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INTERVIEW

Japanese

音ノ乃のの

2025年06月号掲載

音ノ乃のの

Interviewer:高橋 美穂
©UNIVERSAL MUSIC LLC / 2024 Million Production inc.

みんな軽い言葉で人を傷付けてしまうから、想像していかなきゃいけない


-あと、やっぱり一番この楽曲で刺激的に飛び込んでくるのが"知りたい"と"うるさい"の連呼で。グサグサくる一方で、自分が歌ったらスッキリするんじゃないかなとも思えました。だから、どんな想いで歌ったのか、そしてどんな想いで聴いてほしいのかっていうところを伺いたかったんですが、どうですか?

私が何に向けて歌ったかって言われたら世間に対してなんです。どんな想いで聴いてほしいかは......日々を過ごしてて、あぁもううるさいなぁと思うことって誰にでもあると思っていて。だからリスナーさんにも私と同じようにストレス発散してほしいというか、共感を得ることもできるのかなと。

-ののさんご自身も、シンガーになる前に、音楽を聴いたり歌ったりしてストレス発散したっていう経験もありましたか?

そうですね。例えば失恋したときってみんな失恋の曲を聴いて泣いたりするじゃないですか。それと感覚は似ていて。怒りや面倒くさいなぁって感じることはあると思うんです。私も、ストレス発散したくて聴く音楽はたくさんありますね。

-「ロクデナシテンシ」はご自身が吐き出したくて作った歌だけれど、それがリスナーさんのためにもなったらいいなっていう想いもあるというか。

そうですね。

-また、この楽曲って感情を爆発させる歌い方だけではなく、かわいらしい歌い方をしているフレーズもありますよね。"おいで"とか、あと"Wo o o o oh~"って高らかに歌い上げているところとか。そのあたりってキャラクターを切り替えるような意識はあったんですか?

私的に普段の私と配信しているときの私を切り替えているつもりはないんですけど、感情的なキャラクター性の切り替わりってあるので。歌うときは難しかったんですけど、上手く表現はできたのかなって思いますね。かわいらしく歌う部分......普段の私も、私じゃないわけじゃないので、こういう変化があったら面白いと考えています。

-かわいいだけの人間も、怒っているだけの人間もいないですもんね。

そうそう。

-でも、特に表舞台に立っていらっしゃる方は一面だけで見られがちというか。だから「ロクデナシテンシ」のようにいろんな面を見せる楽曲は本当にリアルですよね。

はい。

-そして、この楽曲がただ感情を爆発させているだけではないことが一番はっきりわかるのが、"分かった?/まぁ上っ面ナめてるようじゃ無理か。/DisとPlayの向こうはね、/君のアタマで/想像しないと。"というラストなんですけど、ここ重要ですよね。

そうですね。tepeさんがどう思っているのかは正直分からないんですけど、私的な解釈では最後の"君のアタマで/想像しないと。"が大事で。みんなきっと相手がどう思うのか、どんな人なのか深く考えていないからこそ、軽く傷付く言葉を言ってしまったり、表だけを見て勝手に人を決め付けてしまったりすることがあるのかなって思うんですよ。結局のところどうしたらいいのかっていうと、みんな一人一人が考える必要があるのかなと。頭でちゃんと想像して、みんなが人の中身まで考える必要があるのかなって思っているので、この最後の歌詞があってこその「ロクデナシテンシ」だと考えてますね。

-また、VTuberのののさんとボカロPのtepeさんがこのフレーズを生み出しているのが、肝のような気がしていて。

そうですね。

-"上っ面"っていうのが、私の解釈ですけど、ネット社会に思えて。

あぁ、ほんとにそうです。

-スマホやパソコンの文字面だけでディスったりするのって......って、私が毒吐いている感じになってきましたが(笑)。

いやいやいや(笑)。私もそう思います。

-軽薄なやり方で人を深く傷付けることが横行しているなかで、それを阻止するには、ののさんがおっしゃったように想像することが大切なんですよね。

ほんとですよ!

