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INTERVIEW

Overseas

THEORY OF A DEADMAN

2011年08月号掲載

THEORY OF A DEADMAN

Member:Tyler Connolly(Vo&Gt)

Interviewer:道明 利友  Interpreter:ジンジャー国田


-今作のタイトルは7曲目の「The Truth Is…(I Lied About Everything)」から付けられています。この曲名からタイトル・フレーズを採ったのはどんな理由からだったのでしょうか?

この曲は面白おかしい曲で、人がどれだけ嘘をつくかとか、本当はそんなに楽しんでないことを歌にしている。自分がこの曲の登場人物になって、常に嘘をついている人といる。その人は友達に嘘をつき、家族に嘘をつき、俺にも嘘をついて、自分を良く見せようとする。コーラスで彼女に、本当のことを言うと、お前がきれいだと思ったことはない、本当のことを言うと、俺はすべてについて嘘を言っていた、って歌っているんだ(笑)。おかしいストーリーなんだけど、この曲をアルバムの中心にしようと思ってなかったんだ。このタイトルは『The Truth Is…』にしたけど、特にタイトル・トラックにしたいとかじゃないんだ。響きが良かったからこれにしたんだ。

-そのタイトル・ナンバー「The Truth Is…(I Lied About Everything)」は、ウクレレの弾き語りを交えたアレンジは遊び心を感じさせたりと、サウンド・アプローチがとても興味深いです。

12月にフィリピンに行った時に、海辺でウクレレでも弾こうかなって思って買ったんだ(笑)。ギターだとデカすぎるから。2週間半滞在していたんだけど、毎日弾いてたらうまくなってしまったんだ。LAに戻った時、そのウクレレも持って帰って、スタジオに持って行ったら誰かが曲の中で使おうって提案してくれて、俺は“いいね!やろう”って答えた。みんなが聴いた時に、“なんだこれ?”って思ってくれれば嬉しいよ。

-今作のリード・トラックでもあるシングルの「Lowlife」は、豪快なギター・リフと分厚いバンド・アンサンブルがアルバムの冒頭からインパクト十分でした。

夏向けの楽しいアンセム的な曲なんだけど、人を見た目で判断しちゃいけないってことを歌っている。理解できないようかものを変えたりできない。人ってリッチだったり、良い服を身につけてなくても楽しめるんだ。ビールを街で飲んでも、アホなことをしてもいいんだよ!って言っているんだ。

-「Bitch Came Back」はブラス・サウンド、トイ・ピアノのような音色が楽曲にアクセントを加えているサウンド・アプローチがとても興味深い1曲です。

これは、古い子供の歌なんだ。100年くらい前から出回っている。ある日、車の中で思いついてコーラスが全部できたんだけど、メンバーに聴かせてやったら気に入ってくれた。デモを作ったんだけど、トイ・ピアノも入れたいと思った。ネットで検索したら鍵盤付きのトイ・ピアノをオンラインで奏でることができるサイトがあって、それがかっこ良かったから録音した。その曲の最後に、女が戻って来て中に入ろうとしている効果音まで入れたんだ。このアルバムは様々な効果音を入れて、楽しむことができたんだ。

-「Hurricane」はイントロの雷鳴、弦楽が皆さんの演奏、そしてメロディと融合して、じつにドラマティックな雰囲気を演出しています。

これは歌詞がすごくいいんだ。昔思いついたもので、コーラスだけできていて、やっと完成させようと思った。何らかの嵐、自分だったり、何か悩みだったり、揉め事だったり、金銭的な問題だったり、そういうもの中に閉じ込められていることを歌っている。ハリケーンは悪いことのメタファーなんだけど、ポジティヴなことも言っているんだ。ハリケーンの中にいるけど、絶対に抜け出してみせる、みたいな。絶対に成功するとか。例えば人間関係がもつれて、大変なことになっているけど、絶対に乗り越えて見せるって言っているんだ。

-その他にも多彩な楽曲ラインナップが並ぶ『The Truth Is...』ですが、エンディングを飾る「Easy To Love You」は、優しい雰囲気で歌い上げるヴォーカルがとても印象的なナンバーです。この曲の曲作りや歌詞のストーリー、メッセージについて教えて下さい。

アルバムの中に、ウェディング・ソングを入れたかったんだ。最初はソフト過ぎて他の楽曲と合わないんじゃないかとナーバスになっていたけど、本当に好きな曲なんだ。自分の人生において、たった一つの愛を見つけるということが内容なんだ。その人と出会って、何もかも正しく思えて、愛することが自然にできる。ずっとその人と一緒にいたい。レコーディングしたら、全然浮いている感じじゃなくて、アルバムのエンディングとしてしっくり来ていると思うんだ。ドラマーのJoey Dandeneauはこの曲が一番好きらしく、絶対にアルバムに入れようって推してくれた。

-Tylerさんは、その歌詞のように自然に愛せる人を見つけましたか?

俺? まあ、うん、どうだろう? 「Easy To Love」みたいな美しいラヴ・ソングを書いているのに「Bitch Came Back」も作っているから、問題だよね(笑)。浮き沈みが激しい。俺は多分ハッピーになり過ぎると曲のアイディアがなくなるから、ちょうどいいのかもしれない。

-さらに、『The Truth Is...』の日本盤にはボーナス・トラックとして「We Were Men」が収録されます。

これは軍隊についての曲なんだ。今までこういう曲は作ったことがなかったけど、俺たちのファンの多くは軍人だったりする。だから軍人の曲が作りたかった。戦争とかそれにまつわる心理じゃなく、軍隊に入っている人たちについて歌いたかった。兵士が戦争に行って、戦う。怪我をしたり、亡くなったりする人もいるけど、残った人たちが何のために戦ったかわからないまま行かされて、帰った時に、ずっと戦争の光景が焼き付いていている。自分たちがしたことは善のためにやったことだと信じたいだろ?だから、そんな軍人の気持ちや記憶や心の悩みや悪夢や忘れられないことについて曲を作りたかった。今までは面白い曲ばかり作っていたけど、この曲で自分がシリアスな曲を作れるソング・ライターなんだとわからせてくれた。日本へのボーナスだけど、自分にもボーナスになった一曲だよ。

-と、様々な角度から質問させていただいた今作『The Truth Is...』ですが……。パワフルなサウンドはロック・ファン、ヘヴィ・ロック・ファンなどを魅了するとともに、グッド・メロディは例えばポップス系のファンなどにも魅力を十二分にアピールするはずという印象を、今作からはうけました。そんな新作を作り上げた現在、メンバーの皆さん自身は自らのバンド像をどんなふうにとらえていますか?

前作の『Scars And Souvenirs』で、やっと自分たちのサウンドを見つけることができたと思う。最初の2作は、他のバンドと比べられていたから。あと5年もしたら消えるバンドとかって言われたけど、そうやって言われたからもっとやってやろうって思っていた。自分たちのサウンドが見つかった今、とても居心地いいんだ。やっとこの『The Truth Is...』というアルバムで、自分たちのパワーを感じる。自信が出たと思うんだ。