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LIVE REPORT

Japanese

3SET-BOB

Skream! マガジン 2017年09月号掲載

2017.08.10 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 秦 理絵

"ポジティヴ・バンドだから、ネガティヴなことを考えずに、後ろに道があっても前にある険しい道を進んでいこうと思います!"。ライヴの終盤にラスト・ナンバー「CREPE」を残してYUSUKE(Vo/Gt)が語り掛けた言葉が、3SET-BOB(通称:サンボブ)というバンドそのものを表していた。7月12日にリリースしたミニ・アルバム『ORIGINALUCK』を引っ提げてサンボブが開催している全国ツアー"好きにかませTOUR"初日の下北沢LIVEHOLIC。それぞれに熱いパンク・スピリッツを宿した4バンドが集結したこの日、サンボブはどのバンドよりも眩しい上昇志向で、集まったお客さんに笑顔の"いってきます"を伝えてくれた。

"俺たちがトップバッターだということは、ぶちかましていいということだと思うので、よろしくな!"というtanaka(Vo/Ba)の熱い叫び声とともにイベントの口火を切ったのは、神奈川県・厚木発の3人組、two step glory。疾走感のある2ビートに英語詞のツイン・ヴォーカルが小気味よく駆け抜けるエネルギッシュなライヴを見せて、続くMADLICKへと託した。Owl City & Carly Rae Jepsen「Good Time」のSEで登場した京都発の男女混成バンドは、サンボブとは"個性が強い者同士"の長い付き合いだという。振り付けで踊る底抜けにポップなナンバーを速いペースで投下していくと、「ADDICTION feat. YUSUKE(3SET-BOB)」ではYUSUKEも参戦して、即興のラップを交えながら笑いの絶えない楽しいステージを繰り広げた。"喋るのはあんまり得意じゃないけど......"と前置きをして、そのまっすぐなメロディに想いのこもった日本語詞を乗せたのは、東京を拠点に活動する4人組、CATS EYE。不器用でも過去の自分を誇り、一緒に未来へ進もうと歌う「足跡」をサンボブへと捧げて、そのバトンをトリへと渡した。

"好きにかましてますか!?"。ステージに辿り着くやいなや、YUSUKEがお客さんにそう問い掛けると、サンボブのライヴは「24x7」からスタートを切った。『ORIGINALUCK』の2曲目に収録されているラップを交えた快速チューンを"ツアー始まりの1曲"として届けたサンボブは、"俺たちといえば、この曲だろう!?"と、バンドのテーマ・ソング「BOB」を間髪いれずに畳み掛けていく。愛嬌のある笑顔でまっすぐにグッド・メロディを届けるYUSUKEを中心に、その右腕としてバンドの土台を支える長身のKAI(Ba/Vo)、軽快な合いの手を入れながらパワフルな演奏で疾走感の要となるRUKA(Dr/Vo)。全員がヴォーカルをとりながらめまぐるしく突き進むサンボブのメロディック・パンクは、とにかくエネルギッシュ。取り立てて絶望なんてないけれど、小さくへこんだりする毎日。それを笑い飛ばすようなポジティヴなエネルギーがサンボブの専売特許だ。

MCでは"今日は仕事とかバイトとかあったと思うけど、駆けつけてくれて嬉しい!"と、金曜の夜に集まってくれたお客さんに感謝の気持ちを伝えたYUSUKE。そこから"RUKAちゃん、ビートちょうだい!"という言葉を合図に突入したのは、陽性のバンド・サウンドに軽快なラップを乗せた「UP&UP」。この曲の歌詞で出てくる"好きにかませ"というフレーズが今回のツアー・タイトルだが、それはライヴにおける煽り文句でもあると同時に、もうダメだと未来に諦めてしまいそうになったとき、もう一度自分らしく"かましていこうぜ"というメッセージも込められている。そして、スカやレゲエなどを取り入れた「SUMMER DAAAY」や「嫌YEAH」といった自由なサウンド・アプローチで聴かせた中盤戦は、ひとつのジャンルにこだわらずに、自由な発想でバンドのオリジナリティを構築していこうとするサンボブのロック・バンドとしての気概を感じるタームだった。

最後のMCでは"こんな日がいっぱいあれば、ライヴハウスでいっぱい笑えれば......いいんじゃない?"と言って、人気曲「IN THE NIGHT」を届けると、集まったお客さんが一斉に拳を突き上げた「CREPE」で本編は終了。アンコールでは、"まだまだ上がっていくぞ"という意志を込めて「STEP UP」を披露すると、清々しい笑顔とともにツアー初日を締めくくった。気の置けない仲間たちの力を借りて、最高のかたちでスタートした全国ツアー。サンボブの旅は、ここから続いていく。

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