Japanese
見田村千晴
Interviewer:三木 あゆみ
-今作に収録されるのは、コンピ・アルバムに収録された弾き語りバージョンではなく、バンド・アレンジになっていますが、サウンドのイメージも最初から決まっていたのでしょうか?
もともと、今回のミニ・アルバムの中で、バンドでレコーディングをしようとは考えていました。今作では松本大樹さんにアレンジを4曲(「Judgement」、「タダモノ」、「15歳の。」、「私の悲しみ」)お願いしたんですけど、イメージみたいなものは基本的には任せました。1回作ってもらったものを聴いてみて、ここはこんなふうにしてほしい、みたいなところはあったんですけど、最初から何かイメージがあって、という感じではなかったですね。
-「私の悲しみ」は、自分の悲しみは自分にしかわからないというようなことが書かれていますが、現実的で孤独な印象ではなく、サウンドには温かさがあって救いのようなものもある気がしました。
悲しみとか怒りとかは自分だけのもので人にはわからないんだけど、だから孤独だとか、だから嫌だっていうほうに落とし込むんじゃなくて、それすら自分の特権だと思えたらいいんじゃないかなって。自分で、しがんでいるっていうか、よろこびを噛みしめるのと同じように、そういうふうに自分の中で噛み砕いて消化していけたら、他人に"なんでわかってくれないの?"って怒ることもないし。そういう向き合い方ができたらいいなと思って書きました。
-"独り占めしていたい"、"味わい尽くしたい"という言葉はそんな気持ちから来ているんですね。
はい。まぁ、希望ですけどね。なかなか難しいですけど、できたらいいなって。
-そういうふうに捉えられるのは素敵ですね。ほかの曲もそうですけど、自分自身と向き合ったからこそ気づけることがたくさん詰まっている気がします。コロナ禍の中で見田村さん自身もいろいろと考える時間が多かったのでしょうか。
多かっただろうし、自分以外の人たちもみんなそうだったんじゃないかなと思いますね。コロナ禍をきっかけに、今までやってきたことをやめる人がいたりとか、移住する人がいたり、仕事を変える人がいたり。コロナのせいで仕方なくっていう人ももちろんいると思うんですけど、コロナをきっかけに自分の人生について、仕事について、考えた人って多いだろうなと。でも、今まで惰性でやっていたことを1回立ち止まって、自分の人生ってなんなんだろうとか、生きていくことってなんなんだろうと考えて方向転換するのは、いいことだなって思うんです。コロナをきっかけに、自分を改めて見つめることはそんなに悪いことじゃないなぁっていうのは、考えましたね。
-今作はそういう考え方も含めて、見田村さんご自身の人となりみたいなものも表れていますね。
そうですね。いつもそうですけど、ストレートな歌詞を書きますし、わざとそう書いている部分もありますし、嘘をつくのがあんまりうまくないから、思ってないことを書けないので、作品にはそのときの自分がすごく反映されるんです。なので、これまでの作品もそうですけど、自分の足跡としてそれを残せる作品に今回もなったなぁと思いますね。
-そして、「15歳の。」の制作のエピソードも素敵だなと思いました。岐阜県の中学校の3年生の生徒さんに、"ありがとうを言いたい人"をテーマに文章を書いてもらって、それを見て完成させたそうですね。生徒さんの文章を見て、どういう印象がありましたか?
すごく素直だなと思いました。たまたま素直な生徒さんが集まっているだけだったのかわからないですけど、私が中学生のときこんなに素直に"お父さんお母さんありがとう"とか、"担任の先生ありがとう"とか、そんなこと書けたかなって考えるとたぶんできないんじゃないかなと思うので、そこにまずびっくりしましたね。っていうのと同時に、不器用さもあって。言葉が拙かったり、ちょっとした照れもあったりして、そこもかわいいなと思いました。
-歌詞は大人が聞いても、"あぁそうだよな"となる内容だなと感じます。"なんだってできるけど"、"なんにもできないよなぁ"というフレーズも印象的です。
15歳ってすごく微妙な年齢で、本人としてはもう子供だっていう自覚がなくて、子供扱いされるとちょっと嫌だったり、新しいことを始めるのはもう遅いって思っていたりとかしてる。でも、大人から見たら全然遅くないし、まだなんだってできる、なんだってやればいいのにって思うけど、本人はそれに気づいていないというか。それで、結局なんにもできないなぁってなっちゃう。でも、それって、今の自分もそうなんじゃないかと思うんです。今の自分を10年後、20年後から見てもきっとそういうふうに思うだろうし、逆に何歳になっても、"いやもう遅いし"って言ってる。周りから見て全然そんなことなくても、自分はそう思っているんだろうな、みたいな。年齢にあんまり関係なく、常にそうだろうなっていう気持ちがここには表れているかもしれないです。
-「金木犀の香りがわからない」は、アコースティック・ギターとヴァイオリンと歌で構成されたバラードです。書き上げてみて、ご自身ではどんな曲に仕上がったと感じていますか?