-だから「ロクデナシテンシ」はののさん個人の感情を歌いつつ、時代性、社会性を表現する楽曲に着地していますよね。

まさに、ほんとにそうで。この楽曲の制作を依頼するときにも、ネット社会っていうテーマはあったので。みんな軽い言葉で人を傷付けてしまうから、想像していかなきゃいけないなっていう意味合いを込めて歌いました。

-さっきからおっしゃっている"世間"って、広い意味もあると思いますけど、活躍している場所がネットだから、ネット=世間というところもあると。

そうですね。それがメインかなと思っています。

-でも、その反面、主戦場であるネットの大切さも分かっていらっしゃるというか。

そうですね。大きくなるには、今の時代はネットを使っていかないと難しいかなと思っているので、全てを否定するわけではないんですけど。

-"ロクデナシテンシ"っていうタイトルもパンチがありますけど、ののさんはどのような解釈をしましたか?

私的な解釈だと、私自身なのかな? とは思っていますね。タイトルを聴いたときは鳥肌が立ちました。私自身を突かれたような気がして。

-この楽曲では表の顔と裏の顔が表現されていますけど、タイトルも"ロクデナシ"と"テンシ"と相反する言葉がくっついています。ののさんは、いつかはろくでなしじゃない天使になりたいですか?

さっきも言った通り、明るいだけの人間っていないと思うんですよ。なんかしらの闇を抱えているだろうし、悩みなんて誰でもあると思うから。ポジティヴになりたい人も、ネガティヴで共感し合いたい人も、どちらも救える人間になりたいんですよ。だから私は"ロクデナシテンシ"のままでいいのかなって思っています。

-聞きたかった答えです(笑)。今後、どういうシンガーに成長していきたいですか?

メジャー・デビュー・シングルの「約束」(2024年リリース)に、いつでもどんなときでも隣にいるよっていう意味合いの歌詞があって。楽しいときも悲しいときも、ネガティヴなときもポジティヴなときも、どんなときでも寄り添えるシンガーになりたいですね。いろんな感情になったときに気軽に聴けるような歌を歌っていきたい。みんなが手に取りやすい音楽を作っていきたいです。

-デビュー2周年ということで、ご自身の理想に向けて階段を登れている実感はありますか?

そもそも1年ぐらいでメジャー・デビューさせていただいたり、大きな案件をいただいたり、数字が出たりっていう目に見える形で大きくなれていて、それをモチベーションに頑張れているので。まぁ、まだ満足はできないんですけど。

-具体的に成し遂げたい夢ってありますか?

漠然とした夢になるんですけど、母が外国人なんで、世界中のいろんな人に聴いてもらいたいです。

-お母さんは、ののさんの活動について、何かおっしゃっているんですか?

母も音楽が好きなので応援してくれています。なんなら、YouTubeのショート動画に出てきたりします(笑)。

-ののさん自身は、これからどういうジャンルの歌に挑戦していきたいですか?

人よりは英語が得意なので、もっと世界の方に聴いていただけるように、英語の歌詞がたくさん入った楽曲にも挑戦したいです。

-最後にリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。

まずは、いつも私の歌を聴いたり、活動を応援してくださったりしている皆さんがいてこそ、いろんな挑戦ができるし頑張れるので、感謝しています。この楽曲を出すにあたってのメッセージとしては、"私も人間なんだぞ"っていうのをアピールしているので、歌詞とかメロディとかいろんな部分を聴いて、それぞれ解釈してもらえたら嬉しいです。これからも、みんなが推してて後悔しないアーティストになるので、応援よろしくお願いします!

COMPOSER COMMENT

音ノ乃ののさんの持つ"毒と華"を最大限に引き出す楽曲を目指しました。
タイトルは『ロクデナシテンシ』。
天使の皮をかぶったまま地に堕ちていくような、甘さとトゲが共存する世界を描いています。表面だけじゃ届かない、その奥にある衝動や本性に、ほんの少しでも触れてもらえたら嬉しいです。
tepe(OTOIRO)

RELEASE INFORMATION

音ノ乃のの
4th DIGITAL SINGLE
「ロクデナシテンシ」

作詞/作曲/編曲:tepe(OTOIRO)
[EMI Records]
NOW ON SALE