Overseas
Hostess Club Weekender
Skream! マガジン 2012年03月号掲載
2012.02.18 @ザ・ガーデン・ホール
Writer 中里 友
ついにやってきた!Hostessが仕掛ける音楽フェス2days。ボリュームたっぷり10組の豪華・洋アーティストが集った期待度の高いこのライヴに実に大勢の音楽ファンが集まった。
本イべントの幕開けはYOUTH LAGOON。あの過剰にリヴァーブがかったメランコリックなベッドルーム・ポップを、一体どの様にライヴで再現してくれるのかという関心の中、そんな心配をよそに素晴らしい程に突き抜けたイノセントで、中性的といっていい、素晴らしい歌声でもって多幸感溢れるパフォーマンスを見せてくれた。YOUTH LAGOONこと、巻き髪の青年Trevor Powerはややネコ背気味に身体をしならせながら鍵盤を弾き、サポートのギタリストもまたうつむきながらギターを掻き鳴らす姿が印象に残った。
続いて、5月にデビューするZULU WINTERが登場。長身のヴォーカリスト擁するメンバー5人のこのバンドは何とも王道というべきか、先行シングルの「We Should Be Swimming」がいかにもスタイリッシュに洗練されたUKロックで、デビュー前だというのに、きっちり完成されたライヴで観客を沸かせた。デビュー・アルバムが楽しみだ。
その後、SEには狼の咆哮の様な音がひたすらリフレインし、それが何故か神聖なムードを演出したかと思えば、しかし、次はそう、謎のオラオラ系芸術集団WU LYF!この2日間のバンドの中でも少し彼らは毛並みがちがう。それはライヴというよりギグと言った方がしっくりくるし、パワフルなドラミングや、さも野獣の様なハスキー・ヴォイスに拳を振るった野性味溢れるパフォーマンスには熱くさせられてしまう。「L Y F」から始まり、「Heavy Pop」まで、以前のFUJI ROCK FESTIVAL出演時よりもアップデートした構成のステージを魅せた。
白熱のパフォーマンスの後は一転して、Owen Pallett王子のショーケース。1人現れたOwenは、軽やかにヴァイオリンを弦で弾いたり、爪弾いたり、それを多重録音でレイヤーを重ねていく姿は、さながら1人オーケストラ! 目が離せない程、アクロバティックな技術を連発しながら涼やかにヴォーカルをこなす姿を目の当たりにして、場内からは感嘆の声が。ソロ・セットで2曲披露した後は、ドラマーとマルチ・プレイヤーの2人を招いてバンド・セットへ。3人とは思えない音の厚み!FINAL FANTASY時代を含めたキャリア網羅といった贅沢なセット・リストで、時にダンサブルに弾けながらも、終止お茶目な笑みを見せた王子だった。パねぇ!
そして初日トリはここ日本でも絶大な人気を誇るTHE HORRORS。本イベントのどこを見ても、彼らを意識した様な黒尽くめのファッションに身を纏ったインディ・キッズを見かけたし、いよいよライヴ目前のステージ前にはりつくファンの熱気など、そこかしこから彼らの人気が伺えた。そんな期待をもって迎えられたこの日の主役THE HORRORSのライヴは「Endless Blues」でスタート。イントロから途端にアップ・スピードする展開にファンも熱狂! 勢いとどまることを知らない彼らのライヴは、最新作『Skying』の楽曲を中心に突き進む。本編ラストは「Still Life」。フィードバックしたギターとサイケでポリリズミックな音像に、頭がクラクラしてしまう程のストロボの量(笑)。しかし、彼らのライヴで圧巻だったのが、アンコールでのパフォーマンス。「Moving Further Away」でノイズを垂れ流しながら、アンプをぶっ倒すJoshua(Gt)に、マイクをアンプに擦り付け増幅させるFaris(Vo)。その後、クラップで場内をひとつにしたかと思うと、絶唱しフロアへ下りるFaris! オーディエンスに支えられながらマイクを握って力強く歌う彼の姿は、この日のハイライトと言っていいだろう。インディ界のカルト・ヒーロー……いや、ダーク・ヒーローとしての彼らの姿はこの日のキッズの目に強く焼きついただろう。
そしてここで興奮の1日目を終え、2日目の回想に移る。1発目。今回がなんと初来日となったPERFUME GENIUSこと、Mike Hadreas。細身で見るからに弱々しい彼が、ライヴでは一変して、力強くも悲哀に満ちた歌声でその場の人間を感動に至らしめていく――そんなギャップに完全にやられてしまった。公私共に彼を支えるキーボーディストとギター&パーカッションのサポートの2人を含めた3人態勢のライヴ。途中ドラム・マシーンの不調か、トラブルがあるも、終始リラックスしている様な面持ちのMikeは高揚感のあるナンバー「Dark Parts」をプレイした後に「Learning」を演奏。ネガティヴな内容のこの曲をパートナーと共に連弾する彼は、とても幸せそうに見えた。ラストは1人弾き語りでの「Katie」。終演後、優しい笑みを見せて、力無く手を振った彼に、楽曲で見られる“儚さ”を見た気がした。
