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COLUMN

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第45回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第45回】

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2025.10.16 Updated

挫・人間の新譜『わりきれないよ』、 ありがたいことに好評である。 今回リリースのPRを通して個人的に意外に感じたことがあった。 それは各種メディアから表題曲について「温かみを感じる歌声」と評していただけたことだ。 温かみ...... それってヌクモリティのことですよね? 私の声帯から、ヌクモリティが。 私は驚いた。 私の歌声についてよく用いられる言葉は、「一度聴いただけで覚えられる個性的な歌声」

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第44回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第44回】

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2025.08.20 Updated

地方には変なバンドが沢山いる。 私には自分事として実感があるのだが、地方でそれなりにバンドをやっていくためには良くも悪くも現実離れしたことをやることになるのだ。 その結果、普通の人間であればとてもやらないような突飛なパフォーマンスに身を捧げる者がいる。 熊本で活動する「ザ☆フルーツ」のギタリスト、ファントム菊地はそんな男である。 彼は爆音のギターを掻き鳴らしながらフロアを半裸で這いずり回ってあら

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第43回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第43回】

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2025.06.16 Updated

昔の話ばかりで恥ずかしくなるが、小学生時代の私には下川諒というものとは別の顔が存在した。 それは、「もなちゃと」のヘビーユーザー、『†ルシファー†』というものである。 「もなちゃと」とは、文字を使い、ネット上でリアルタイムのコミュニケーションがとれる、いわゆるチャットサイトだ。 SNSの存在しない時代に、画面の向こうの誰かさんと交流できるチャットサイトは、当時一部のインターネット・マンたちに歓迎

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第42回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第42回】

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2025.04.14 Updated

中学時代の私には女性の霊が取り憑いているという設定があった。 「コラムってここまでして書かなきゃいけないものかな?」という気持ちになってきたが続けよう。 君はタルパという言葉を聞いたことがあるか。 私は今でも他人への苦手意識は消えないままだ。他人と話していて、気付くと脇汗をダラダラかいている。 それでも、私は中学時代オタクたちの中では女性と関わりがあるというオーラを放っていた。 実はそれこそがタ

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第41回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第41回】

Written by 下川リヲ
2025.02.14 Updated

太っていた頃の名残で、私は今でも窓が怖い。 君たちはあの開閉可能な憎っくきガラス板を恐れたことはあるだろうか。私は今でも窓のことを、渋谷駅くらいには避けて過ごしている。 小学生時代の私は他を寄せ付けぬほど太っていた。 殺人的に太っていた。それはもう、悲しくて、申し訳ないくらいに太ましかったのだ。 えるしっているか。本当のデブは窓に近寄らない。 真のデブは存在だけで窓を曇らせることができるからだ。

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第40回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第40回】

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2024.12.25 Updated

私がまだ地元熊本にいた頃、よく通っていたライブハウスで"福ちゃん"という男に出会った。 福ちゃんという男はかなりの巨漢であった。不必要に腰まで伸ばした髪を靡かせる彼は、危険人物丸出しというルックスでありながら、上半身はピッタリサイズのTシャツ。下半身には「オーバーキルジーンズ」と呼ばれる、ボロすぎてほぼホットパンツになってしまったダメージジーンズを履き、足元は下駄という格好を1日も休まず貫く怪物で

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第39回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第39回】

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2024.10.18 Updated

女友達の誕生日会に呼ばれた。 「本当に開催されているのか」という感想に尽きる。それほどまでに人生で女性の誕生日会に参加した記憶がない。誕生日といえばプレゼントだ。 ひとつ覚えているのは、小3の頃クラスメイトの女子にお呼ばれして『浦安鉄筋家族6巻』をプレゼントしたときの、その子の神妙な顔である。 小学生の気を遣った顔というのはこの歳になっても私の心をグシャグシャに叩き折る破壊力を持っている。 私は

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第38回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第38回】

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2024.08.21 Updated

オタクだからアキバが好きなのか、アキバが好きだからオタクなのか、はたまたオタクが好きだからアキバが好きなのか私は私で判断出来ないのだが、私は今や死語となったアキバ系のオタクである自分のことが、実は嫌いではない。 むしろ趣味のために社会性や人間性を損なって生きてきたイビツな有様に、鏡を見て震えることもあるくらいだ。 しかし、同時に私はアキバを歩いているときに「オタクだと思われていないだろうか」と、い

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第37回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第37回】

Written by 下川リヲ
2024.06.21 Updated

挫・人間はまったく人気もない頃から特殊な客が集まりがちだった。 赤いロープで亀甲縛りをしたままライブにくる女や、女の子に踏まれるのが好きな関西弁で喋る外国人、毎回気合いの入ったコスプレをしてくる女もいたし、全身タイツで股間から白鳥が生えてる性別不明の存在もいた。おれが警察なら全員逮捕している。 オレンジのツナギを着てる人が集まっていたりすると、「今日はPOLYSICSがライブやるのか~」なんて思

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第36回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第36回】

Written by 下川リヲ
2024.04.18 Updated

坂西という男がいる。 彼はオタクでもなければバンドマンでもない。バイクと保健体育が好きなただの同級生である。 共通の趣味など無いのにウマがあい、気付けば20年もの時間を親友として過ごしている。 中学時代から学校に「落第者」的なレッテルを貼られてもヘラヘラしていたせいか、2人してまったくモテなかった。 体育でサッカーをやっても、ゴールキーパーとディフェンスの狭間にあるなんとも言えない空間「キモ時空」