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LIVE REPORT

Japanese

RAY

Skream! マガジン 2023年06月号掲載

2023.05.03 @Spotify O-WEST

Writer : 宮﨑 大樹 Photographer:ヤギタツノリ

"『アイドル×????』による異分野融合"と"圧倒的ソロ性"を掲げるアイドル・グループ、RAY。2022年9月に愛海、内山結愛、琴山しずく、月海まお、紬 実詩の現5人体制がスタートし、今年2023年2月には新体制初ワンマンが行われていた。"#RAY_Bud"(Bud=蕾)と名付けられたその公演には、"決意表明的ワンマン"というコンセプトがあったという。決意表明をしてリスタートをした彼女たちが、蕾の状態から花開くのか。前置きが長くなってしまったけれど、それを証明した場こそが、この日Spotify O-WESTで開催された"RAY4周年ワンマンライブ「#RAY_Bloom」"(Bloom=花咲く)であった。

フィードバック・ノイズが流れるなか5人がステージに姿を現し、「ネモフィラ」のパフォーマンスでライヴは開幕した。春に花を咲かせ、"どこでも成功"という花言葉を持つネモフィラをテーマにした楽曲は、今回のワンマン・ライヴのオープニング・トラックに相応しい。5人が身に纏っているのは、モノクロの生地に花をあしらったワンピースの衣装。今思えば、この衣装が制作された頃から今回の"#RAY_Bloom"への意識があったのかもしれない。静謐な雰囲気を漂わせながら、身体に響く重低音とともにイノセントな歌声を届けていく5人。アイドルらしいダンスというよりは舞台芸術を観ているような印象の振付も相まって、曲の世界観に一気に引き込まれたような感覚だった。

一転して明るく爽やかな雰囲気を持つ「Fading Lights」を披露してから、「秘密がいたいよ」へ。歪ませた大音量のサウンドを鳴らすRAYらしいシューゲイズ・サウンドに負けじと、ファンはコールで応戦。"いたいよ"と繰り返す特徴的でキャッチーなサビに合わせて、もだえ苦しむようなダンスが印象的だ。楽曲、ダンス、メンバーも合わさって、まるでひとつのアート作品のよう。その一方でMCになると途端に年相応の女の子に戻るあたりも、きっとファンの心を掴んでいるのだろう。

そうしてファンの心を緩めたMCのあとは、変拍子のシューゲイズ曲「読書日記」でライヴは再開。静かなパートと爆音のパートの緩急、行き来する変拍子で魅了する。続く「レジグナチオン」から本編ラストまで一気に駆け抜けていき、ポップ・ロックの「Rusty Days」や、大胆なテンポチェンジを取れ入れる尖った1曲「星に願いを」と、RAYの楽曲がいかに多彩で個性的かを示していった。そしてそういう楽曲が揃うからこそ、壮大なシューゲイズ曲「バタフライエフェクト」のような、自身の軸と言える楽曲がより映えるのだ。

そんな代表曲「バタフライエフェクト」のあとに、シンガロング・パートも備えた「ナイトバード」で会場の熱を一段と高め、逆に「サイン」では打ち込みのビートに乗せてどことなく機械的なダンスと無機質な歌唱で魅せていった。ここからライヴはいよいよクライマックスを迎えるのだが、最後の3曲には新曲の連続初披露というサプライズが用意されていた。浮遊感と開放感のある「フロンティア」から、エモーショナルなメロディ・ラインで心をグッと掴む「ディス・イズ・ノット・ア・ラブソング」、そして最後は本公演の名を冠した「Bloom」へ。温かなサウンドと飾らない5人の歌声が合う、そして風に揺れる花のようにゆらゆら踊る姿を余韻として残し、本編は幕を閉じた。

アンコールに応えて再び登場したRAYは、1曲目に「ATMOSPHERE」、2曲目にグループ初のシューゲイズ・バラード「ため息をさがして」を披露してから、ひとりずつファンに向けて言葉を贈る。それを締めくくるのは唯一のオリジナル・メンバーである内山結愛。彼女は"こんなにたくさんの人が観に来てくれて本当に胸がいっぱいです。オリジナル・メンバーはひとりなんですけど、自分が勝手に死ぬ気で守ってきたというだけで、みんなには軽い気持ちでいてほしいというか、いつ好きになってもいいし、いつ出会ってもいいし、それにはなんの優劣もないです。メンバーもそうで、新メンバーってまとめて言いたくないくらいずっと一緒に頑張ってきたと自分は思っていて。ひとりじゃ絶対にRAYというものは続けてこられなかったので、観てくれているみなさんもそうなんですけど、メンバーのみんなには本当に本当に感謝しています。その幸せを噛みしめて、RAYをたくさんに人にこれからも届けていきたいと思っています"と感謝の言葉とこれからの想いを語った。

会場が拍手に包まれるなか、公演の最後には新たな3ヶ月連続配信リリースと、9月24日に渋谷WWWにて新体制1周年記念ワンマンを開催することを発表。ますます今後が楽しみになる時間だった。この日RAYとして開花したメンバーが、5周年に向けてまた歩き出していく。


[Setlist]
1. ネモフィラ
2. Fading Lights
3. 秘密がいたいよ
4. フランボワーズ・パルフェのために
5. 世界の終わりは君とふたりで
6. Meteor
7. 読書日記
8. レジグナチオン
9. Rusty Days
10. 星に願いを
11. バタフライエフェクト
12. ナイトバード
13. サイン
14. フロンティア
15. ディス・イズ・ノット・ア・ラブソング
16. Bloom
En1. ATMOSPHERE
En2. ため息をさがして

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