Japanese
LUNKHEAD
Skream! マガジン 2014年01月号掲載
2013.11.29 @LIQUIDROOM
奥村 小雪
2012年から約1年間、ライヴ活動を休止していたLUNKHEAD。2013年の6月に行われた彼らのリスタートとも言えるワンマン・ライヴ"影と煙草と僕とAX"でSHIBUYA-AXをソールド・アウトさせた彼らがなぜ、今回のツアー"メメントモリ"のファイナルの会場にLIQUIDROOMを選んだのか。"影と煙草と僕とAX"で小高芳太朗(Vo/Gt)は、まだバンドがソールド・アウトしたことがないLIQUIDROOMを次こそ満員にしたいと語っていた。
2013年11月29日の19時、そんなLUNKHEADにとって特別な思い入れのあるLIQUIDROOMにはツアー・ファイナル公演をまだかまだかと待ちわびるファンが溢れていた。そして暗転、最新アルバム『メメントモリ』の冒頭を飾る「メメント」をSEにしてメンバーがステージに登場。小高がギターを高く掲げると、大きな歓声が沸き起こり、早速リード・トラック「閃光」がスタート。一発目から大盛り上がり。演奏を掻き消すかのごとく歓声が起こる。熱気冷めやらぬまま「明日死ぬぐらいの感じで」、「十六夜の月の道」と続き、小高の切り裂くような歌声とストレートな歌詞に胸が締め付けられる。
小高が"こんばんはLUNKHEADです。たくさん集まってくれてありがとう。"と挨拶をし、桜井(Dr)が軽快にリズムを刻むと、それに合わせて合田(Ba)のベースも鳴りだす。山下(Gt)のギターが重なってジャム・セッションが始まると、そのまま「壊れてくれない」へ。飛び跳ね、踊るようにベースを弾く合田。リズミカルなギターに思わず体が揺れる。間髪入れずに「ガラス玉」、「冬の朝」、「果てしなく白に近づきたい青」と続く。「はるなつあきふゆはる」で山下のローファイ気味で遠くに響くギターの音色と、桜井のバスドラが会場を揺らし、ライヴの定番曲「きらりいろ」へ。
途中、"気分悪くなっている人とかおらん?"と小高が観客を気遣いつつ「月の城」、「ラブ・ソング」と続く。観客全員に、そして自分自身に言い聞かせるかのように"独りじゃない"と歌う小高の声は力強く、それでいて澄み渡っている。感動も収まらぬまま「三月」が優しく、語りかけるように歌われる。「共犯」はシャンシャンと鳴るドラムのクラッシュ音がなんとも美しい。壮大なスケールについうっとりと聞き惚れてしまう。
"改めましてLUNKHEADです。LUNKHEAD TOUR 2013 "メメントモリ"ファイナル、東京帰ってきました!"とツアーの思い出話に花が咲く。小高は"俺らの曲って明るい曲ないのに、みんな楽しそうやから、どんな曲でも楽しんでいいんだって逆に教えてもらった"と語る。そして流れた「濃藍」では、合田がドラムの前で桜井と向かい合うようにベースを鳴らし、気持ち良い程にリズム隊の息がぴったりと合っていた。「WORLD IS MINE」では小高が"声を枯らせ"という歌詞通り声を枯らすほど叫び、息をする暇もない程に音が飛び交い入り乱れる。「未来を願ってしまった」でさらに高揚し、続いて「シンドローム」が始まった時、2010年に開催された"そりゃ、ないわっツアー"のファイナルLIQUIDROOM公演をふと思い出した。小高が金髪で登場してファンを驚かせたことが印象的だったあの公演で、初めて「シンドローム」を聴いたとき胸に湧いた熱い感情が蘇る。あの日から3年経った今、新たに生まれた『メメントモリ』を引っ提げたこのツアーで彼らはさらに鋭さを増している。会場のヴォルテージは最高潮に達したかと思われたが、まだまだこれからというように「アルピニスタ」が流れ、会場全体で大合唱が起こる。小高が"最高に気持ちいい!こんな楽しくて、気持ちよくて、最高なことができるのも、いきているから!"と叫び、歌われた「いきているから」では小高がオーディエンスの顔を見て満面の笑顔に。曲が終わると小高は、"あっという間に次が最後の曲です。本当に夢みたいな奇跡みたいなライヴでした。これからも続けていくし、みんなも来てくれると思うけど、これから何か変わったとしてもここに居たということは変わらない。そんな曲をやります"と語り「幻灯」へ。ツアーを思い返すかのように一音一音が大切に鳴らされ、一言一言が大切に歌われた。
しばらくアンコールを求める手拍子が続き、登場したのは山下1人。"来年2014年でデビュー10周年を迎えます。古い曲もやって、研ぎ澄まされたこともあるけど、10年間言ってることは一緒で、その結晶が『メメントモリ』なんだなとこのツアーで感じた"と語り、自身が作詞作曲した「raindrops」を弾き語る。小高とはまた違った、優しく渋い歌声に乗せられた英詞が会場を包み込む。そして小高、合田、桜井の3人も登場。
"(LIQUIDROOM公演を)今回も売り切れませんでした。次こそ売り切りましょう!次も来て下さい。気長にやります"と小高が語った後の「螺旋」で会場は再沸。小高がハンド・マイクで歌う「ぐるぐる」では、オーディエンスが手をぐるぐると回して踊り狂う。間奏では小高が客席へダイブする場面も。続く「明日」が終わり、おなじみのあの曲のイントロが流れると一斉に手拍子が起こる。いつものように合田の明るいアナウンスから始まった「カナリアボックス」ではオーディエンスが右手と左手を交互にかかげて 踊る。メンバー全員が"あなたに会えてよかった"と熱唱し、歓声と拍手が沸き起こる。観客も、メンバーも、今この会場にいる全員のLUNKHEADへの愛がひしひしと伝わってくる。
ダブル・アンコールでは小高が"最後に俺らの歴史的な1曲をやって帰りたいと思います。"と語り、デビュー曲「白い声」のイントロを鳴らすと、会場の端から端まで大歓声が響き渡る。ラストは小高が今日という日を握りしめるように両こぶしをかかげ、"またやろうな"と一言。合田が"本当にどうもありがとう"と告げ、会場は幕を閉じた。LUNKHEADは10年間、芯をもったまま進化し続けている。そして、今後もどんどん魅力を増すことだろう。そう実感できるツアー・ファイナルだった。
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