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INTERVIEW

Japanese

すてばち

2025年06月号掲載

すてばち

Member:年見 築(Gt/Vo) 松永 修典(Ba) 架(Dr)

3ピース・バンド、すてばちが6曲入りCD『すてばち』をリリースした。昨年夏にオリジナル・ドラマーが脱退するも、ハードコア・パンク・バンド 時啓草のドラマー 架を新たなメンバーとして迎えて、レコーディングされた今作にはルーツとなるアーティストへのリスペクトも感じられる、多彩なスタイルの楽曲が収録されている。本作についてメールで話を訊いた。

-Skream!初登場ということで、自己紹介をお願いいたします。

年見:ギターとヴォーカルの年見 築です。作詞作曲も担当してます。

松永:ベースの松永修典です。

架:ドラムの架です。

-2019年に結成、始動されたとのことですが結成の経緯を伺えますか?

年見:もともと私がポゴパンクと呼ばれるような、いわばハードコア・パンク界隈のバンドを組んでいました。そのバンドが解散し"さて次はどんなバンドをやろうか"と思ったとき、自分がもともと好きな日本語のロックをやろうと考えたんです。高校生の頃に村八分や頭脳警察、THE ROOSTERS(THE ROOSTERZ)やサンハウス、日本脳炎にTHE BLUE HEARTS や亜無亜危異等を好んでよく聴いていたので。"ヴォーカル、ベース、ドラムを探さないと。暇そうな人いないかな"と思ってパッと浮かんだ顔が、現ベースの松永君と昨年脱退した元ドラマーです。ヴォーカルはとりあえず自分が歌えばいいや、活動をしながら探していこうと思って、そのまま現在に至ります。

-メンバーそれぞれの音楽的ルーツや、影響を受けたアーティストについて教えてください。

年見:ルーツはTHE BLUE HEARTSでしょうか。今の自分のギター・スタイルが影響を受けたのはChuck Berry、ザ・クロマニヨンズの真島(昌利)氏やCREEDENCE CLEARWATER REVIVALのJohn Fogerty、Johnny Winter、元THE ROLLING STONESのMick Taylorです。他にもDave EdmundsやGypie Mayo等パブ・ロック系の方々や、Magic SamやJimmy Dawkins、Pat Hare等ブルース・ギタリストも大好きです。様々な方から少しずつ影響を受けていると思います。ヴォーカル・スタイルについては、ヴォーカリストという自覚がほとんどないので、思い付きません。Johnny Rotten(John Lydon/PUBLIC IMAGE LTD/ex-SEX PISTOLS)はかっこいいなと思っています。

架:幼少期にLED ZEPPELIN等のハード・ロックを聴いて育ち、中学生になってからDIR EN GREY等の日本のヴィジュアル・ロックにハマりました。以降は邦楽がメインで、高校生あたりからはBUCK-TICKやCOCK ROACH等の世界観のあるバンドの他、THE BACK HORNやGOING STEADY等の影響も受けましたね。その後GAUZEやDISARM等、国内外のハードコア・パンクにハマり、今に至ります。

松永:GLAYやポルノグラフィティが好きでよく聴いていました。特にGLAYからは、自分のベースのフレーズやプレイ・スタイルに大きく影響を受けたと思います。あとはGREEN DAYもよく聴いていました。

年見:音楽の好みはメンバー全員バラバラです(笑)。

-そういったアーティストや音楽と出会ったきっかけはなんだったのでしょうか?

年見:3歳年上の兄がいまして、兄がTHE BLUE HEARTSを教えてくれました。私が甲本(ヒロト/Vo)氏や真島氏を知ったときはすでにザ・クロマニヨンズで活動をされていましたが、ザ・クロマニヨンズよりもTHE BLUE HEARTSを熱心に聴いていた印象です。彼等のインタビューからSEX PISTOLSやTHE CLASHを知って、掘り下げてTHE ROLLING STONESやTHE KINKS、THE WHO等、さらに掘り下げてChuck BerryやElvis Presley、Carl Perkins等を知りました。ルーツのきっかけを作ってくれた兄には未だに感謝しています。ブルースに関しては、崎原ショータというブルース・マンの友人にいろいろと教えてもらいました。

架:ハード・ロックは父親の影響(教育?)、ヴィジュアル・ロックは兄弟や学校の友達の影響です。その他の邦楽ロックは高校時代に所属していたバンドのメンバーの影響や、単純に世代のものも多かったかなと。ハードコア・パンクは高校時代のバンドの周辺に少しいたのが最初の出会いですが、自分で聴くようになったのはそれから数年後で、たしかスタジオで知り合った友達の影響でハマったと思います。

松永:GLAYやポルノグラフィティは親の影響が大きいと思います。小さいときに車の中でよくかかっていたのを聴いてたので、そこから好きになりました。GREEN DAYは高校生のときにラジオで流れていたのを聴いてどハマりしましたね。

-『すてばち』のリリースおめでとうございます。今作が完成したときの率直なお気持ちを教えてください。

年見:ありがとうございます。バンドをやられている方は皆さんそうだと思いますが、完成したときは毎回"今作が最高傑作だな"と感じています。今回も例外ではなく、最高傑作だと思っていますね。

-今作はセルフタイトルを冠した作品となっていますが、その理由や込めた意味を教えていただけますか?

年見:今まで3タイトルのCDをリリースしているのですが、全てセルフタイトルです。セルフタイトルって、一番自信のある作品とか一番気合の入っている作品に付けるものだと思っているんです。先程も述べましたが"今作が最高傑作だな"と毎回思っているので、毎回セルフタイトルになってしまいます(笑)。すてばちを初めて知ってくださった方や、旧作も取り扱っていただいているレコード屋さんには、分かりづらくて申しわけない気持ちでいっぱいですが。

-昨年夏に架さんを新たなメンバーとして迎えてのレコーディングとなった今作ですが、その経緯と変化について伺えますか?

