Japanese
セックスマシーン / SABOTEN / SEVENTEEN AGAiN / 音の旅crew
Skream! マガジン 2016年08月号掲載
2016.06.22 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 山口 智男
"LIVEHOLIC 1st Anniversary series"の第13弾は、広義のパンク・バンド4組による共演......いや、結果、30~35分という短い時間のステージに、どれだけ熱を込められるか。"その勝負だった"と言えるものになったことを考えると、むしろ"激突"と言った方がいいかもしれない。個人的な事情から"今日のテーマは祈り"と語ったトップバッターの音の旅crewはレゲエの影響も窺える演奏でリラックスした空気を作りながらも、最後に演奏した「LION」では力を込めた演奏とともに内に秘めた激しさを露にしてインパクトを残した。
YABUSON(Vo/Gt)による「恋人はアナキスト」の弾き語りで始まったSEVENTEEN AGAiNは"SEVENTEEN AGAiNと申します!"というYABUSONの雄叫びからドカドカドカと轟音のパンク・ナンバーになだれ込むと、フォーキーな魅力とシンガロングを誘うフレーズを持ったパンク・ロックを次々に炸裂させていった。マイクに噛みつかんばかりに叫び続けるYABUSONはもちろん、パンク・ロックが好きなら、がむしゃらに演奏を続ける4人の姿に胸を打たれない者はいなかったはず。曲の魅力ももちろんだが、メンバーそれぞれが音に込める熱い想いにシビれた。
BON JOVIの「禁じられた愛(原題:You Give Love A Bad Name)」が流れる中、入場してきたセックスマシーンは、"あんたと合唱しにきたんだよ!"と森田剛史(Vo/Key)が宣言したとおり、ゲスト・ヴォーカルと位置づけた観客をいかに演奏に参加させるかに120パーセントの力を込めた。途中、客席に下りてきた森田はそのまま最後列、そして1階下にあるバーROCKAHOLICまでライヴに参加するゲスト・ヴォーカルを探しにいき、観客を大いに沸かせた。もちろん、曲をないがしろにしているわけではない。バラードの「未来予想図4」に続けて、ミッド・テンポで歌い上げた「頭の良くなるラブソング」ではプログレ風の展開も交え、70年代の英国ロックの影響を演奏に盛り込むバンドの実力もアピール。そして、新たな一歩を踏み出す勇気を与えるポップなロック・ナンバー「新世界へ」を最後に演奏して、実に内容の濃い35分のステージを締めくくった。
"全員で前に来いよ!"とキヨシ(Gt/Vo)が呼び掛け、どこかオリエンタル風味もある「君がYO!」でスタート・ダッシュをかけた大阪の3人組、SABOTENはその勢いのまま、まっすぐなメロディが心地いい新旧のレパートリーを次々に繰り出していった。バンドの熱演に応え、ステージに押し寄せる観客は拳を振り上げ、会場の温度をドンドン上げていく。そして、「シナリオ」のシンガロングからなだれ込むように"ラストは派手に回るしかないんじゃないですか?"と(キヨシが言い)「サークルコースター」を投下。それに対して、この日一番のモッシュ・サークルで応えた観客にバンドはアンコールを2曲プレゼント。この日、会場に充満していた熱気を、さらに熱いものにしたのだった。
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