Japanese
Eve
Skream! マガジン 2018年12月号掲載
2018.11.04 @新木場STUDIO COAST
Writer 沖 さやこ
"ずっとどこかで貴方に憧れその度自分を失いかけていました"(「トーキョーゲットー」)、"君にだけにしかできない事はなんだ"(「アウトサイダー」)――Eveはどこまでも"自分自身であること"を求め貫く表現者ではないだろうか。2,400人を前にしながら彼はどこまでも等身大で、これだけ多くの人と顔を突き合わせられたことを素直に心から喜んでいた。その感情表現はどれもほろりと自然に零れてくるものばかり。この確かに血が通う平熱こそ、彼のリアルであり純粋さである気がした。
ステージを覆う紗幕に、開演前から無言劇が映し出される。その物語が進むにつれて「トーキョーゲットー」のイントロとMV映像へと移行し、ライヴ本編へと突入した。続いての「アウトサイダー」が始まる瞬間に紗幕が落ち、ステージにはEveに加え、ギター、ベース、ドラムの3人編成のバック・バンド、背景には"Ev∃"の文字で囲われた正方形のモニターが。そこに映し出されているのは通常のMVの中心部分を切り取ったところのみで、映像の閉塞感もこちらの飢餓感を煽ってきた。「デーモンダンストーキョー」ではハンドマイクでラフにステージ上を歩きながら歌唱し、「Dr.」は赤と白のライトの交錯がシリアスな空気感を作り出す。厭世観を漂わせつつも、その世の中をどう楽しんでやろうかと企てているようなネガポジ感がポップに響いていた。
ギター・ヴォーカル・スタイルへチェンジして「会心劇」と「ふりをした。」を届けると、Eveはフロアを見渡して"すげぇ~、嬉しい! すごい景色ですね。今すごく楽しいです"と笑顔を浮かべる。Eveの音楽はBUMP OF CHICKENからRADWIMPS、相対性理論、amazarashi、UNISON SQUARE GARDEN、Galileo Galilei、indigo la Endなど、この10年間の日本のギター・ロックの変遷が作り出したハイブリッドとしての面もあり、その継承の純度がとにかく高い。聴いた瞬間から耳馴染みがあるものの、彼が先人のフォロワーで終わらないのは、憧れを追うのではなくどこまでもEveという個を表現しているからだろう。
「fanfare (instrumental)」から、正方形のモニターを"ひとつめ様"が映像の中から開いていくという演出で「ナンセンス文学」に移ると、観客のクラップとともにバンドのグルーヴも上がる。マイク・スタンド前で歌うEveと映像の中の"ひとつめ様"の動きがシンクロする瞬間などもあり、音楽を介してステージ、客席、映像の3つの次元が同一線上に並んでいくようだ。「ドラマツルギー」、「あの娘シークレット」、「アンビバレント」を立て続けに届けたEveは、曲作りをするようになって自分自身を知ってもらえたこと、2,400人の観客を目の前にして、自分のやろうとしたことが間違っていなかったのかもしれないと感じられたことなどを語ると、"今日こうやって顔を見て歌えて、やってきて良かったと思った"と柔らかく笑い、ラストの「羊を数えて」を感謝の気持ちを込めて歌いきった。
アンコールでは「惑星ループ」と新曲「ラストダンス」を届け、「お気に召すまま」でこの日の夜を締めくくる。彼はMCで"ひとりひとりの考え方に違いがあって、それが衝突したときに生まれてくる予想外のものにどきどきやわくわくを覚える"、"自分がわくわくどきどきした瞬間をみんなと共有したい"と真摯に語り掛けた。来年リリースされるニュー・アルバム『おとぎ』は、そんなどきどきやわくわくが詰まった作品なのだろうか。Eveの描く物語の続きに思いを馳せている。
[Setlist]
1. トーキョーゲットー
2. アウトサイダー
3. デーモンダンストーキョー
4. Dr.
5. 会心劇
6. ふりをした。
7. 迷い子
8. ホームシック
9. sister
10. fanfare (instrumental)
11. ナンセンス文学
12. ドラマツルギー
13. あの娘シークレット
14. アンビバレント
15. 羊を数えて
en1. 惑星ループ
en2. ラストダンス
en3. お気に召すまま
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