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LIVE REPORT

Japanese

26時のマスカレイド

Skream! マガジン 2022年06月号掲載

2022.05.01 @パシフィコ横浜 国立大ホール

Writer 宮﨑 大樹 Photo by 深田 優斗

"読モBOYS&GIRLS×Zipperアイドルオーディション"から誕生したアイドル・グループ、26時のマスカレイド。その抜群なルックスで王道のアイドル・ソングを歌っているときのキラキラとした姿は、まさにTHEアイドルなグループだと言えるが、彼女たち"26時のマスカレイド"の略称は"ニジマス"という、一見ミスマッチなものだ。しかし彼女たちには、王道アイドル・ソングだけでなく、ロック・ナンバーもあり、見た目が思いっきりニジマスな"ニジマスくん"を振り乱す曲もあり、さらにバラドル的な活躍もありと、"ただかわいいだけ"じゃない、振れ幅や遊び心、エンターテイメント性も持っている。だからこそこのグループは"26時のマスカレイド"というオシャレさと、"ニジマス"というコミカルさを併せ持つ、言い得て妙なネーミングがピッタリなアイドルなのだ。

そんなニジマスは、活動開始から6年という節目の10月30日に開催する東京国際フォーラム ホールAのワンマン・ライヴをもって解散することを発表した。このニュースはシーンに大きな衝撃を与えたが、今回レポートするパシフィコ横浜 国立大ホール公演は、その解散発表後で初めてのライヴということになる。アイドルに限らず、終わりの来ないアーティストなんてきっといない。だからこそ、このワンマン・ライヴが、おとぎ話に登場する"永遠に子供のままの夢の国"であり、現実には決して存在しない架空の世界である"ネバーランド"と題されたことは、ニジマスからのメッセージや想いが込められているように思えてならなかった。

ファンタジーな世界観のオープニング・ムービーが映し出され、映像の中では時計の針が深夜2時(26時)を指している。妖精に扮したニジマスの5人は、ネバーランドに帰れず困っているという。一人称視点の"あなた"は、そんな彼女たちと共に空の旅へ向かうのであった――そんな映像の世界から飛び出したようなステージ・セットに、純白の衣装を身に纏った江嶋綾恵梨、中村果蓮、来栖りん、吉井美優、森 みはるの5人が登場。新曲「トゥインクル・ディバディ・ドゥ」でライヴは開幕した。メルヘンチックな伴奏に乗せて温かく優しいユニゾンを紡ぎあげ、3拍子に転調したワルツ風の間奏ではさながら舞踏会のように優雅に舞う。ファンがブルーのペンライトで彩ったその光景は、まさにおとぎ話の世界のようで、"26時のネバーランド"の世界観へ一気に引き込まれるような感覚になった。

ライヴは華やかで賑やかな「シルクハットパレード」や、ビッグ・バンド風の「仮面に隠れたセレナーデ」といった、ライヴのファンタジックな世界観を拡張させるような楽曲を散りばめつつ、"ネバーランド"を舞台としたストーリー形式で展開。そこへアグレッシヴなロック・ナンバー「トワイライト」や、得意の王道アイドル・ソングも織り交ぜていく。アイドルのライヴを観ているようでもあり、ひとつの歌劇を観ているようでもあるこの公演の構成は、イチ芸術として好印象だ。星空の情景が浮かぶバラード「アルタイルよ教えて」では、しっとりと歌い上げるからこそ5人の歌唱技術と声質の美しさが映えていた。

季節を先取りする夏ソング「チャプチャパ」で明るくエネルギッシュに本編を締めくくると、アンコール1曲目の「B dash!」では"キミのもとへ B dash"とステージを目一杯使ってパフォーマンス。続いて「心から...」を届けてからのMCでは、ラスト・ライヴのタイトルが"curtain call"であることと、全メンバーの生誕曲が収められた『Memorial Songs』の配信決定が明らかになった。そうして最後に届けたのは「ハートサングラス」。しんみりすることなく、明るく駆け抜けていったあたりは、解散に向けてのニジマスの前向きな気持ちの表れだったのかもしれない。


[Setlist]
1. トゥインクル・ディバディ・ドゥ
2. ベールの夜明け
3. シルクハットパレード
4. GoWay
5. トワイライト
6. 仮面に隠れたセレナーデ
7. ゼンキンセン
8. アルタイルよ教えて
9. スノウメモリー
10. ダンデライオンに恋を
11. WHITE MAGIC
12. 妄想シンドローム
13. およげ!ニジマスくん
14. アイリス
15. てんぱる
16. チャプチャパ
En1. B dash!
En2. 心から...
En3. ハートサングラス

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