Japanese
木下百花
Skream! マガジン 2021年09月号掲載
2021.07.29 @渋谷CLUB QUATTRO
Reported by 秦 理絵 Photo by Satoshi Hata
©︎ Showtitle
木下百花からの熱烈なラヴ・コールが実現して、羊文学との対バンが実現した。木下が今年6月にリリースした最新EP『また明日』を携えて開催した、東名阪対バン・ツアーの渋谷クアトロ(CLUB QUATTRO)公演だ。愛知にはAnalogfish、大阪にはN'夙川BOYSのリンダ&マーヤと、それぞれ木下が敬愛するアーティストを迎えた今ツアー。そのファイナルとなったステージで、木下は"羊文学さん、大好きです!"と、割れんばかりの大きな声で愛を伝えた。
当初はそんな羊文学に寄せた硬派なライヴの構成も考えていたという木下だが、この日はあえて自分らしいスタイルを貫いた。『また明日』の収録曲を心から楽しみながら届けたほか、振り切ったダンス・ナンバーでは全力で会場を盛り上げ、新曲「えっちなこと」も披露。持ち前のエンターテイナー精神を発揮した変幻自在のライヴで、異色の対バンを成功させた。
フクダヒロア(Dr)が叩く繊細なドラムをきっかけに、塩塚モエカのファルセットを交えたヴォーカルが重なり、やがて轟音が渦巻く「エンディング」から、羊文学のライヴが始まった。生命力に満ちたリズムが躍動した「mother」、河西ゆりか(Ba)が奏でる力強いグルーヴに乗せて我がままに愛を渇望する「Girls」。緻密で大胆な羊文学のオルタナティヴなロック・サウンドが、フロアを優しく包み込んでいく。
MCでは、木下と同い年だという塩塚が、"あんまりロックのシーンに(同い年が)いないから嬉しいです"と、対バンが実現できた喜びを伝え、木下の最新EPの中では"最後の曲(「誰かの隣でパーティーしていたい」)が好きです"と明かした。そして、"木下さん(のEP)がかっこ良かったから(前半は)激しめにやったんですけど、ここからはゆったりめにいこうと思います"と言うと、軽やかなメロディが心の傷を癒やすように染みわたる「砂漠のきみへ」、7月7日に配信リリースされた清涼感あふれる最新曲「マヨイガ」をじっくりと聴かせて、ライヴを締めくくった。
取材時に木下は、羊文学の音楽について"普通の感性からは逸脱した、一筋縄ではいかないシューゲイザー・サウンドに憧れる"と語っていた。優しい感情を呑み込み、聴き手にとって"お守り"であろうとする羊文学の音楽は、どこか木下の歌にも通じる気がした。
転換のあと、木下は紺色の浴衣に厚底のスニーカーを合わせるというアヴァンギャルドな着こなしで、ステージに登場した。今夜は夏らしく、サポート・メンバーも全員が浴衣姿だ。"木下百花です! よろしくお願いします!"。ハイテンションな第一声。悲しみの世界を面白く生き抜く木下の人生哲学が滲んだポップなナンバー「強さ」をウェルカム・ソングに、ライヴが幕を開けた。サポート・バンドは吉澤 響(Dr/セカイイチ)、伊東真一(Gt/HINTO/SPARTA LOCALS)、岡部晴彦(Ba)、伊豆のとおる(Per/Cho)、秋乃ゆに(Cho)。木下が厚い信頼を寄せる面々が作り上げるグルーヴィなサウンドをバックに、全身を激しく躍動させてギターをかき鳴らす木下の表情はとても楽しそう。若いカップルの痴話喧嘩が目に浮かぶ「グリルパインベーコンブルーチーズアボカド」では、ゆるい雰囲気でフロアを揺らしていく。
全体的に明るめのトーンで進んだライヴの中で、心に影を差すような瞬間を作り上げたのは「月が見える」だった。浮遊感漂うシューゲイザー・サウンドに深い悲しみの色が滲む。続けて、"次は大切な曲をやります。モエカさんが好きと言ってくれた曲です"と言うと、ゆったりとした3拍子に大らかなメロディを乗せた「誰かの隣でパーティーしていたい」へ。ミラーボールが美しい光を放ち、鉄琴やピアニカ、コンガといった多彩な楽器が重なったバンド・サウンドに乗せて、"全て忘れて明日を見なくちゃ"と丁寧に届けたその歌は、たとえ大切なものを失ったとしても、毎日を生き続けなければいけない私たちに寄り添う、強く、優しい歌だった。
夢中で5曲を終えたところで、"あれ!? もう後半戦だ。5時間ぐらいやりたい"と、木下。会場から拍手が湧くと、ドラムの吉澤も"やりますか(笑)"と調子を合わせる。ここからは"ふざけた曲しかないので"。そう言って、芝居仕立てのラップを挟んだユニークな中華風ナンバー「卍JK卍」や、ギロの音色が独特の脱力感を生んだ「家出」と、クライマックスに向けて会場を踊らせていく。"マスク越しでもニヤけてるのがわかるから、私も楽しめています"。そう言う木下は快心の笑顔だ。
次の曲のために、浴衣を脱ぐ準備をしながら、7年間のNMB48時代は肌に合わなかったと振り返った木下は、"やめたあとにアイドルっぽい曲をしたくなりました"と、天邪鬼ぶりを発揮。ピンクのワンピースに衣装をチェンジすると、このライヴの翌日に配信リリースされた最新曲「えっちなこと」を、元アイドルのスキル全開にしたキュートな振付で歌い切った。"いやー、全然恥ずかしい(笑)"。照れ笑いしながら、"最後は私らしくいこうと思います"と言うと、「アイドルに殺される」で、体当たりでお客さんを煽り、フロア全員でジャンプをしてライヴを締めくくった。
昨年から本名名義のソロ活動をスタートさせた木下百花は、作品を重ねるごとにシンガー・ソングライターとして進化を遂げている。それに加えて、アイドルとしての経験値も武器する彼女のスタイルは唯一無二だろう。木下が表現する悲しみの感情は深く心をえぐり、楽しさの快感はリミッターを振り切って突き抜けている。そうやって全力で"生きること"を体現することが、きっと、木下百花という表現者の在り方なのだと思う。この日60分間のライヴを観て、改めて彼女の凄みを知った。
[Setlist]
■羊文学
1. エンディング
2. mother
3. Girls
4. ラッキー
5. 砂漠のきみへ
6. ghost
7. マヨイガ
8. あいまいでいいよ■木下百花
1. 強さ
2. タクシードライブ
3. グリルパインベーコンブルーチーズアボカド
4. 月が見える
5. 誰かの隣でパーティーしていたい
6. 卍JK卍
7. ダンスナンバー
8. 家出
9. えっちなこと
10. アイドルに殺される
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