年見:昨年の6月にオリジナル・ドラマーが脱退しました。ドーナツ盤(『のうたりん / しだらね』)とCD(『すてばち(Rock And Roll)』)のWリリース直後でいろいろとイベント出演のお声掛けを頂いていたなかでの脱退だったので、ドラマー脱退を機にライヴ活動を止めるのは絶対に嫌でした。なので、とりあえずヘルプでもいいからドラムを叩いてくれる人を確保せねば、と思って声を掛けたのが架です。彼とは付き合い自体は短いものの、オリジナル・ドラマー時代のすてばちのライヴを一度観に来てくれましたし、年齢が私や松永君とも近いし、人柄も良くて捻くれてないし(笑)、ヘルプをお願いしました。 ヘルプで一度叩いてくれた後はもうこっちのもんだと思って、必死に口説き落としてメンバーになってもらいましたね。すてばちとは別でハードコア・バンド(時啓草)で叩いているのもあって、以前のすてばちよりもドラムの音に厚みが増し、その結果松永君のベースもすごくよく引き立っていると思います。架の加入後は間違いなく演奏面での評判が良くなりました。

-今作には、ルーツとなるアーティストへのリスペクトも感じられる、多彩なスタイルの楽曲が収録されています。カバーや再録を含めた楽曲構成の意図や選曲の背景を教えてください。

年見:好きなことや、やりたいことをただやっているだけなので、全体的な楽曲構成は直感というのが本音ですが、シンプルなロックンロールやパンク・ロックを根っこに、すてばちなりにバラエティに富んだ内容になったかと思います。 「猫町」はすてばち結成直後にできた曲で、結成してすぐに作ったデモCD-R(2020年リリースの『すてばち小品』)に収録したのですが、パワフルな架のドラムが「猫町」にすごくハマっていたので今回再録しました。Cocksuckersの「コークとスマック」は大好きな曲で今回収録させていただきましたね。国内海外問わず好きな曲があると、"カバーしたいな"とは思ってもなかなか実際の行動には移せないのですが、「コークとスマック」はそんなことを一切思わずにカバーさせていただきました。昨年再発されたCocksuckersのライヴ音源(『Live at Shibuya Yaneura 1983』)がかっこ良すぎて、"これは継承しないといけない"と勝手に使命感を持ったからだと思います。

-収録曲の中で特に思い入れのある楽曲や気に入っている楽曲はありますか。理由も含め教えてください。

年見:今作は全ての曲に思い入れがありますが、その中でも特に思い入れがあるのは2曲あります。1曲目は「つばくらめ」です。童謡みたいな歌詞とメロディの曲を昔から作りたくて、それに近いものができたので個人的に気に入っています。歌メロが「はないちもんめ」みたいなメロディですね。レコーディングのときにエンジニアの中村(宗一郎)さん(Peace Music)が、嬉々としてファズをいくつか貸してくれたことも非常に印象に残っています。2曲目は「ひょうたんなまず」です。大袈裟ですが、大好きな CANNED HEATを、わずかでも継承することができたのではないかと思ったからです。歌詞についても、自分の頭の中に浮かんでいた情景や気持ちを的確に表現できたので、とても気に入っています。

架:「猫町」です。自分の加入前から存在していた曲ですが、激しめで好みなので、一番我を出せている感があります。

-ライヴやツアー等、これから予定されている活動はありますか?

年見:ツアーは特に決まっておりませんが、6月22日に幡ヶ谷のCLUB HEAVY SICKですてばちのレコ発イベント("ロックンロールアニマル~すてばちレコ発編~")があります。来月7月は4日に東高円寺の二万電圧([二万電圧 presents"極東より愛を込めて"])、13日にSHINJUKU ANTIKNOCKでライヴ("OCEANS FIELD presents【たけくらべ-1回目-】")がありますね。13日は私が企画したイベントです。あ、7月11日に幡ヶ谷CLUB HEAVY SICKで私の弾き語り("ロックンロールアニマル ー弾き語り編ー")もあります。すてばちの曲をやったり、すてばちの曲ではない曲をやったりします。9月にも何本かライヴが決まっています。全て都内ですが、今年は地方も行きたいなと思っていますね。

-今後の展望や目標とする場所はありますか?

年見:お客さんの動員を増やして、大きい会場で演奏できるようになりたいだとか、そういう願望はあまりありません。もちろん、お客さん0人だったりしたら凹みはすると思いますが(笑)。それよりも定期的に新しい曲を作って演奏して、自分と同じようなロックやパンクが好きな方々が、すてばちを聴いたり観たりして楽しい気持ちになってくださるとか、何かを感じていただけたら一番嬉しいです。

-最後にSkream!読者にメッセージをお願いします。

年見:5月28日に新しいCDが出ました。自信作です。聴いていただけたら嬉しいです。来たる6月22日に幡ヶ谷CLUB HEAVY SICKでレコ発イベントも行います。入場者全員にすてばちのバッジを差し上げます。もし良かったら遊びに来てください。7月13日にもSHINJUKU ANTIKNOCKにて、私年見が企画したイベントを行います。すてばちはもちろん、かっこいいバンドがたくさん出演してくださいますので、こちらももし良かったら遊びに来てください。

RELEASE INFORMATION

すてばち
3rd CD
『すてばち』
『すてばち』
NONSENSE007/¥2,200(税込)
[NONSENSE RECORDS]
NOW ON SALE

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