Japanese
warbear
Skream! マガジン 2018年03月号掲載
2018.01.27 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 石角 友香
"東京は武道館以来だから1年以上ぶりか。早くステージに立ちたかったです。でもアルバム1枚しか出してないから、過去の曲とか引っ張り出してやってるんだけど(笑)"と、ライヴも中盤に差し掛かったころ、尾崎雄貴が意外と軽妙なMCをしたことで、フロアは一気に緊張感から解放された。それぐらいファンはひたすら雄貴と他メンバーが奏でる音と言葉に集中していたし、それはGalileo Galileiのラスト作『Sea and The Darkness』、そしてwarbearの初作という、雄貴の孤独や偽りのない内面を映した音楽だったからに他ならないと思うのだが、ステージ上の彼らは音楽を通してその感覚を逞しく、時に楽しげに鳴らしていたのが印象に残った。
ライヴはまず雄貴がひとりで登場し、神々しい印象のバックライトとシンクロしたGalileo Galileiのレパートリー「Sea and The Darkness II (Totally Black)」のワンコーラスを歌とシンセのみで表現してスタートした。ライヴを支えるメンバーはFOLKSの岩井郁人(Gt)、taffy、そして元OCEANLANEの堀越武志(Ba)、また、アルバムのコ・プロデューサー 中山賢一(Dr)、そして尾崎和樹(ex-Galileo Galilei/Key)という、warbearの世界観を立体化するにはまたとない面々だ。ギターそのものの音がいいうえ、残響のセンスの素晴らしさに打たれる「車に乗って」で、淡々とバンドの演奏は滑り出す。ある種、70年代のアメリカン・ロックのシンガー・ソングライターと、フロントマンを支える骨太な演奏といった構図はGG(Galileo Galilei)の『Sea and The Darkness』から地続きで今のwarbearが存在していることを「鳥と鳥」で感じ取ることができた。しかし、ただオーセンティックなロックであるだけではなく、当然USインディー的なシンセやエレクトロ・サウンドのレイヤーも加味されていて、ポスト・パンク的なタイトなビートであることが、尾崎雄貴というミュージシャンのユニークなところ。決してローファイなサウンドではなく、彼が吸収した音楽を彼のフィルターを通してアウトプットすると、時代やジャンルで括り切れない音像が立ち上がるのだ。ライヴを支えるメンバーも、そのオリジナリティや実際の音像を楽しんでいるのだろう。センスとスキルの共有がなされている5人という印象なのだ。
またヴォーカル・エフェクトを用いて多声で幽玄な世界観を聴かせた「燃える森と氷河」はGGでの音源とは異なるアレンジだったが、今に繋がるアプローチとして効果的だったし、本編ラストの「27」でも近いヴォーカルの表現がなされていて、James Taylor的なアメリカの小説を歌で聴くような深みとともに、James BlakeやDIRTY PROJECTORS以降の音像を同時に感受するような、個人的には至高の音楽体験になったのだった。また、メロディが自然に導くエモーションの高揚という意味では、「トレインは光へと向かう」、「Lights」、「掴めない」を生で聴いて、さらにその色彩や解像度が上昇した。音楽を追求する5人の音楽家の真摯な態度が演奏に結晶したような、清冽なライヴ、そういったものを久々に体験した。
集中しては完奏後、大きな拍手が起こるというリアクションも清々しく、アンコールでは冒頭の「Sea and The Darkness II (Totally Black)」をフルで演奏。物語の円環を描き切ったようでもあった。すでに発表されているように、GG結成メンバーによる新バンド"Bird Bear Hare and Fish"の始動もアンコールの前に報告。ん? 今回のwarbearのツアー・タイトルは予言だったのかと、いい胸騒ぎがした。
[Setlist]
1. Sea and The Darkness II (Totally Black)(Galileo Galilei)
2. 車に乗って
3. 墓場の蝶
4. 鳥と鳥(Galileo Galilei)
5. ゴースト(Galileo Galilei)
6. 燃える森と氷河(Galileo Galilei)
7. わからないんだ
8. トレインは光へと向かう
9. Lights
10. 掴めない
11. ウォールフラワー
12. 灰の下から
13. 1991
14. 27
en. Sea and The Darkness II (Totally Black)
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