Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

COLUMN

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第39回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第39回】

Written by
2024.10.18 Updated

女友達の誕生日会に呼ばれた。 「本当に開催されているのか」という感想に尽きる。それほどまでに人生で女性の誕生日会に参加した記憶がない。誕生日といえばプレゼントだ。 ひとつ覚えているのは、小3の頃クラスメイトの女子にお呼ばれして『浦安鉄筋家族6巻』をプレゼントしたときの、その子の神妙な顔である。 小学生の気を遣った顔というのはこの歳になっても私の心をグシャグシャに叩き折る破壊力を持っている。 私は

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第38回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第38回】

Written by
2024.08.21 Updated

オタクだからアキバが好きなのか、アキバが好きだからオタクなのか、はたまたオタクが好きだからアキバが好きなのか私は私で判断出来ないのだが、私は今や死語となったアキバ系のオタクである自分のことが、実は嫌いではない。 むしろ趣味のために社会性や人間性を損なって生きてきたイビツな有様に、鏡を見て震えることもあるくらいだ。 しかし、同時に私はアキバを歩いているときに「オタクだと思われていないだろうか」と、い

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第37回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第37回】

Written by 下川リヲ
2024.06.21 Updated

挫・人間はまったく人気もない頃から特殊な客が集まりがちだった。 赤いロープで亀甲縛りをしたままライブにくる女や、女の子に踏まれるのが好きな関西弁で喋る外国人、毎回気合いの入ったコスプレをしてくる女もいたし、全身タイツで股間から白鳥が生えてる性別不明の存在もいた。おれが警察なら全員逮捕している。 オレンジのツナギを着てる人が集まっていたりすると、「今日はPOLYSICSがライブやるのか~」なんて思

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第36回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第36回】

Written by 下川リヲ
2024.04.18 Updated

坂西という男がいる。 彼はオタクでもなければバンドマンでもない。バイクと保健体育が好きなただの同級生である。 共通の趣味など無いのにウマがあい、気付けば20年もの時間を親友として過ごしている。 中学時代から学校に「落第者」的なレッテルを貼られてもヘラヘラしていたせいか、2人してまったくモテなかった。 体育でサッカーをやっても、ゴールキーパーとディフェンスの狭間にあるなんとも言えない空間「キモ時空」

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第35回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第35回】

Written by 下川リヲ
2024.02.26 Updated

今までどれだけの数サインを書いてきたのだろう。 リリースの度、プロモーション用に千回近くサインをしている。 仮に一万回近くサインをしてきたと仮定して、そのうちの一度だけ忘れられないサインがある。 もう遥か昔の話、挫・人間が出待ち入り待ちを禁止していない時期の話。 「ライブには間に合わなかったんですけど......ファンなのでサインだけください」 と言って色紙を差し出す男がいた。 いくら不人気のアン

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第34回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第34回】

Written by 下川リヲ
2023.12.21 Updated

クリスマスが近づいてくると「Skream!コラムの〆切が近いな......」と思うようになった。クリスマスについて書くのは6回目になる。そういう罰ですか? おれが高校時代の話だが、某ネット掲示板ではクリスマスになると、「性の6時間」と呼ばれる時間に街へ出て、ぶっ通しで正拳突きをする風習があった。 当時、ネットではオタクがとにかく踊り狂っており、歌い狂ってもいたのだが、そのお陰もあって正拳突きをする

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第33回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第33回】

Written by 下川リヲ
2023.10.19 Updated

モテたい。 バンドマンに幻想を抱いている人からすると絶望的な書き出しだが、本当にモテなくてモテたいのである。 「バンドマンなんだからモテるでしょ」などという話を何度もされてきた。 真実としては、「バンド関係なくモテる奴はモテる」というところで、モテない奴はバンドをやるくらいでは絶対にモテないのだが、たまにその枠から逃れる奴らがいる。 奴らは『秘技・下川アイ』で恋愛戦闘力を見てもモテるはずがないのに

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第32回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第32回】

Written by 下川リヲ
2023.08.25 Updated

前回説明した通り、実家には僕を完全に外敵認定したチワワがいる。そのチワワは無条件で愛され、幸福に暮らしていた。 僕はと言えば、よかれと思って這って焼きそばパンを食べたり、鳥が求愛するようなハイトーンで叫んだりしたが一向に愛される気配はなかった。僕はもう、ひたすらに愛くるしい存在など認めるわけにはいかない。 僕と実家のチワワ(以後、屈鬼威と呼ぶ)は目と目が合うたびに吠え合い、そして母親はそれを見るた

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第31回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第31回】

Written by 下川リヲ
2023.06.22 Updated

実家でチワワを飼い始めたのは、僕が上京した頃だった。 思い返すと、上京した直後に全国的な「くまモンブーム」がおこり、帰省した故郷はさながら謎の生き物に植民地支配を受けたような有様だった。 街のどこにいても顔を見せる彼は、「君たちは自分の支配下だモン♪」と言っているように思えた。 久しぶりに会う故郷の人々がゆるキャラを崇拝し始めている光景はなかなか恐ろしかったが、思えば実家で初めてチワワの黒い影を目

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第30回】

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第30回】

Written by 下川リヲ
2023.04.20 Updated

入学シーズンと聞いて思い出すのが、挫・人間オリジナルメンバーのひとりであるHAMACHANGとの出会いである。 中高一貫の学校に通っていたアタクシ、実は中学時代から何度もバンドを組もうと画策していたが、ガリ勉学園だったため俺がクラスのちょっと話せるくらいの奴に「バンドやらないか」なんて言った日には呼び出し、及び学級会議という、ロックンロールディストピアと言っていい状況であった。 しかし!高校生にな