Japanese
後藤まりこ
2014.01.05 @LIQUIDROOM ebisu
Writer 石角 友香
"やまない拍手とノイズ"に包まれる幸せと畏れ。『sound of me』のインタビューで後藤まりこは"音楽を止められない諦めとそれに伴う祝祭感"を明言した。アンビバレントな宿命についてバンド時代以上に、そしてソロ1st時以上に今の彼女は自覚的だ。そのことを2ndアルバム『m@u』リリース後のこのワンマン・ライヴでは壮絶なまでのプロフェッショナリズムとともに証明していた。
19時ジャストに会場が暗転したオープニングから、アンコールを含む全15曲が終わりステージ上が暗転した瞬間まで、われわれオーディエンスは後藤まりこの音楽の中にいた。まるでそれは完璧な舞台のように一切のエクスキューズはない。カーテンコールで喜ぶ素顔を見せることもない。これにはノック・アウトされてしまった。そして"あなたとわたし、あなたとわたし、あなたとわたし"と、最初は1人ひとりを指さし、目を見て確認するように発された言葉は次第に壊れた人形のように加速していくのだが、想像するに彼女は本心からここにいる全員にそう言いたかったのだと思う。彼女にとってこの瞬間の音楽を完成させるのはすべての"あなたとわたし"なくして有り得ないからだ。誰1人としてただステージを享受する存在であることは、精神的に許されないし、実際、高見の見物をする気持ちになれないし、瞬きするのも悔しいぐらい、彼女は瞬間を生きていた。
暗転したステージに駆け込んできた彼女は暗闇の中の一筋のピン・スポットに照らされて、Kovacsのエレクトロなトラックに乗せ、「大人の夏休み」をひとり芝居のモノローグのように紡ぎだす。曲が終わった瞬間、前述の"あなたとわたし"の獰猛なリフレイン。バンドサウンドに拘らない曲作りを果たした『m@u』だが、ライヴは今や鉄壁の布陣となったAxSxE(Gt)、仲俣"りぼんちゃん"和宏(Ba)、マシータ(Dr)、坂井キヨヲシ(Key)、中村圭作(Key)が脇を固めるどころか、6人全員で融合と軋轢を繰り返す。新作からのナンバーを立て続けに演奏する中でも、歌い出しの第一声からすさまじい破壊力で、バンドも瓦解寸前のイントロダクションを叩き出す「sound of me」は、全員が"わたしの音"状態。後藤のスクリームも爆音ギターも鼓膜をビビらせる。
「浮かれちゃって、困っちゃって、やんややんややん」の中盤には後藤が曲中にも関わらずステージ袖に走り、何をするのか?目を凝らすとスガダイローの手を引いて登場させ、ふたりで深々とお辞儀。そこから始まった即興「だいろーちゃんとまりこちゃん」での後藤の独白は、ライヴ会場のある恵比寿の話から東京の地下鉄のことから、いよいよ"音楽に出会ってなかったら"という核心に迫っていく。まさに"幸せでもあり、諦めもある。でもそれには祝祭感が伴う"、彼女が音楽を作ること、もっと言えば音楽そのものになっていく純化のプロセスを見たようで、鬼気迫る即興というより生命の誕生を見るような興奮に身動きもとれない。曲が終わると彼女はステージ上で"おめでとう!"と言ってはクラッカーを放つこと5回。この間に4人目の鍵盤奏者、渡辺シュンスケも加わって、4キーボードはそんじょそこらのオーケストラより分厚いサウンドを組み上げていたのだ。そのトゥー・マッチな編成が生み出すグルーヴとカオスは「ドローン」で頂点に達し、オーディエンスの海に飛び込んだ後藤は、どんな態勢でも歌を途切れさせることはなく、またファンもマイクのシールドを供給。まるで祭りの神輿ではないか。"2014年も見たことないとこまでいきたいから。見たことない景色を見てみたいから!"という決意とともに本編を走りぬいた彼女の表情は少し感極まっていた。泣き笑いの表情と声のままで、本編ラストの「m@u」に突入。"気持ちわかちあう時には 「歌」を歌う気持ちに嘘はなく"という部分が突き刺さる。"アイ・ラヴ・ユー。ありがとう"と一言残して、メンバーともども潔くステージを後にした。
アンコール・ラストはオープニング同様、後藤ひとりでKovacsの打ち込みチューン「す☆ぴか」。澄み切った冬の空気にポツポツと光る星を思わせるサウンド・プロダクション、呟きと絶叫を行き来する凄まじいヴォーカリゼーションとのコントラストも素晴らしかったが、ラストの"1,2,3,4,5, ばいばい"とともに暗転しライヴは終了。それはエンタテイメントとしての矜持も含めて鳥肌ものだった。あなたとわたしは音楽のなかでまちがいなくつながっていた。でも、それは永遠ではないし、物事には終わりがある。例えば一夜のライヴしかり。祝祭と諦め。それを自らの肉体で一遍の物語を描き切った彼女の手さばきに、去年とは違う今を感じた一夜だった。
- 1
LIVE INFO
- 2025.07.07
-
ビレッジマンズストア
ナナヲアカリ
NakamuraEmi
浅井健一
- 2025.07.08
-
TENDOUJI
Hump Back
go!go!vanillas
ビレッジマンズストア
the dadadadys
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
銀杏BOYZ
- 2025.07.09
-
SHE'S
いきものがかり
Maki
山内総一郎(フジファブリック)
- 2025.07.10
-
TENDOUJI
Saucy Dog
礼賛
いきものがかり
浅井健一
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
BBHF
the dadadadys
Hello Hello
GRAPEVINE
ザ・シスターズハイ
Organic Call
downy
四星球
- 2025.07.11
-
TenTwenty
女王蜂
TENDOUJI
なきごと
the shes gone
フレンズ
Saucy Dog
Laughing Hick
浅井健一
WtB
yutori
ビレッジマンズストア
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
のうじょうりえ
賽
ヤバイTシャツ屋さん × Perfume
wacci
KALMA
LITE / DO MAKE SAY THINK / HOTEL NEW TOKYO
GLIM SPANKY
Mirror,Mirror
reGretGirl
四星球
Rei
- 2025.07.12
-
大原櫻子
星野源
藤沢アユミ
FIVE NEW OLD
ASP
コレサワ
あれくん
ART-SCHOOL
SAKANAMON
女王蜂
LOCAL CONNECT
BLUE ENCOUNT
竹内アンナ
いゔどっと
PK shampoo
荒谷翔大
ACIDMAN
ズーカラデル
夜の本気ダンス × BRADIO × 8otto
チリヌルヲワカ
Homecomings
ブランデー戦記
[Alexandros]
鶴
SVEN(fox capture plan)