そしてこの日、一番衝撃を受けたのが、真っ赤な衣装に身を包んで現れた小柄で可憐なAnna Calvi。スライド・ギターの名手と聞いてはいたが、ここまでとは……。登場のっけから魅せる彼女の超絶ギター・テクニックに完全にロックされてしまった。ヘヴィかつノイジーだが、ロマンチックで情熱的……これまた激ウマ・ドラマーと巧みに様々な楽器を演奏するマルチ・プレイヤーのサポートもあったものの、完全にAnna Calviの独壇場。TV ON THE RADIOのカヴァー「Wolf Like Me」、カルメンを思わせる「Jezebel」や、「Love Won’t Be Leaving」の巧みなベンド、その凄さは女版Matthew Bellamyと言ってしまいたくなる程で、メジャー感のある伸びのある声からは、ギタリストとしてはもちろん、ヴォーカリストとしても、素晴らしいライヴだった。今回が初来日、多くの人が彼女に魅了されたはずだ。
続いて……きっと彼ら目当ての人も大勢いたことだろう。ベーシスト、ドラマー、キーボード奏者兼ギタリストを引き連れてTORO Y MOIこと、Chazが登場。エフェクトがかったキーボードの幻惑的なリヴァーブに引き込まれ、ライヴは始まる。チルウェイヴの発火点とされる彼の音楽はもっと官能的で肉体的だ。もちろん逃避的でダンサブルではあるが、彼の音楽をチルウェイヴと一言でくくってしまいたくはない。80’s的なハッピーなムードが漂い、粘っこくてグルーヴのあるR&Bをメローにトロットロにし、しかも躍らせてしまう音楽。それは甘い夜の音楽であり、まどろみを感じる朝の音楽でもあり、言ってしまえば、“チョー気持ちいい”音楽なわけだ。
さて、踊り疲れた後に控えるのは、エレアコとハーモニカを携えただけのBradfordことATLAS SOUND(足元には大量のエフェクターがある)。サポートも率いず、完全ソロの彼のライヴは去年も拝見したが、彼の家に招かれたかのように、とても親密な空間だった。トレモロの反復音と多重録音……去年の来日公演で見せた陶酔さは感じなかったけれど、最新作で見せたフォーキーで音数の少ない曲が緊張感を与え、刺激的なパフォーマンスとなった。本人の意向で照明は緑のみ、テーマはトカゲ(?)と……。「Te Amo」や「Walkabout」やキャッチーな曲も交えながらも、全編通してかなりサイケで、サウンド・スケープに溺れそうになる。終わってみれば、予定時間より10分程オーバーという……さすがBradford。
そして、今回のHostess Club Weekenderのラストを飾るSPIRITUALIZED。サウンド・チェックから名曲のオン・パレードで、もう期待せずにはいられません。この日駆けつけた大勢のファンはこの段階から“おーっ”だの“ジェームズ!!”だの、その人気、その健在ぶりが見てとれた。黒人女性コーラス2人にベーシスト、キーボーディスト、ドラマーに、Jason Pierceを含むギタリスト3人(!)の編成。3年ぶりの本公演、スタートは待ってましたの「Come Together」! ビッグ・バンドと共に奏でる彼の代名詞でもあるスペース・ロックはすさまじい音世界で、得も言えぬ一体感を感じさせた。4月にリリース予定のアルバムからの楽曲が中心とはいえ、繰り返し歌われるコーラスから、思わず途中から筆者も口ずさんでしまった。ラストはSPACEMEN3時代の人気ナンバー「Take To The Other Side」で轟音リフから爆音へと雪崩れ込み、さらなる衝撃を与えて去っていった。終わってみれば、アンコールもMCも一切なしの1時間半、呆然自失してしまう程に凄まじいライヴだった。
これだけのメンツを一同に集めてしまうHostessの求心力たるや、改めて凄いなと思わせるし、今回の様なライヴ・イベントは、泣く泣く金銭的な事情から来日公演へと遊びに行くのを諦めてしまうキッズにとってはとても喜ばしいことだと思う。6月23日、24日にはHostess Club Weekenderの第2弾が既に開催されることが決まっている。次回もまた最高のアクトを見せること間違いないアーティストが出揃うだろう。楽しみにしたい。
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