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LIVE REPORT

Overseas

THE STRYPES

Skream! マガジン 2015年08月号掲載

2015.07.16 @渋谷CLUB QUATTRO

Reported by 山口 智男

2年ぶりとなる新作『Little Victories』をリリースしたその翌日、アイルランドの若き4人組、THE STRYPESによるたった一夜限りの来日公演が実現した。バンドの人気を考えれば、チケットの入手はかなり難しかったに違いない。大人のファンが多かった前回に比べ、今回、客席にメンバーと同世代と思しき若者の姿が目立っていたのは、おじさん/おばさんたちがそこまで必死にチケットを手に入れようとしなかったからなのか。それとも、開演前、とある若者のグループがTHE BAWDIESの話題で盛り上がっていたことから想像するに、そのTHE BAWDIESや、例えばOKAMOTO'Sといった近い音楽性を持った日本のバンドから流れてきた若いファンが増えたからなのか。その理由を明らかにすることがこの原稿の目的ではないから、これ以上は追究しないが、何にせよ、ロックンロールは若者と、いつまでも若者の心を忘れない――あるいは忘れられない大人のための音楽なのだから、バンドのオリジナル曲よりも彼らが演奏する古いビート・バンドのカバーに反応するおじさん/おばさんではなく(前回の恵比寿LIQUIDROOM公演ではそういうお客さんが結構多かった印象がある)、カバーもオリジナルも区別なく、THE STRYPESの曲として、理屈抜きに楽しめる若いファンが増えたんだったら、それはとても喜ばしいことだ。

予定の時間を10分ほど回ったころ、バンドに密着取材していた"バズリズム"という音楽番組のMC、マギー(モデルの)の呼び込みで、アゴにヒゲを生やしたJosh McClorey(Gt/Vo)以外、スーツでキメたメンバーたちがテージに飛び出してきて、昨年のSUMMER SONIC以来1年ぶりとなる来日公演は、『Little Victories』からの「Now She's Gone」で始まった。ダイナミックなリフがLED ZEPPELINかTHE WHITE STRIPESを連想させるその「Now She's Gone」は、『Little Victories』におけるバンドの成長を代表する1曲。渋い音楽性とは裏腹に10代のバンドらしいがむしゃらな勢いを反映させた前作『Snapshot』から2年。彼らが成し遂げた進化を、しかと見届けようとやってきた筆者は、そんな思いを見抜いたような選曲に思わずニヤリ。Ross Farrelly(Vo/Harmonica)の野太いヴォーカル、Pete O'hanlon(Ba)とEvan Walsh(Dr)が奏でるうねるようなグルーヴがともにハード・ロッキンなインパクトを与える一方で、Joshがワウを踏みながら軽快なカッティングで演奏にファンキーなアクセントを加えると、その後、バンドは『Snapshot』と『Little Victories』の曲をほぼ交互に演奏しながら、前半を一気に駆け抜けていった。

ぐっとテンポを落とした「A Good Night's Sleep And A Cab Fare Home」でJoshが奏でた艶やかなフレーズとともに、それまでの曲とはひと味違うアンニュイとも大人っぽいとも言える魅力をアピール。そこから徐々にテンポを上げるようにブルージーな魅力を持つ「Queen Of The Half Crown」を繋げる。エモーションを迸らせたインプロ・パートでは、それまでマイク・スタンドの前で直立したまま歌っていたRossがマイクを手に持ち、客席にアピール。手拍子を誘うと、ダンサブルな「Get Into It」、ファンキーな「Scumbag City」という『Little Victories』の中でも一際ポップ且つキャッチーな魅力を持った2曲で、客席をさらに盛り上げる。後者では"Everybody jump!"と声をかけ、観客全員が飛び跳ねるというこれまでTHE STRYPESのライヴでは見られなかった光景が目の前に広がった。
曲の幅が広がったことでライヴのやり方にも変化が現れ始めたようだ。それを考えると、Rossはヴォーカリストとしてもっともっと客席にアピールしてもいい。シャイなRossの代わりにMCを担当するJoshやベーシストとは思えない激しいアクションでベースをバキバキと鳴らすPeteが隣にいるせいか、Rossのパフォーマンスはちょっと物足りないような気もする(せめてサングラスは外そうよ)。

もっともデビューから2年経ったとは言え、彼らは平均年齢18歳の、まだまだ若いバンド。いくらでも伸びしろはあるはずだ。11月には新木場STUDIO COAST2デイズを含むジャパン・ツアーも決定。この夜、本編を締めくくった「I Need To Be Your Only」のシンガロング、そしてアンコールでやったBo Diddleyの「You Can't Judge A Book By The Cover」のサビの大合唱は、もっともっと大きなものになるに違いない。THE STRYPESのさらなる成長と飛躍に期待している。





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