KASABIAN|Skream!ライブレポート

KASABIAN|Skream! ライブレポート

2012.01.16 @新木場STUDIO COAST
Reported by 山口 智男

全英No.1を記録した『West Ryder Pauper Lunatic Asylum』によって、UKロック・シーンの頂点を究めた彼らはそれだけでは飽き足らず、自らの貪欲な創作・表現欲求の赴くまま、さらなる前進を目指した――。
集大成であると同時に野心作でもあった4作目のアルバム『Velociraptor!』のリリースから4ヶ月を経て、KASABIANの来日ツアーがついに実現した。
今回の来日ツアーを楽しみにしていたファンも多かったことだろう。そんなファンの期待に応え、彼らは熱度満点のステージを披露した。僕は彼らの演奏からKASABIANがKASABIANたるゆえんを改めて実感させられたのだった。
 ライヴは『Velociraptor!』から「Days Are Forgotten」でスタート。不穏なムードを孕んだコーラスが何ともKASABIANらしい。ヴォーカルのTom Meighanは工事現場で使う警告灯片手にステージに現れた。ステージの後方から客席を照らし出すいくつものサーチライトがバンドの挑戦的な態度を物語る。“ありがとう! トキオ!”
Tomがフロアを埋め尽くしたファンに挨拶と感謝の言葉を投げかけ、バンドが「Shoot The Runner」「Verociraptor!」とたたみかけると、大歓声が湧き起こった。前者はKASABIAN流のブギ。後者は(野暮を承知で言わせてもらえば)どこかDavid Bowieの「Hang On To Yourself」を思い出させる疾走ロックンロール。
 そして「Underdog」だ。幻惑的なギターのリフレイン、横ノリのグルーヴ、そして哀愁メロディーが一つに溶けこんだ、まさにこれぞKASABAINと言えるミッド・ナンバー。バンドの演奏に手拍子で応えていた観客が曲の終盤、一斉に手を挙げ、バンドを改めて歓迎した光景はまさに壮観の一言だった。この序盤の4曲でこの夜のライヴの流れは早々に決まってしまったと言ってもいいだろう。
それにしてもフラッシュライトを過激に点滅させ、この夜のハイライトであることを印象づけた「Club Foot」、KASABIAN流のディスコ・ナンバーなんて言ってみたい「Re-Wired」といったダンス・フロアーを視野に入れた最新型のロック・ナンバーをキラー・チューンとして持つ一方で、前述した「Shoot The Runner」「Verociraptor!」のようなクラシック・ロックからの連続性――それはこの日、ライヴ前に流れていたBGMの数々からも明らかだった――を感じさせる曲もレパートリーにしているところが、僕のようなちょっと年季の入ったロック・リスナーにはなんだかうれしかった……いや、そういう部分をむしろ露悪的と言えるぐらい(?!)強調してきたからこそ、KASABIANは誰それのフォロワーにはならず、彼らならではのスタイルを確立するとともにUKロック・シーンの頂点を究めることができたんじゃないか。と、そんなことをサビがブギになる「Empire」やズンドコしたリズムがゴキゲンなロックンロールの「Fastfuse」を聴きながら考えた。
聴いているこちらが照れ臭くなるほどポップかつロマンチックな「Goodbye Kiss」を挟んで披露された1stアルバムからの「L.S.F」もROLLING STONESを連想させる骨太なロックンロールにアレンジされ、アルバムのヴァージョンとはまた違うかっこよさを楽しませるものだった。
もっとも、それは2000年代のロック・シーン最大の反逆児であるKASABIANの、ある一面にしかすぎない。しかし、この日、ステージに立っていた彼らが僕にはロックの正統な後継者に見えたのだった(エグいほどギラギラしたシンセをフィーチュアしたアンコールの1曲目「Switchblade Smiles」がこの夜のもう一つのハイライトだったことは言うまでもないだろう)。

Days Are Forgotten
Shoot The Runner
Verociraptor!
Underdog
Where Did All The Love Go
Man Of Simple Pleasures
Take Aim
Club Foot
Re-Wired
Empire
Fastfuse
Goodbye Kiss
L.S.F.

----- encore -----

Switchblade Smiles
Vlad The Impaler
Fire

Velociraptor!

Price:¥2310 → ¥1920  by Amazon

Release : 2011-09-21


まったく、彼らはリスナーを飽きさせることを知らない。約2年振りのリリースとなる4枚目のオリジナル・アルバムは、KASABIANの活動の集大成であり、新たな力が凝縮された作品だ。怪しく不穏な閉塞感、獲物を虎視眈々と狙うような危険度。ひたすらに不気味な空気を醸し出すストリングスは、おどろおどろしくも美しい。と思いきや、まどろむ様な優しさ溢れるミディアム・ナンバーや、軽快なヴォーカルが炸裂する人懐っこいキャッチーな側面も。次から次へと目まぐるしいその自由度にどんどん身体も思考も翻弄されて行く。ちなみに“Velociraptor(ヴェロキラプトル)”とは、ティラノサウルスを倒すことが出来た唯一の恐竜。挑戦を止めず、常に攻め続けた彼らが、とうとう最強の猛獣を生み出した。

(沖 さやこ)

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