Japanese
木下百花
Skream! マガジン 2022年03月号掲載
2022.02.13 @LIQUIDROOM ebisu
Writer 秦 理絵
まさに"木下百花"というジャンルのライヴだった。日常生活の中で、尖ったり、傷ついたり、優しくなれたり、そんな様々な感情をポップなバンド・サウンドに乗せて歌にしていく。エレアコをかき鳴らしながら、フォーク・シンガーのように歌うときもあれば、パンチラ上等のハンドマイクで過激に暴れながら歌うシーンもあった。衣装チェンジの待ち時間には、木下家の家族が出演する映像でフロアの笑いをさそう。それは普通の――あえて"普通の"という書き方をするが――シンガー・ソングライターのライヴのセオリーを鮮やかに塗り替える、あまりにもオリジナルなステージだった。25歳を迎えた生誕祭ワンマン・ライヴ"木下百花生誕祭 -生きるとは-"の東京LIQUIDROOM ebisu公演だ。
開演と同時にオープニング映像が流れた。ジャングルの奥地に住む原始人の木下がエレキ・ギターと出会い、音楽に目覚めるというB級感あふれる本人出演のムービーで、早くも集まったお客さんの心を鷲掴みにする。"木下百花です! 今日は原始人っぽく始めます!"そう言ってステージに現れた木下は、アニマル柄の衣装を纏ったワイルドな出で立ち。1曲目は「強さ」だ。サポート・メンバーには伊東真一(Gt/HINTO/SPARTA LOCALS)、岡部晴彦(Ba)、吉澤 響(Dr/セカイイチ)というお馴染みの面々に加えて、前回の渋谷WWWではゲストで登場した伊豆のとおるがパーカッションやギターなどで冒頭からバンドに加わる。野性味を帯びた賑やかなグルーヴに乗る木下の優しい歌がフロアに響き渡った。
"来てくれて本当にありがとうございます"と感謝を伝えながら上着を脱ぐと、木下は森の住人のようなトライヴァルなロング・スカート姿になった。フォーキーな弾き語りにドラマチックにバンドが加わった「5秒待ち」、"この曲はオシャレへの第1歩として作った曲です。自分がパリピだと思って踊ってください"とノリ方をレクチャーした「グリルパインベーコンブルーチーズアボカド」。楽曲が進むにつれて、フロアはお客さんが思い思いに身体を揺らすリラックスした雰囲気へと変わっていった。
"25年間の半分はみなさんに支えられていきている状態です"。中盤のMCでは、NMB48卒業後の百花名義のソロ活動で"教祖になります"宣言をしていたことも振り返った木下。この日のライヴのタイトル"生きるとは"は、あえて当時のライヴと同じ言葉を掲げていると言い、"あのときの自分とは中身は違うなと思います"と語ると、数年ぶりに披露となるYUKIのカバー「大人になって」を切々と歌い上げた。大人になること、自分が変わってしまうこと、ひいては生きることについて自身の想いを重ねるように歌ったあと、それを、木下自身の曲で届けようとしたのが、続く「ひかる」だったように思う。透明なバラードで描く幻想的な景色。そこに滲む生きる意志。かつては誰かの歌に自分の想いを重ねるしか術がなかったが、今はやりたい音楽を自分の手で生み出せる。木下が言う"中身が違う"はそういうことではないかと、言葉ではなく、その音楽で理解できた気がした。
今年公開されたばかりの新曲「悪い友達」では、ミュージック・ビデオで木下がキスをするシーンが話題になっていることに触れて、"みんなエロい!"と冗談っぽく言いながらも、マイクコードを身体に絡ませたセクシーな歌唱でフロアのお客さんの視線を釘づけにした。そして、木下の母と祖母が好きな木下の曲を発表する映像のあいだに衣装チェンジをした木下は、真っ白な衣装に着替えて再びステージに現れた。この日のライヴに駆けつけたお母さんにステージから直接"25年間ありがとう!"を言うと、渾身のギター・ソロが炸裂した中華風ナンバー「卍JK卍」、悪そうなラッパーに扮した「ダンスナンバー」、歌の途中で"ふー楽しい!"と感極まったように漏らした「家出」へと、クライマックスに向けて木下のパフォーマンスも激しさを増していった。最後は"マスク越しでも笑顔が伝わるから、ふざけたことも鋼メンタルでやることができます"と感謝を伝え、混沌と祝祭が入り混じる音の中で、"私は私"と晴れやかに歌い上げる「わたしのはなし」で本編を締めくくった。
アンコールでは、再びスクリーンに映像が流れ、今やギター1本から打ち込みによる音作りの方法を獲得したというナレーションに合わせて、木下は未来人の衣装で登場した。そして、2月14日にリリースされたレトロ・ポップなテクノ風バレンタイン・ソング「天使になったら」を初披露すると、アイドル時代のスキルを全開にした振付でかわいらしく踊った「えっちなこと」に続き、かつらを激しく振り回しながら、アドレナリン全開のブチ切れた動きでステージを暴れた「アイドルに殺される」で終演。最後は"マジで全員と目を合わせて帰るから。目、合ってないやつ帰んなよ!"と言うと大きな目を見開いて、フロアに隅々にまで視線を投げ掛けてステージを去っていった。
なお、この日のステージで木下は、NMB48時代から約12年半所属していた事務所を退所することを発表した。"(事務所のおかげで)立ちたかったステージでやりたかったことをできるようになりました"、"(自分のことを指して)これが事務所にいたら、大変だったと思う"と笑顔で円満退社であることにも言及すると、"これからはフリーで自分の足で立って、いろいろな表現をしたいと思います"と、新しい旅立ちへの決意を伝えた。2020年の渋谷WWWから、昨年の渋谷CLUB QUATTRO、今年のLIQUIDROOM ebisuへ。一歩ずつ着実に裾野を広げている木下百花の快進撃はきっとまだまだ始まったばかりだ。
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