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COLUMN

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第26回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第26回】

Written by 下川リヲ
2022.08.03 Updated

夏ということで今回は怖い話でもしたいと思う。 この連載をチェックしてくれている読者はおれが事故物件に住んでいることをご存知だろうが、正直全然おぞましい霊障に遭遇することがない。 引っ越して早々に壁に貼られたおふだを引き剥がし、「おい......かかってこいよ」など空に向かって挑発したりもしてみたが、結局今まで恐怖体験をすることはなかった。 せっかく事故物件に住んでいるのだから霊障のひとつでも起こら

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第25回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第25回】

Written by 下川リヲ
2022.06.07 Updated

元々身長が低いのもあって、女性に間違われることがボチボチある。 もしかすると、激しく太っていた中学時代に、異性に飢えたクラスメイトの男たちから胸を揉まれまくったことにより、女性ホルモンが過剰分泌されてフェミニンになってしまったのかもしれない。 最近もスケーターの男集団にナンパされて、そのまま朝まで一緒に酒を飲んでいた。なんて日もあったのだが、最初女だと思い込んでいたヤツも、なんだかんだでおれが一言

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第24回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第24回】

Written by 下川リヲ
2022.04.12 Updated

完全に意味不明だが、小学校の夏休みに1週間、市の親善大使として文化交流という名目でマレーシアでホームステイをしたことがある。メガネにダサい紐が付いているのに。 うだる陽射しを置きざりにし、「親善大使」の響きがカッコいいというだけで国際線に乗り込んだ。 ある男が『「愛してる」の響きだけで 強くなれる気がしたよ』と歌ったが、あれは童貞だったおれのマレーシア行きを讃えた歌である。 バカ丸出しの子デブが空

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第23回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第23回】

Written by 下川リヲ
2022.02.07 Updated

コンビニでエロ本と一緒にコーヒーを買えるような逞しい神経の太さを持ち、幼さと引き換えに得たみなぎる益荒男っぷりを振りかざしては、自分の成長を感じて涎を垂らし恍惚としていた俺だが、新年から神社で「恋みくじください」が言えずに立ちすくんでしまった。 『――恋みくじください』 どうしてこんな短いセンテンスを口にすることが俺の歩みを止めるのか。 それは受付に巫女さんが立っているからだ。 俺は「恋みくじくだ

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第22回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第22回】

Written by 下川リヲ
2021.12.10 Updated

はあーーコロナだなんだで遊ぶ機会も減って気分はサゲポヨー↓↓だし。片っ端からネカマで登録したマッチングアプリもオタクの友達のアカウントが出現して、そいつの見たことない表情の自撮りの下に「イイネされました!」みたいに書いてあったのがトラウマで起動出来てないし。圧倒的に花のない生活だ。 花がない。だから、仕方がないのだ。クリスマスに何の予定もないのは。俺は悪くない。 まあ本来はモテて仕方ない俺だけど今

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第21回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第21回】

Written by 下川リヲ
2021.10.07 Updated

自分はいわゆる「ひきこもり」である。 家を出ることへの恐怖と、家を出ないことへの憧れが比例して成長してゆき、大人になる頃には家に取り込まれた悲しい怪物になっていた。 休日の楽しみが「家を出ない」であり、一人称が「我が家」で、シロアリに弱い。 しかし実は音楽家に引きこもりは多い。 自分も引きこもりのバンドマンだから分かる。そんな奴が書く「君に会いたい」系の歌詞は、「最寄り駅くらいまでは君のほうから来

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第20回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第20回】

Written by 下川リヲ
2021.08.17 Updated

誕生日がやってきた。30歳にもなると男として深みも出てくる。誕生日サプライズをされたときに、ちゃんとしたリアクションの一つや二つ用意しておくのも、男の嗜みのうちであろう。 いやー......まあ、でも、さ、照れちゃうよな。言われるよ。間違いなく言われる!一年に一回しか言えないような......感謝の言葉! 「生まれてきてくれてありがとう」 「がんばりやさんの登場だ」 「本当の優しさを知る者」 とか

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第19回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第19回】

Written by 下川リヲ
2021.06.07 Updated

オギャーと生まれたからには全ての子供が不良を夢見るものだ。危ない橋を平気で渡れるようなヤツは周りから尊敬される。というかそれができなければビビりと蔑まれ苦渋を飲まされることになる。 不良になれないやつはオタクと謗られていくしかない。学生にとってはオタク=社会的な死、非モテである。自然の摂理として、このおれも中学時代に不良チキンレースに参加していた。 おれは周りの眼鏡達に自分を"夜叉神"と呼ばせるこ

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第18回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第18回】

Written by 下川リヲ
2021.04.15 Updated

おれが喫茶店のトイレ付近の座席を好むのは、空いてないトイレを前に、言葉にし難い表情や思い思いの神秘的な動作で必死にトイレを我慢する人達が大好きだからだ。 余裕の表情を浮かべつつtea(ティー)で唇をぬらし、横目でそれを眺めていると、まるで自分が選ばれし人間になったかのような錯覚に陥る。組んでいる脚もなんだか180センチはあるような気がしてくる。 今日もなかなか空かないトイレの前で厳格そうなサラリー

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第17回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第17回】

Written by 下川リヲ
2021.02.12 Updated

とにかく理由も分からないが2021年になって突然、ずっと視界を覆っていたモヤがかった不安が、嵐が過ぎたかのようにサッと晴れ、心にはあたたかな光が差し始めた。そしておれは、今年は遂に気合い入れてバンドをやるぜ!と思い立った。 しかし自分の腑抜けっぷりは一筋縄ではいかないものである。 この熱い気持ちをキープするために、年明けから色々と環境を変えよう!と思い立ち、結果から言うと年明けから事故物件に住み始