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DISC REVIEW

Overseas

Black Rainbows

英バンドSUEDEのヴォーカル、Brett Andersonがソロ・アルバム第4作『Black Rainbows』をリリースした。SUMMER SONIC 2011での圧巻のパフォーマンスが記憶に新しい彼。アコースティックな前作から一転、ロック・サウンドの中で耽美的な世界が広がり、新たな表情を見せてくれる。“矛盾”や“二元性”をイメージしたというタイトル通り、ノイジーなギターと落ち着いたヴォーカルが丸みのある広がりを持って響き、奇妙な躍動感を生んだ。楽曲の完成度は予想通り高く、アダルトなサウンドが心地良い。ただ、まとまりが良くなりすぎてしまったのか、Brettの歌う“熱情”の昂りが薄れてしまっている点がひとつ惜しいところではある。しかし、衝動の中に身を置くだけが音の魅力ではない。その根底に息づく、燃え盛るような思いを、丹念に辿ることで見える美しさもあるのだ。(山田 美央)