Japanese
伊東歌詞太郎
Skream! マガジン 2024年11月号掲載
2024.10.04 @昭和女子大学 人見記念講堂
Writer :山口 哲生 Photographer:大塚 秀美
今年は自身の活動を音源制作になぞらえて行ってきた伊東歌詞太郎。第1段階の"経験"では、5年ぶりの中国ツアー"中国ワンマンツアー「シングロード」"をはじめ、様々なインプットを行い、第2段階の"デモ制作"では"伊東歌詞太郎 フリーライブ2024"を開催した。第3段階である"アレンジメント"のツアー・リハーサルを経て、8月からは"第4段階=ミキシング"として、全国を回る"伊東歌詞太郎 ライブハウスツアー2024 「MIX」"がスタート。そして、ついにクライマックスとなる"第五段階=マスタリング"にあたる、ホール公演"伊東歌詞太郎 ワンマンライブ2024 「Mastering」"を、東京 昭和女子大学 人見記念講堂にて行った。
ライヴの幕開けを飾ったのは「SWEETGOLEM」。マイクスタンドの前に立った歌詞太郎は、軽快ながらも力強いビートに乗りながら、一語一語がはっきりと聴き取れるように歌を響かせ、そのまま「Virtualistic Summer」へ。強烈な解放感が場内を包み込むなか、歌詞太郎が客席にマイクを向けると、オーディエンスの大合唱が巻き起こった。その光景を、満面の笑みを浮かべながら見渡していた歌詞太郎は、さらに声を求めるように、アンセムの「絆傷(キズナキズ)」に繋げ、共に熱いライヴ空間を作り上げていた。
ダンサブルながらも怪しげな空気が漂う「KING」や、柔らかなハイトーンで魅了した「ひなたの国」等様々な表情を持つ楽曲たちを、凄まじい熱量を放ちながら、情感豊かに歌い上げていく歌詞太郎。ホールという空間を活かした照明演出も美しく、「真珠色の革命」では、ステージ上に吊られているカーテンがまるでオーロラのように輝き、その下でアーティストとしての所信表明を改めて告げるように声を張り上げる姿に、胸を熱くさせられた。
そんなドラマチックな場面もあれば、超高難易度な「修羅日記」から、強烈な重低音と明滅するライトが狂騒的な空間を作り上げた「senseitoseito」に繋ぐ流れは、セットリストの中でもかなり壮絶な一幕。そこから瑞々しいサウンドを響かせる「天才になろうぜ ~ミアキスの選択~」で、一気に空気を切り替えた。ずっと遠くまで届きそうな伸びやかなハイトーンも、アウトロで放たれた情熱的なフェイクも美しくて、頭のてっぺんから足の爪先まで、全身で歌を放出している......なんてことは物理的にありえないのだが、彼が歌っている姿を見て、その歌声をダイレクトに浴びていると、自然とそんなことを思わせられる。それ程までに、伊東歌詞太郎の歌唱力はとにかく圧倒的で、綴られている言葉を問い掛けるように強く叫びながら歌い上げた「pride rock music」は、凄まじくエモーショナルだった。また、この日のMCで、自分とオーディエンスの関係はあくまでも"対人間"であり、これからも変わらずに"対等でありたい"と話していた歌詞太郎。客席にいる一人一人に視線を送りながら歌を届けた「magic music」を披露しているときは、そんな彼のまっすぐな想いがとてもよく表れていた瞬間だったと思う。
アンコールの「I Can Stop Fall in Love」まで全19曲。歌詞太郎は、ノーマイクで客席に語り掛けた。"僕は、ツアーは終わるものではないと思っています。一旦ここで区切りになりますが、あくまでも区切りで、ここからも続いていきます。1年間一緒に音楽を作り続けてくれて、本当にありがとうございました。この先も、変わらず一緒に、音楽を作っていってください!"。どこまでもまっすぐに想いを届ける彼に、惜しみない拍手が送られていた。
[Setlist]
1. SWEETGOLEM
2. Virtualistic Summer
3. 絆傷(キズナキズ)
4. KING
5. タイムマシン
6. 春泥棒
7. ひなたの国
8. ヰタ・フィロソフィカ
9. 真珠色の革命
10. 修羅日記
11. senseitoseito
12. 天才になろうぜ ~ミアキスの選択~
13. からくりピエロ
14. アストロ
15. WORLD'S END
16. singer.song.writers.(alpinist.)
17. pride rock music
18. magic music
En. I Can Stop Fall in Love
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