとは思っています。結果シンプルになるのかもしれない。

とみー:昔からずっと絶対に歌が1番大事だと思っているので。

菊池:とみーは新しいリズム・パターンを持ってくるときもいつも歌いにくくないかどうかを気にしてくれます。