Japanese
石鹸屋
Skream! マガジン 2013年12月号掲載
2013.11.17 @新宿BLAZE
Writer 沖 さやこ
最近ライヴで演奏していない曲中心のセットリストで攻める、その名も"MANIACS 2013 再生工場(セ・パ)"。東京公演の(セ)と大阪公演の(パ)のセットリストは一部同じものはあれど変えているとのことだ(※ちなみにこのタイトルの元ネタは野村克也監督の"野村再生工場"なのでセとパで分けられている)。最近演奏していないということは体への馴染みも薄いだろうし、その曲を知らないファンが多い可能性も高い。ゆえに昔からのファンとしては"あの曲が聴けるかも!?"とわくわくするライヴでありつつ、それなりにハンデのあるライヴとも言える。だが蓋を開けてみるとそんなもの全部吹っ飛ばす、石鹸屋ワールドを様々な角度から楽しめる貴重な時間だった。
暗転すると歓声が起こり、SEが鳴りだす前から観客は掛け声とクラップで歓迎する。まずはhellnian(Dr)、BOSS(Ba)、不思議の国のアリスを彷彿させるコスチュームに身を包んだ秀三がステージに登場。まずは3人で「恋色クリムゾンスパーク*」のイントロを奏でるというそのマニアックな選曲に観客のテンションも一気に高騰する。そこから「ルナ・マーダー ~夜霧の幻影殺人鬼~*」に移ると、ステージに厚志(Vo)が登場。また一際大きな歓声が沸いた。"待たせたな石鹸屋だ!"という厚志の定番の決め台詞からドラム・カウントで「寡黙なるフォール*」。hellnianのドラムはのっけから果敢に攻めており、その音とパフォーマンスは、少々固めに見受けられる前衛3人を力強く後押しするようでもあった。続いては石鹸屋の前身バンドの楽曲「HELL YEAH」。フロアも"まさかその曲までやっちゃう!?"と言わんばかりに高く跳び喜びを更に表現する。"全然やってない曲ばっかりで、なかにはどんな構成だったっけ? と思う曲もある"と厚志。初期のオリジナル曲「エレクトリック・グランドファーザー」「鬱陶しい脳内」は現在の彼らによってより迫力を増す。
適材適所にアプローチを変えるBOSSのベース、秀三の熱いヴォーカルやスパイスの効いたギターも痛快だ。初々しさと成熟が同居する音で彩られた初期曲たちを聴いていたら、いまは一体平成何年だったかも自分が何歳なのかもわからなくなるという心地よい混乱に襲われた。ライヴで馴染んでいない曲が多いゆえの戸惑いなどは微塵も感じさせないフロア。その場で鳴らされる音をひとつひとつ真剣に噛み締める姿に、改めて石鹸屋というバンドとその音楽がファンからしっかりと愛されていることを確信する。
「アイムファイン」「かくて彼らは桜に踊る*」の後、厚志がステージから退場。秀三がメイン・ヴォーカルを取る3ピース体制だ。BLAZEの所在地とかけて椎名林檎の「歌舞伎町の女王」を風変わりな節回しのアカペラで歌うと、エレキで弾き語る「⑨、変(こい)のバラッド*」へ。ピンスポが当たった秀三はカズーを披露するもまったくメロディを辿れてなかったり、そんな秀三を見ながらBOSSとhellnianは影のなかで微笑ましくクラップをしたりと、そのシュールさに会場全体が含み笑い(笑)。「魔理沙 -Shanghai mix-*」や、秀三のソロ・サークルの楽曲「ハイコートポロロッカ*」では、アグレッシヴなギターやBOSSのホイッスルも手伝ってお祭り騒ぎ! そのテンションのまま厚志を加えて「アニー」へなだれ込む。この日、いまのメンバーになってからの楽曲で唯一演奏されたのがこの曲。エフェクターを使ったギター・ソロもドラマティックで、遊び心満載のアンサンブルから4人の呼吸と躍動がより生々しく伝わりストレートに胸を打つ。当たり前と言えば当たり前かもしれないが、やはり"いま"の石鹸屋にいちばんしっくり来る曲はこの4人で作られた楽曲なのだ――と、理屈では説明できない"バンドのグルーヴ"を肌で感じた瞬間だった。
ライヴで演奏したのは2009年2月の座間ハーモニーホール以来2回目という、ブルース的アプローチの秀三ヴォーカル曲「フィルム・エンド*」では厚志がギターを構え、石鹸屋では非常にレアなギター2本体制(※座間でのライヴでは秀三はキーボードを弾いていたとのこと)。厚志も人前でギターを披露するのはそのライヴ以来2回目で、演奏後は"手汗がすごい"と場内を笑わす。ここから高速ナンバー「背中。」とミディアム・テンポの「また、また明日」で緩急をつけ、厚志の"もっともっとやっちまおうぜ新宿!"という煽りから熱い大合唱が巻き起こった「PT」「地獄の端にて君を待つ*」で本編を駆け抜けた。
アンコールでは地元が同じ某バンドの名前をもじった"ばけものがかり"という新人バンドに扮し、厚志がドラム、BOSSがギター、hellnianがベース、蝶の仮面をつけた秀三がヴォーカルというパート・チェンジで「博麗ちゃん境内から落下す*」を披露。慎重に音を刻む厚志とBOSSに、ステージ前方に出て観客とコミュニケーションを取ったりと余裕のhellnian。演奏前に"恥ずかしい! 緊張する!"と言っていた秀三はハンド・マイクに落ち着かないのか挙動不審気味でステージ中を動き回り、たまに奇声を発したりとあまり観客を見ようとしない(笑)。そんな4人の様子はなんだか高校生の軽音楽部の部室のワン・シーンのようでとても微笑ましく、演奏後はフロアからはあたたかい拍手が起こった。ラストは「ハイブリッドバディ」「さっきゅんライト*」で締め、厚志が"これが石鹸屋だ!"と高らかに叫んだ。彼らのライヴの定番曲である「シャボン」も「レモン」も「BLACK NEWTYPE T2」もあれもこれもないセットリスト。だが他の曲だってお馴染みのキラー・チューンたちと同じくらいに輝くことができる。それはまさに生まれ変わらせる="再生"。昔は良かったと過去を懐かしむ回顧ではない。メンバーがステージから去った後にフロアから起こった力強い三本締めと大きな拍手は、バンドへの感謝だけでなく、新たな動きへの期待が込められていた気がした。
*......東方アレンジ曲 【(C)上海アリス幻樂団】
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