Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

LIVE REPORT

Japanese

フレンズ

Skream! マガジン 2021年07月号掲載

2021.06.05 @duo MUSIC EXCHANGE

Writer 伊藤 美咲 Photo by TAKAHIRO TAKINAMI

"フレンズは4人じゃない。みんながいてフレンズなんだと思った"
えみそん(Vo)のこの言葉が象徴するように、会場にいる全員で作られた、幸福感に満ちたライヴだった。

6月5日、[フレンズワンマンツアー "UNO!"]の東京公演が開催された。本ツアーは彼らにとって約1年4ヶ月ぶり、メンバー4人となった新体制で初のワンマン・ツアーとなる。彼らがホームタウンである神泉に帰ってきた瞬間だ。SEが流れると同時に立ち上がった観客たちの大きな拍手が鳴り響くなか、サポート・キーボードのメンバーを迎えたフレンズが登場した。"ようこそ! 楽しもうね!"(えみそん)という掛け声のあと、「ビビビ」で本公演がスタート。音に合わせて手を挙げるフロアに向かって、えみそんが拳を掲げたりピースをしたりと、ライヴという対面ならではのコミュニケーションを序盤から取っていく。続いて紫色のムーディなライトに照らされつつ、2曲目「夜にダンス」へ。えみそんと三浦太郎(Gt/Vo)によるツイン・ヴォーカルの掛け合いや、丁寧で安定感のある関口 塁のドラムに魅了された。

「雨のフライデー」では、本公演の前日がタイトルのように雨の金曜日だったなと思いつつ、マイクを両手で握りしめて歌うえみそんの歌声に聴き入ってしまった。そのあとのMCにて三浦が、"ライヴをやる日常からだいぶ遠ざかっていたから、今日は本当にライヴができて良かった"と話したとき、この日この場に足を運べたことを改めて心から感謝した。なかなかライヴができなかった日々が続いても、変わらずに曲を作り続けてきたフレンズ。MCが明けて披露したのは、アップテンポの新曲「急上昇あたしの人生」だ。リズムに乗ってメンバーとオーディエンスがクラップで会場を一緒に盛り上げる光景に、自身の気持ちが高揚していく感覚がしっかりとあったし、ラストの"最後まで/目を逸らすなよ"のところでスポットライトに照らされ、まっすぐに観客を見つめるえみそんの表情も印象的だった。ハイテンションな楽曲から一転、そのあとはガラッと雰囲気をチェンジし、大人の雰囲気が漂う「DIVER」へ。続く「NIGHT TOWN」のサビで手を挙げるリスナーとメンバーたちの息もぴったりだったし、メロディックで心地のよい長島涼平のベース・ソロも惚れ惚れとした。

「急上昇あたしの人生」が主題歌であり、えみそんも出演したひかりTVオリジナル・ドラマ"取り立て屋ハニーズ"の撮影の裏側や、「NIGHT TOWN」が劇中に登場する映画"花束みたいな恋をした"を観たエピソードなどをMCで話したあと、2ndフル・アルバム『SOLAR』のリリースとそれを記念したライヴの開催が発表された。約3年ぶりとなるフル・アルバムのリリースをやっと解禁できたメンバーも、思わぬサプライズ報告を受けたファンたちもとても嬉しそうだった。

後半戦はこれからの季節にぴったりなポップ・ナンバー「常夏ヴァカンス」でスタート。さらに会場のボルテージを上げ、次の曲の「いいんじゃない?」に繋げていく。アウトロ部分の"ラララ"というコーラスに合わせて、会場の後方や2階席に向かって手を大きく振るえみそんの姿からは、このライヴはバンドのメンバーだけではなく、会場にいる全員で作り上げていることを表現しているのだと感じた。

"東京でやりたい曲がある"として披露されたのは、ニュー・フル・アルバム『SOLAR』にも収録される新曲「東京今夜」。ややスロー・テンポでメロウなメロディに乗せて奏でられる、えみそんと三浦による歌声のハーモニーもよく響いていた。そのまま"声は出せないけど、まだ盛り上がれますか?"という三浦の問い掛けにフロアが盛大な拍手で答えると、「地球を越えても」が演奏された。フレンズが醸し出すハッピーな空気感で会場が幸福感に溢れるなか歌われた"また会おうね"という歌詞には、"私たちはこれからも音楽を届け続ける"という意思表明も含まれているのだろう。

あっという間にライヴも終盤。えみそんが観客にライヴに来てくれたことの感謝を述べたあと、"配信ライヴも好きだけど、こうやって顔を見ながらライヴをするのは他には代え難い素晴らしい時間。フレンズはみんなを笑顔にすることがモットーだから、メンバーの脱退で悲しい思いをさせてしまったという葛藤もあったけど、みんなが信じて待っててくれて、温かい言葉を掛けてくれた。フレンズは4人じゃない、みんながいてフレンズなんだと思った"と話した。その言葉によりフレンズのメンバーとリスナーがひとつになったところで、初期から愛され続けている「ベッドサイドミュージック」が奏でられてライヴは終了。と思いきや、"アンコールがしづらいご時世ということで、独自に1曲披露します"と「街」が歌われた。"私たちは進んでいくぞ"という想いが込められた本曲は、まさしくラストの曲に相応しい。新体制となりリスタートをしたフレンズは、これからもファンと共に歩んでいくのだろう。今後のさらなる活躍に期待が高まるばかりだ。


[Setlist]
1. ビビビ
2. 夜にダンス
3. take a chance
4. 雨のフライデー
5. 急上昇あたしの人生
6. DIVER
7. NIGHT TOWN
8. 約束
9. 常夏ヴァカンス
10. いいんじゃない?
11. iをyou
12. 東京今夜
13. 地球を越えても
14. ベッドサイドミュージック
15. 街

  • 1