Japanese
HUSKING BEE
2014年05月号掲載
Member:磯部 正文 (Gt/Vo) 平林 一哉 (Gt/Vo)
Interviewer:石角 友香
2012年の再結成、新生HUSKING BEEとしての9年ぶりのアルバム『SOMA』から1年強で届けられた通算7枚目のアルバム『AMU』。得意技であるポップ・パンクもパワー・ポップもここではアップデートされたサウンドで鳴らされ、しかもポスト・パンク的なソリッドさや、いわゆるダンス・ロック的なアプローチのナンバーも散見される、実に音楽が楽しくて迸るような痛快さに満ちたアルバムに仕上がっている。このフレッシュなアルバムに到達した思いを再結成後のバンドの状態や、AIR JAMへの思いなども交えて磯部正文と平林一哉に聞いた。
-再結成から2年強になりますが、この期間を経てみて、再結成の決断は必然だったと思いますか?
磯部:う〜ん、そうですね。再結成からの活動はハスキンやってるのが普通になってますから......良かったんだろうなと。そもそも自分たちだけじゃなくて、各地のライヴハウスに行って盛り上げることが少しでもできたらなぁとか、他のバンドと一緒にやったりするときに相乗効果が生まれたらいいなぁとか思ってたことが起こっているので、それはHUSKING BEEとして活動してる方が良かったんだろうな、というのは思いますね、今は。
-そして前作『SOMA』から1年強という早いペースで今回の『AMU』がリリースされます。
磯部:リリースとしては1年とかなんでしょうけど、『SOMA』ってアルバムはできあがってから半年以上経ってからのリリースだったので、いろんな人に今回"すげえ早いね"って言われるんですけどマイペースかなと(笑)。
-なるほど。『AMU』の楽曲はどういう状況や心情から出てきたものなんですか?
磯部:前作は再結成して、ライヴを重ねてとかそういう状態で作ったものではなかったので、ライヴ感はないというか、自分の経験を活かして作ったところはありましたけど、今回はいろんなバンドと対バンしてみて、バンドごとの得意技ってのがあるんだなって気づいて。だから自分も得意技を使わないとな、みたいな心境にもなりましたし、得意技を増やしたいなっていうのもありましたし。それが見る方からしたら新境地かもしれませんし。やりたいなと思ってたことが得意技になるんだったら、今までやってないこともやってみたいなと。
-実際"おおっ!"っていう新境地の曲はたくさんありますよね。ところで、この新作にも反映してるのかな?と思うんですけど、磯部さんがご自身のブログで"今は人を救うというより、ライヴに来た人同士がやさしくなるとか、仲良くなるっていうのがしっくりくる"と書いてらして。どういう思いで書かれたのかなぁと思ったんです。
磯部:そういうことを思うに至ったのは、たとえばAIR JAMってイベントがあって、それを興す人も僕に近い人で、それを楽しみにしてる人も友だちの中にいっぱいいますし。でも当の興した本人であるハイスタのメンバーもひとりひとり考え方は違うし。でも(横山)健さんの一言は芯のある言葉だったなと思って。"AIR JAMはみんなでも興せるんだよ"みたいな。"ひとりひとりも何かできるはずなんだよ"みたいなことをおっしゃったときに、自分もはっとしたというか。"出たいな""出させていただきたいな"というのは今もありますけど、でもひとりひとりができることはあるんだろうな、とか。基本、自分が曲作る時には、いろんな人がいろんなシチュエーションで聴いて、いろんなふうに思うでしょうけど、大体は"なんか変わっていこうかな"と思えたりして欲しいなと思うし。ライヴ見にきたら、大げさだけど"生きてて良かった"というふうに思って欲しいし、とか。こちらとしても自分の思いがあってやってきたことだから、きっとみんなも同じようにできるはずなんだよね、そうしてれば仲間もできるし、と"自分は思うんだな"と。相田みつをさんみたいな感じ(笑)。
-(笑)今年はAIR JAMは開催されないですけど、やらない意味もありますよね。そういうことを横山さんのドキュメント映画で感じたりもしましたし。
磯部:うん。僕も見に行ったんですけど、すごく正直じゃないですか、健さんは。大勢の前でも1台のカメラの前でも同じようなことを言えるっつうのはスタンス変わんないんだろうなと思ったんです。でも、それって常に人のことを考えてるんですよね。自分がやることによってどんなに影響があるか?ってわかってる人だから、すごい責任感だなと思いながら見てましたけどね。そういう人がおっしゃることだから、僕もそういう人をいつも思いやっていたいな、とか。たとえば僕に会った時はほっとして欲しいし(笑)。"僕には愚痴ってくださいね"って言ったことありますけど。
-いいですね。そして、このアルバムには震災後の歳月、まだまだ続いていくことだからっていう視線も感じます。
磯部:うん。そういう気も存分に含めたいなと思って作ってました。広い目で見るとそれだけじゃないし、全国みんなでがんばろうよって思って作ってましたけど、でも"東北、応援するぞ!"っていうのは存分に考えながら作ってましたね。
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