この曲は好きですね。こういう素朴で素直で、奇をてらわない曲のほうが心にスッと入ることもあるなぁと思います。
-本当に金木犀の香りがわからなくて、というところから生まれたんですよね。
そうなんです。5年くらい前からずっと、このタイトルで曲を書きたいっていうふうに思っていました。
-ゆったりとしたサウンドで、アルバムを締めくくる曲としてもすごくいいなと思いました。
ありがとうございます。この曲は最後だろうなって思いながら作っていましたね。
-収録されている楽曲もすべて素晴らしいですが、今作はそれだけでなく"完全解読本"がついた限定盤も発売されますよね。拝見させていただきましたが、まさに超充実の内容でした。前作のときも"完全解読本"を制作されていましたが、こういったパンフレットを作ろうとなったきっかけを教えていただけますか?
私は映画が好きなんですけど、映画のパンフレットってあるじゃないですか。もともと私はパンフレットを買う文化がなかったんですけど、ここ2~3年では必ず買うようにしていて。そういうのを見ているなかで、音楽でもこういうものがあったら嬉しいかもしれないと思って作りました。でも、オススメとしては、まずは何も情報を入れないで曲を聴いてもらって、そのあとに読んでもらうのがいい気がしますね。
-そこは映画とも通じるものがありそうです。その作品により深く入り込んでいくためのパンフレットというか。
そうですね。まずは自分の中で想像力を広げていただけたらいいのかなって思います。
-今回のパンフレットは対談も見どころのひとつだなと感じました。個人的には、代官山LOOPの元ブッキング・マネージャーである能代飛鳥さんとの対談が興味深かったです。コロナ禍でのライヴハウスのリアルな部分も知ることができる内容で。
代官山LOOPはオープンからずっと途切れなく出させてもらったハコなんです。何か企画をやろうとか、ワンマンをやろうってなったらまずLOOPが頭に浮かんでいたので、そこがなくなるっていうのは本当にショックだったし、今後どうしようって考えるぐらいのことで。そこで出会ったスタッフの方々も仲良くしてもらっていたし、その人たちはどうするのかなとかすごく考えたし。なので、アルバムとは直接関係ないですけど、今しか残せないものっていうところでは、今作のパンフレットで残しておきたいなと思いました。
-コロナ禍でライヴハウスが大変だというのは、もちろんわかっていることだとは思うのですが、改めてそれを深く知ることができましたし、こういった形に残すことはすごく大事だなと思いました。
そうですね。もちろん、今も現在進行形でライヴハウスは大変なところばっかりだと思うので、これでライヴハウスに目を向ける方がいてくれたらいいなと思います。
-パンフレットの中にはほかにもいろいろなコンテンツがありますね。お客様アンケートの"見田村千晴を○○に例えると?"シリーズなども楽しく見させていただきました。寄せられた回答を見ているときの見田村さんの反応が気になります(笑)。
面白かったですね(笑)。"野菜に例えると?"とかは、聞いたことのない野菜の名前が出てきたりして、よくみんな知ってるなっていう。知る人ぞ知るみたいなイメージなのかと思うとそれも複雑な気持ちになったりして(笑)。いろんな意味で味わい深かったですね。
-そんな充実のパンフレットも含めて、改めて今作『Marking』はどんな作品になりましたか?
もちろんコロナは大きな出来事というか、ひとつの転換点だと思うんですけど、コロナだけじゃなくて、いろんな価値観が変わっている最中だと思うので、そういうなかで生きている私を含め、聴いてくれるみなさんも同じ時代を生きている人として、きっと通じ合えるところはあるだろうなって。20年後、30年後に振り返ったときに、"あぁこうだったな"って思い出せるような作品になったなぁと感じているので、私としてもそれがすごく嬉しいです。特に今、みんなそれぞれ寂しい気持ちとかを持っていると思うし、"みんなそうなんだ"というのがなかなか感じづらいけど、少しでも寂しさ、孤独感みたいなものを感じている人たちに、同じ思いを持っている人が確かにいるんだってことを、届けられたら嬉しいなと思います。
-9月4日の岐阜公演からは、ツアー"見田村千晴LIVE TOUR 2021「Marking」"が始まります。ソロ・セットでの開催ということで、どのようなツアーになりそうですか?
ソロ・セット=弾き語りのかたちで、ギターと、あとピアノも弾くかもしれないんですけど、弾き語りでどこまでできるかっていうのを自分の中で探って、現状の答えみたいなものを出せるツアーにしたいですね。弾き語りって物理的にも心的にも距離が近いし、久々に会える人もたくさんいると思うので、より近くに感じてもらえるツアーにしたいです。
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