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LIVE REPORT

Japanese

Aqilla

Skream! マガジン 2024年07月号掲載

2024.06.16 @SHIBUYA CYCLONE w/ Union Universe / 500.000.000YEN

Writer : 宮﨑 大樹 Photographer:Dehi

2月に2ndアルバム『Varckii』をCDリリースし、同作を引っ提げて自身初の全国ツアー[Aqilla "Varckii" Tour 2024]を回ってきたシンガー Aqilla。彼女が、同ツアーのファイナル公演をSHIBUYA CYCLONEにて開催した。なお、このツアーは対バン形式で開催されており、各公演にはライヴハウス・シーンの第一線で活躍するアーティストたちが集結。本公演ではUnion Universe、500.000.000YEN、ASH FRASTが対バン相手として名を連ねていた。ASH FRASTはAIZAWA AYAKAがインフルエンザに罹患したため残念ながら出演キャンセルとなったが、Union Universeと500.000.000YENの2組から繋がれたバトンを受け取ったAqillaが、ステージに立った。

開幕の1曲は「R'N'R show」だ。ダークな楽曲の世界観の中で、彼女は時に気だるげに、時に妖艶に、時に感情を吐き捨てるように歌う。曲が進むにつれてその歌声には熱が込められていき、オーディエンスの心を掴んでいく。黒のノースリーブにブラック・デニムの出で立ちで、パープルのライトに照らされるAqillaの姿は、妖しく、危うげな空気を醸し出している。そうしてSHIBUYA CYCLONEをたったの1曲でAqilla色に染め上げ、続く「Time Limit」をパフォーマンスする。テンポ・チェンジや上物の音質の変化で1曲が様々な表情を見せるひと筋縄ではいかない音楽は、流行りに媚びず、独自のロックを追求し続けるAqillaならではの世界観を打ち出している。Aqillaワールドとも言える世界観は、序盤からどんどんその色を濃くしていった。

"ようこそいらっしゃいました、Aqillaです。よろしくお願いします。[Aqilla "Varckii" Tour 2024]、ついにファイナルになってしまいました。とても早かったし、本日は残念なことに今回のツアーの後半を全部出てもらっていたASH FRASTのヴォーカルのAIZAWA姉さんがインフルエンザになってしまったということで、急遽前日にキャンセルになってしまったんですけど、AIZAWAさんから連絡をいただいたんです。本当にギリギリまで、「どうにかしてAqillaのツアーに出たいんだ」って伝えてくれて。なので、その気持ちを背負って、今日出演してくださったバンドさんの気持ちも全部集めて、今日はここで発散して帰りたいと思いますので、みなさん最後までよろしくお願いします"

MCで意気込みを語ったAqillaは「CELL」でライヴを再開。イントロの電子音と不穏なギター・リフで異空間のような音像を生み出し、アッパーながら癖の強い「ソ・ンナモ・ンダ・ヨ」でフロアを沸かせ、「Earth」へと繋げていった。Aqillaのライヴはなんだか絵になる。音楽、歌声、ヴィジュアル、ステージや照明演出まで含めて、すべてが相乗効果となってひとつのアートになっているかのようで、まるでロック・ミュージカルのワンシーンを観ているかのような感覚になることができるのだ。

"私の初のツアーのファイナルに、この大好きなSHIBUYA CYCLONEに今夜集まってくださったみなさん、本当にありがとうございます。あと2曲やって帰りたいと思います。まだまだ楽しんでいけますか?"とフロアに語り掛けるAqilla。彼女は「Soul Sucker」を語るように歌い、目まぐるしい曲展開で翻弄する「SUGATAMI」でライヴ本編を締めくくった。アンコールでは"私の1st EPの中から2曲、初心に帰ってみなさんに届けようかなと思っています"と話して、1st EP『Vinegar』より、カラッとした明るいサウンドの「炭酸ロード」と、キャッチーな夏曲「HAKURO」をパフォーマンス。約4年間の中での音楽性の変化には改めて驚かされたが、きっとこれからも彼女の世界観は加速度的に深みを増し、広がりを見せていくのだろうと思い、頼もしさを感じる。演奏後は"ありがとうございました! またやりましょー!!"と笑顔を見せ、初のツアーは大団円を迎えた。

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