YUTORI-SEDAI
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
ADAM at
WtB
Eve
有村竜太朗
Bimi
MAPA
安藤裕子
蒼山幸子
古墳シスターズ
斉藤和義
原因は自分にある。
怒髪天
渡會将士
マオ(シド)
- 2025.07.13
-
星野源
あれくん
SVEN(fox capture plan)
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
TenTwenty
板歯目
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
FIVE NEW OLD
ASP
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
コレサワ
鶴
"HELLO INDIE 2025"
なきごと
ズーカラデル
UNCHAIN
ART-SCHOOL
有村竜太朗
アルコサイト
[Alexandros]
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
チリヌルヲワカ
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
Homecomings
ADAM at
ブランデー戦記
Eve
神はサイコロを振らない
荒谷翔大
カミナリグモ
FUNNY THINK
ぜんぶ君のせいだ。
VOI SQUARE CAT
安藤裕子
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
reGretGirl
斉藤和義
原因は自分にある。
トラケミスト
- 2025.07.14
-
Mirror,Mirror
- 2025.07.15
-
有村竜太朗
板歯目
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
[Alexandros]
Mirror,Mirror
TENDOUJI × 浪漫革命
SCOOBIE DO
キミノオルフェ
羊文学
Saucy Dog
Ivy to Fraudulent Game
- 2025.07.16
-
有村竜太朗
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
GLIM SPANKY
BIGMAMA × Dannie May
坂本慎太郎
Base Ball Bear × PEDRO
SHE'S × ヨイズ
TenTwenty
Saucy Dog
- 2025.07.18
-
斉藤和義
YOASOBI
フレンズ
[Alexandros]
SVEN(fox capture plan)
板歯目
東京スカパラダイスオーケストラ
ExWHYZ
GLIM SPANKY
the paddles
キュウソネコカミ
NEK! × komsume
KiSS KiSS
Organic Call
ぜんぶ君のせいだ。
SAKANAMON
ヤングスキニー
ACIDMAN
Laughing Hick
TENDOUJI
cinema staff × eastern youth
- 2025.07.19
-
豆柴の大群
浅井健一
フレンズ
"NUMBER SHOT2025"
コレサワ
YOASOBI
PIGGS
鶴
東京スカパラダイスオーケストラ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
Novelbright
"JOIN ALIVE 2025"
shallm
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
キノコホテル
UNCHAIN
竹内アンナ
め組
"焼來肉ロックフェス2025"
SPECIAL OTHERS
ExWHYZ
LOCAL CONNECT
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
ぜんぶ君のせいだ。
いきものがかり
新しい学校のリーダーズ
"DAIENKAI 2025"
チリヌルヲワカ
片平里菜
PENGUIN RESEARCH
荒谷翔大
Nothing's Carved In Stone
マオ(シド)
- 2025.07.20
-
神はサイコロを振らない
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
[Alexandros]
ビッケブランカ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
"JOIN ALIVE 2025"
キノコホテル
HY
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
崎山蒼志 / NakamuraEmi / ズーカラデル / TENDRE ほか
GRAPEVINE
"焼來肉ロックフェス2025"
清 竜人25
PK shampoo
"DAIENKAI 2025"
LOCAL CONNECT
ROF-MAO
いきものがかり
GARNiDELiA
ブランデー戦記
- 2025.07.21
-
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
PK shampoo
LOCAL CONNECT
東京スカパラダイスオーケストラ
ASP
鶴
TENDOUJI
jizue
め組
HY
PIGGS
小山田壮平 / 奇妙礼太郎 / 安部勇磨(Band set) ほか
ぜんぶ君のせいだ。
アーバンギャルド
LACCO TOWER
GOOD ON THE REEL
いゔどっと
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Homecomings
SpecialThanks / レイラ / GOOD4NOTHING / THE FOREVER YOUNG ほか
アカシック
PENGUIN RESEARCH
- 2025.07.22
-
Hump Back
the telephones
RELEASE INFO
- 2025.07.07
- 2025.07.08
- 2025.07.09
- 2025.07.10
- 2025.07.11
- 2025.07.13
- 2025.07.15
- 2025.07.16
- 2025.07.18
- 2025.07.19
- 2025.07.20
- 2025.07.23
- 2025.07.25
- 2025.07.29
- 2025.07.30
- 2025.07.31
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
音ノ乃のの
Skream! 2025年06月号