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FEATURE

Overseas

Happy Collaboration!! vol.2

2011年11月号掲載

Happy Collaboration!! vol.2

Writer 伊藤 洋輔


LOU REED & METALLICA
『Lulu』
METALLICA×Lou Reed―誰もが予想しなかったこの強力コラボに胸躍るファンは多いだろう。コラボレーションとは一口に“お祭り企画”とは言うが、ビジネスが介するとそこにはさまざまな弊害が生じるもの。ましてシーンの最前線に構える重鎮同士のタッグの実現ともなれば、それはまさに奇跡の邂逅である。今月のMONTHLY FEATUREは表紙でもピック・アップされたこの2大モンスターのコラボを祝して、また邦楽ロック・シーンのコラボ事情を特集した9月号から引き続き、第2弾として2011年の洋楽コラボレーションを巡ってみよう。所々微妙に脱線しますが、悪しからず。



SUPERHEAVY
『Superheavy』
まずは記憶に新しい、その名の通りスーパー・ヘヴィ級のインパクトを与えたこのコラボをピック・アップしよう。あのTHE ROLLING STONESのMick Jaggerがデビューして以来、初となるコラボとして話題となっているSUPERHEAVYだ。お相手は元EURYTHMICS 、現音楽プロデューサーとして活躍しているDave Stewart、R&B/ソウル・シンガーのJoss Stone、ジャマイカの英雄Bob Marleyの血を受け継ぐレゲエ・アーティストDamian Marley、映画「スラムドッグ$ミリオネア」の音楽でアカデミー賞も受賞したインド音楽界の巨匠A.R.Rahmanという豪華な布陣である。元々MickがジャマイカにあるDaveの自宅に招かれ “まったく違うジャンルの様々な音楽を一緒にしてみたらどうなるだろう”と語りあったところからスタートしたという。 “そりゃ面白いアイディアだと思ったよ。でも実現するとは思わなかった”とは記者会見でのMickの弁。あらゆるジャンルのスーパー・スターを船上スタジオ(!)に召集し、ジャム・セッションで曲作りを進めていったという。“スタジオの中で子供みたいに「すごく楽しい!信じられない!」ってはしゃいでたら皆に「落ちつけよ」って目で見られちゃった(笑)”と興奮気味に話したJossだが、それはファンも同じだろう。9月にはデビュー・アルバムをリリースしたが、中でも先行シングルとなった「Miracle Worker」のPVは是非ともチェックしてもらいたい。ギラギラしたピンクのストライプ・スーツに身を包んだMickが腰をこれでもかと揺らしながら熱唱している。この人、もうすぐ古希(70歳)なんですけど! 来年にはTHE ROLLING STONESのデビュー50周年を迎えるが、まだまだシーンに“喝”を入れるべくこのコラボからさらなる活力を絶倫……じゃなくて絶大に培ったのでしょう。なんだか科学も否定した存在になりそうで怖いです(笑)。


RADIOHEAD
『Tkol Rmx 1234567』
さて、SUPERHEAVYに引けを取らないスーパー・コラボ・バンドがロック界にもう1組いましたね。RADIOHEADのフロントマンThom Yorke×レッチリのFlea×RADIOHEAD 第6のメンバーと謳われるNigel Godrich ×Mauro Refosco×Joey WaronkerからなるATOMS FOR PEACEです。昨年はまさかのFUJI ROCK FESTIVAL出演で話題となりましたが、先日いよいよアルバム完成間近か!? なんてビッグ・ニュースも飛び込み、ますます目が離せない状態です。こちらも強烈なメンバーですが、とりわけThomは今も昔もあらゆるシーンに引っ張りだこの人気者コラボレーターと言えるでしょう。過去にはSPARKLEHORSEやU.N.K.L.E.などとのコラボがありましたが、最近では新作のリミックス集『TKOL RMX 1 2 3 4 5 6 7』でも名を連ねていたドイツのテクノ&ダブステップDJデュオ、MODESELEKTORの新作に2曲参加しています。Thomに限らずRADIOHEADのメンバーそれぞれのコラボ・ヒストリーを紐解けばこのページが埋まってしまうほど多岐に渡るものですが、やはりバンドの核となる彼の偉才はどのような相手だろうと際立つ独自のオーラを醸し出します。代表作を考えると非常に悩みますが、個人的にはトラウマ含めアイスランドを代表する歌姫Björkとコラボった「I've Seen It All」を挙げましょう。いまだに貨物列車の音を聞くと脳裏に浮かぶあのシーン、なんで初デートであの映画を選んでしまったんだろう……おっと失礼! 衝撃的な内容の映画 “ダンサー・イン・ザ・ダーク”の主題歌として、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の歌曲部門でノミネートされるなど高い評価を受けた楽曲ですが、ふたりの強烈な個性がぶつかり見事に調和した素晴らしいものです。

DIRTY PROJECTORS + Björk
『Mount Wittenberg Orca』
そんな歌姫Björkと言えば、驚きのコラボ・ニュースが飛び込んできました。なんとUSインディ・シーンを象徴するサイケ・ポップ・バンドDIRTY PROJECTORSとのコラボ・アルバムがついにフィジカル・リリース! Björkは以前から彼らのファンを公言しており、09年5月にNYで行なわれたチャリティ・コンサートの共演をきっかけとし、昨年6月にはダウンロード限定でリリースされたこのコラボ・アルバムですが、完全生産限定盤で初CD化です。今号のCDレビューでもピック・アップされているのでそちらもチェックしてもらいたいですが、天真爛漫なBjörkがDIRTY PROJECTORSのメロディに跳ねる、そしてあのコーラス・ワークに絡まる妙味とは、考えただけでゾクゾクしますね!まさに夢のコラボでしょう。

USインディ繋がりでもうひとつ気になるコラボ・ニュースが。今年のベスト・アルバム・ランキング上位を賑わすであろう新作をリリースしたSSW、BON IVERがポスト・ダブステップ孤高の天才児であり、こちらも今年話題のデビュー・アルバムをリリースしたJames Blakeとのコラボ楽曲「Fall Creek Boys Choir」を唐突に発表したことです。今年のSXSWで初対面した両者は “一緒に曲を作ってみよう!”と意気投合し、メールのやり取りでこの楽曲を制作。同曲がアップされたYouTubeには“Enough Thunder - Oct 2011”なる意味深なメッセージもあり、もしかしたらこのテキストを読んでいる時はさらなる新曲も発表されているかもしれませんね。2011年の顔役ともなった2人のコラボは今後どのような形を見せるのか、アルバムを期待しましょう。


EMMY THE GREAT & TIM WHEELER
『This Is Christmas』
では最後に一足早いサンタクロースのプレゼント? な話題で締め括ろう。ASHのTim Wheelerと新世代UKフォークのEMMY THE GREATのコラボでクリスマス・アルバムがリリースされます。このふたり、今年7月に代官山UNITで行われたEmmyのライヴで共演し、素晴らしいパフォーマンスを披露していましたが、なんと現在ラヴラヴ交際中だとか! おめでとうございます~(死んだ目で棒読み)と、ちょっと嫉妬しちゃいますが、カップルならではの愛に溢れたコラボ・アルバムなんてのもいいですね。

さて、あれこれ巡ったコラボ特集はいかがでしたか?コラボならではのケミストリーはアーティストの新たな一面を拡げ、ファンを楽しませてくれます。ここ日本では洋楽シーンの苦境が叫ばれる昨今ですが、こういった企画から新たな魅力が伝わり再び盛り上がって欲しいものです。それでは、Thank You For Reading It!

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