Japanese
9mmの髭とNICOのASSHOLE
2010.06.30 @赤坂BLITZ
Writer 花塚 寿美礼, 島根 希実
4月は9mm Parabellum Bullet、5月はOGRE YOU ASSHOLE、そして6月はNICO Touches the Wallsというゲストを迎え、3ヶ月間連続で行われた“9mmの髭とNICOのASSHOLE”が6月30日に赤坂BLITZで最終回を迎えた。
まず、先陣をきって登場したのはNICO。序盤から「THE BUNGY」の投入でアグレッシヴなパフォーマンスを魅せる。続いての「ホログラム」では得意のギターサウンドが炸裂し、後方にいた人たちも一気に前へつめかける! 「君だけ」などバラードのあとは「Broken Youth」で昇華!そして光村(Vo&G)の“新曲やります!”というアナウンスのあとには、8月にリリースされる新曲「サドンデスゲーム」も披露された。疾走感あふれる攻めの1曲である。熱気に渦巻くフロアに豹変させNICOはステージを後にした。
そして転換後にSEが鳴り観客の「おおーーー!」という声が飛び交うなか、神々しくステージに姿を現したHiGEの6人。一発目に披露されたのは意外にも(?)HiGEの真骨頂とも言えるスロウなミディアム・ナンバー「青空」だ。いや、1発目からこうくるか、と。やはり今日はスペシャルなライヴになりそうな予感がする。それからの「ランチ」。その後「GOO」と続き、4曲目の「ロックンロールと五人の囚人」で明らかに会場の温度が変わる。先ほどまで体をゆらしてゆったり音に包まれていた観客たちも、今度は拳を突き上げノリまくる! 立て続けに4曲駆け抜けたあとは“どうもHiGEです!今日はありがとう”と、須藤(Vo&G)。特有のゆる~い雰囲気のMCは健在だ。そして放たれたのは「B級プロパガンダ」!! 続いて豪速球なキラーチューン「D.I.Y.H.i.G.E.」へ。テンポがいつになく速く、フロアの熱気もグングン上昇し、もう、止まらない。フィリポ(Dr)も踊りだしちゃうし(笑)、一気にアドレナリン大放出な展開に。その後は「溺れる猿が藁をもつかむ」へ。そこでコテイスイ(Dr)が拡声器を持ってフロントに登場!それにしても(中盤で言うことではないが)、この日は本当に息つく隙も与えない神懸かり的なセットリストである。そんな流れで「魅惑の深海パーティー」へ突入する。
MCを挟んで鳴らされた音は、奥田民生が初めてバンドをプロデュースした作品「サンシャイン」。日だまりのような優しいサウンドが響き渡る。「イカしてる俺は×××」ではフィリポが前に、須藤もハンドマイクで歌いステージフロントで2人でシャウト!須藤が「もはやオレ、ギター持ってないし(笑)」と自由なステージングで魅了する。そうだった。HiGEには固定概念なんかない!ステージ上で6人が思い思いに楽しく音を鳴らす=HiGEのアンサンブルだってこと。みんなが楽しくやってる様が痛快すぎる!次はベスト盤に収録されている「テキーラ!テキーラ!」。歌詞にもあるように天井のミラーボールが回り始めた。「黒にそめろ」に「髭よさらば」とあらゆる変化球を投げ続けられ、観客もあるときは体を揺らしたり、拳を突き上げたりと、忙しい(笑)。
アンコールでは須藤が“最も髭が似合う男…、いや、最も毛に愛された男!つっしー!!”とNICOの対馬(Dr)をステージへ呼び込む。“最も毛に愛された男”という称号を得た対馬は楽屋でのエピソードをバラされ、タジタジの様子。斉藤(Gt)いわく、“フィリポと(対馬)の会話を聞いてたけど、ずっと話がかみ合うことがなく平行線”とのこと(笑)。突如、ステージに用意されたブブゼラをうまく吹く対馬に対し、負けじとフィリポも対抗。その様子に会場中が爆笑。存分にイジられ倒された対馬はブブゼラを吹きながらステージからはけるというシュールな一幕が(笑)。「将来、毛に嫌われたりしてね…」という須藤がボソリとつぶやく。そして「ブラッディ・マリー、気をつけろ!」、「MR.アメリカ」からの「ミスター・タンブリンマン」では手を揺らしフロアいっぱいのオーディエンスにたくさんの笑顔を残して終了した。メンバーがステージを去った後もずっと拍手が止まらなかった。
圧倒的なステージ展開は、まさにエンターテイメント・ショウ。こんなにも自由奔放で中毒性のある楽曲、ちょっと毒を含みユーモアもありつつのHiGE流のハッピーな空間。率直な感想は…楽しすぎでしょ!! HiGEは7月14日にアルバム『サンシャイン』がリリースされる。新たな魅力が詰まった曲に出会えるのが今から楽しみでならない!(花塚 寿美礼)
そして赤坂BLITZ公演から3日後、今度は僅か50人のみ招待の青空試聴会なるものが行われた。
会場となったのは、住宅街と巨大な公園とに挟まれた場所にぽつんとある喫茶café nico。中に入るとオープンテラスには5人分のソファ(この日は新メンバー會田は不参加)、それと対面する形で50人分の椅子が用意されていた。
イベントは二部形式となっており、一部が7月14日発売のアルバム『サンシャイン』の試聴会。これはメンバー抜きで行われた。感想はというと、コミュニケーションが一つのキーワードになっている作品だけに、HiGE史上最高に穏やかで温もりのある作品となっている。あいにくの曇り空ではあったが外で聴くのは非常に心地よかった。
休憩を挟んで、二部の開幕。二部は音楽雑誌『MUSICA』で連載中の「髭の…」の公開収録。ここでいよいよメンバーの登場である。「髭の…」はメンバーがその時話題となっているニュースをテーマに語るというもので、この日の最初のテーマは“サッカーW杯 日本代表 大躍進”。
それにしても、いざ話し始めると、会話のテンポがすごい。マイペースというか髭ペースというか。一度でも彼らのトークイベントや番組を見たことがある方なら分かるはず。“サッカーは泣けた。だが試合後のインタビューのテンションは低すぎないか”という話題から“日本代表はみんなトッティ(元イタリア代表のサッカー選手)のマネをしている。まぁ俺はトッティを知らないけどね。”と言い出したあたりから、須藤さん、トークがハイレベルすぎです!しまいにゃ“サッカーはつまらなかった。録画して寝た。”なんて言い出す始末(笑)。
2つ目のテーマ“群馬県の学校でプールの水垂れ流し”は、テーマが地味だということでいつの間にか“お水の話”へと話題が移行。須藤が浄水器の良さを熱弁し始めるも、何故か“子供は泥水をごくごく飲む”というまたすごい着地をしていた。
その後もHiGEワールド全開のトークを繰り広げるも、最後には、“みんなとこうやってコミュニケーションとれる場をこれからも作っていきたい”とかっこよくきめてくれました。やはり髭ちゃんは誰よりチャーミングだ。(島根 希実)
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