65DAYSOFSTATIC|Skream! ライブレポート
Reported by 榎山 朝彦
65DAYSOFSTATIC : Official-Site facebook myspace
イギリスはシェフィールドからやって来た、インストゥルメンタル・ポスト・ロック・バンド、65DAYSOFSTATIC。耳も張り裂けんばかりのギター・サウンドと、哀しげなピアノの旋律、そして高速ブレイクビーツが一体となって押し寄せる様は、「MOGWAI meets APHEX TWIN」なんて形容もされているらしい。この言葉をそのまま借りるなら、SONIC STAGE初日のコンセプト、思いっきりど真ん中に位置するバンドということになる。さすがのブッキングである。
不気味な声のSEから始まったステージ。「65」という言葉が交じっていたように聴こえたが、気のせいだろうか?けたたましいドラミングとともに爆発する、ハナからテンションMAXの演奏。BPM160は超えようかという、ドラムンベースばりの高速ビートに乗って、ギターもベースも弦を殴りつけるように弾き倒す。そのパワフル極まりないサウンドに、いきなり全身ごと持っていかれた。
実は数年前のSUMMER SONICでも、65DAYSOFSTATICのライヴを観る機会があったのだが、当時はPAとサウンドの折り合いが悪く、轟音が鳴っているのに体で感じられない、という歯痒い思いをしたことがある。だが今年は音がクリアーで、その轟音によって創り出される世界観を存分に味わうことができた。
65DAYSOFSTATICのサウンドは、とにかくエモーショナルである。あらゆるエクストリームなサウンドを総動員して、人間の容量からはみ出るほどの感情を導き出そうとしている。それは昨今のポスト・ロック・バンドが表現しようとしているような、微細な心の動きではなく、むしろエモ・バンドに顕著な、切なさのバロメーターが振り切れるような感情に近い。65DAYSOFSTATICが特異なのは、その感情を、ヴォーカルという表現方法を用いずに導き出そうとしているところだ。どんな絶叫もかき消されるほどの轟音が、声にならない感情を音像化してくれるのだ。
感情の波に突き動かされるように、激しく体を動かす人達を続出させた、圧倒のライヴ。ラストに披露していた、「Radio Protector」は名演だった。
Escape From New York
Price:¥2400 → ¥2291 by AmazonRelease : 2006-03-19
UKのインスト・バンド、65DAYS OF STATICが2008年に全米で行ったツアーの模様を収めたライヴ・アルバム。例えばMOGWAIのような静と動のコントラストが生み出すカタルシスに対して、彼らは高度な演奏力を武器に、荒々しいまでの速度で駆け抜けていく。徹底的に突き詰められた美が暴力的であるのと同様に、圧倒的に暴力的な音は、時に美しい。振りかざされた刃そのものが恐ろしいほどの美しさを放つその一瞬の臨界点。その一瞬を捉える為に、彼らはドラムンベース、果てはドリルンベースの速度の上で緻密に構築された轟音を闇に放っていく。まだ彼らのライブを体験したことがないので、今年のサマソニでは是非、観てみたいアーティストの一つ。このライヴ・アルバムはその期待をさらに膨らませてくれる。
(佐々木健治)
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