0.8 秒と衝撃。塔山忠臣の「アホボケカスは俺か？」【第13回】

FEATURE

2012年10月号掲載

最近ずっとひとりでアルバムを作ってる。2013年1月23日発売を目指してる。日程的にかなりタイトで集中力をグングンあげる毎日。誰とも会っていないし、日々の生活はナントカやってるカンジ。だいたい早朝から昼過ぎor夕方まで肉体労働のアルバイトしてそのままスタジオに到着。軽く昼寝し(ｺﾚ大事、作業効率全然違う)起きたら夜中までコツコツやる。ボビーさんの件で色々状況も変わり、大変なコトも多い。スタジオ確保するのも、LIVEで遠征するのもひと苦労。そんな中での制作。最近1番聴いてるのはＮＩＮの『フラジャイル』という2枚組のアルバム。正直、内容はもっと初期作品のほうが好みだが、ある日、国内盤のライナーノーツを読む機会があり、その内容に共感し癒された。もともと音源制作はトレントレズナーがひとり中心になって手掛け、それをLIVEメンバーとともに客の前で演奏する！というウチとスタイルが似てるコトもあり、その存在には安心感のようなモノを貰っていた。そしてライナーを読む限り、そのフラジャイル制作中のトレントレズナーに起こった出来事、周りの環境が大小はあれど今の自分とすごく似ている部分が多く、その状況下でひとりアルバム制作をやりきった彼にとても親近感をおぼえ、『音』ではなく『体感』として毎日聴いては癒されてるカンジなのだ。ハチゲキのニューアルバム制作に際して、今回は色々なテーマがあり、それを自分の中でしっかり見つめ続けながら作業している。年末まで比較的LIVEも多いから、本当に自分との戦いになってきた。うまく合間を見て茨城の親の介護にも行きたいし。今日コレを書いてるのが9月24日で、だいたい全作業工程が終わるのが12月15日ぐらい。それまではこんなカンジの日々が続く…。音楽家として、新作作りの期間ほど、無敵感を感じる日々はナイ。特に僕の場合ひとりでやってるコトもあり、ドンドンどんどんその世界に落とし込んでゆくから、作品自体の世界観はより個性的で、鋭利なモノになっていく。新しい『ナニか』を手に入れ、伝統に敬意を払いながら、それをブッ壊していく。スタジオで自前の古ぼけた機材に電源を入れ、ドラムマシンのパッドを叩いたり、バイト中に拾ったギターでリフを弾きまくる。最初はまったく白紙の8トラックレコーダーに、色んな夢が詰まっていく。生きている実感を強く感じ、言葉に出来ない自由を感じる。人間、金持ちやアホみたいな大金を稼ぐお笑い芸人でもナイ限り、将来のコトは不安で不安でたまらないと思う。だからみんな、毎日同じ場所へ通い働くし、テレビも見るし、酒を飲んだりする。結婚や家族を作ったり、いつもその『ナニか』を求め、歩み続けている。誰かが、空を飛びたいと強く思わなきゃ、今、飛行機もとんでいないだろう。僕が次のアルバムでやりたいのは、そういうコトだ。どれだけのコトが襲ってきて、このBANDを揺らがそうとしても、俺がいる限り、心はナニも変わらないし、音は進化していく。1月には良いお年賀をみんなに届けられるよ、きっと。みんなを大興奮させてやる。そして親愛なるボビーさんに言ってやるんだ。『ナニ死んでんねん、俺は生きていくよ。』って。

前のコラム

次のコラム