Japanese
CYNHN
Skream! マガジン 2022年06月号掲載
2022.05.01 @Zepp DiverCity(TOKYO)
Writer 吉羽 さおり Photo by チェリーマン
4月18日に配信された"CYNHN Streaming Live『Blue Light』"内で、次なる形に向けて新メンバーの加入が決定したとアナウンスしたヴォーカル・ユニット、CYNHN。5月1日に行ったライヴ"CYNHN ONE MAN LIVE 「Blue Cresc. -ν-」"は、綾瀬志希、青柳 透、百瀬 怜、月雲ねるによる現体制での活動のひとつの集大成であり、CYNHNのワンマンとして一番大きなステージとなる、初のZepp DiverCity(TOKYO)での公演となった。
ライヴ・タイトルが掲げられたスクリーン、そして深いトーンのブルーで染まったステージに4人が登場し、1曲目となったのは2018年にシングル・リリースした「はりぼて」。逆光でメンバーの姿がシルエット的にステージに浮かんでいるのとは対照的に、フロアでは一斉にブルーのサイリウムが光っている。コロナ禍でライヴ本数が限られていたこともあって、久々のワンマン・ライヴ。その高揚感がフロアを染めて、エモーショナルな4人のヴォーカルがビートとメロディとを加速させると、続く「ごく平凡な青は、」で一気に疾走感を爆発させる。ここからは、今年2月にリリースした2ndアルバム『Blue Cresc.』が中心のセットリストとなった。CYNHNの4人それぞれの個性とそのアンサンブルを生かして、また新たな作家陣と組んだ多彩で挑戦的な曲が揃ったアルバム『Blue Cresc.』。エネルギッシュな「ごく平凡な青は、」に続いた「くもりぎみ」は、ポエトリーで余白のあるヴォーカルとポリリズム的なサウンドとが心地よい余韻をもたらす。
自己紹介と久々のワンマンを迎えた喜びを高いテンションで伝えたMCに続いた中盤は、「氷菓」でスタートし、綾瀬志希がイラスト制作から動画編集まで手掛けたMVをスクリーンに映した「解けない界面論」、スロウなビートで当て所のない、それでいて甘美な時をたゆたう「夜間飛行」では繊細な心情を表現する。また草野華余子がCYNHNに書き下ろした「インディゴに沈む」では、"眠れない夜 越えても/朝は未だ、来ない"と、どっぷりと深い無情の沼で抗う苦しさをエモーショナルに歌った。アルバム『Blue Cresc.』の多彩な"ブルー"を鮮やかに躍動的に、ステージへと落とし込んでいく。
後半はよりディープで、アブストラクトなサウンドとイマジネイティヴなメロディによる「水の中の」を、スタンドマイクの前で丁寧に紡ぎあげる。抑えたヴォーカルで4人のアンサンブルやハーモニーを聴かせたところから一転して、「イナフイナス」ではパワフルなシャウトで会場を切り開いた綾瀬志希、青柳 透、百瀬 怜、月雲ねるがよりいっそうエネルギッシュに、ソウルフルに歌のボリュームを上げていく。ヴォーカル・ユニットとして表現のレンジを広げていくような曲が並び、続くスピード感のあるロック「アンサンぶる」では"一緒に踊れ"という声でフロアのボルテージを上げていく。ブルー基調だったライティングもカラフルになって、ステージとフロアとの一体感が強くなる。その熱を高めるように手拍子を誘った「水生」から、ラストは4人が柔らかに発光するボールを持ちダンスする「2時のパレード」に希望を乗せて、力強く会場に放った。
大きな拍手が起きて2度のアンコールに応えたCYNHN。「レア」や前に進んでいく思いを歌う「AOAWASE」、1stアルバム『タブラチュア』(2019年)収録の「ラルゴ」を披露した4人はそれぞれ、このステージに向けた思いやCYNHNとしてここからも進んでいく思いを語った。途中、感極まって涙を見せる場面もありながら、新しいことは怖いけれど、このかけがえのない4人とここに来てくれたみんながいれば大丈夫なこと、ライヴが始まるまでZepp DiverCity(TOKYO)という大きなステージに立つ実感がなかったけれど、一番楽しいステージになったこと、一生の青春のステージを最後まで観てもらいたいという思いを告げて、現体制のCYNHNのステージを締めくくった。6月19日にはCYNHN結成5周年のライヴであり、新体制のお披露目ともなる"CYNHN 5th Anniversary EVENT -Blue Encount-"を代官山UNITで開催することもアナウンスされた。新しいスタートにもまた注目したい。
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