Japanese
The SALOVERS
2015.03.25 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 齋藤 日穂
青春とは、きらきら眩しくてかけがえのない大切な一瞬であるのは間違いないが、そんなに綺麗なことばかりではない。実際その渦中にいるときは言葉にならない感情や、うまくいかない人間関係、自分の中でふつふつと湧き上がるフラストレーション――抱え切れない程の苦悩にまみれていたりする。この4人もそうだったのではないだろうか。3月にリリースしたアルバム『青春の象徴 恋のすべて』は実に約2年半ぶりのリリースとなった。それは誰のために鳴らすのでもなく、今のThe SALOVERSを虚飾も誇張もなく洗いざらい描いたThe SALOVERSによるThe SALOVERSのための音楽。生々しく鳴る彼らの情熱は私たちの胸を掴んで"これがThe SALOVERSだ!"という叫び声が聞こえてきそうな、原点回帰ともいえる作品となった。そして、このアルバムのリリース発表と同時に彼らは自らの青春に終止符を打つ決断を下した。"友情の全てを代償にしてまで目指す 夢に疲れただけさ"――。無期限活動休止という事実の前にその歌詞はあまりにも寂しく切ないものではあるが、これが彼らの抱えた青春だった。
"無期限活動休止というのが前に出てしまうけど、僕らとしては新しいアルバムができて、こんなにたくさんの人が集まってくれたことが嬉しい"3月25日、渋谷CLUB QUATTROで行われたラスト・ライヴは、本編中に古舘佑太郎(Vo/Gt)が語ったこの言葉の通りだった。1stアルバム『C'mon Dresden.』の1曲目に収録されている「China」で幕を開け、彼らの眩しい青春が一気に会場中に蔓延する。10代でメジャー・デビューを果たし、すべてが早送りで流れていったであろう4人の青春。そしてその音に自分の青春を重ねるように拳を突き上げる満員のフロア。技術面で言えばその荒い演奏は目につく部分もあるが、彼らが表現したかったのは、魅せたかったのはそんなところじゃないはずだ。悶々とした2年半を経てようやく見つけた感情の吐き出し方。初めて楽器を持ったころのような溢れんばかりの衝動を持って、次々とアップ・テンポな楽曲とアグレッシヴな演奏で飛ばしていく。「SAD GIRL」で感じた音圧と爆風、そして稲光のような閃光は観客の胸に一生忘れられない傷跡のように残るんだろうなと思った。
「さらさら」まで一気に駆け抜けたところで話は古舘が藤川雄太(Dr)の帽子にコーヒーをこぼしたという他愛もない話題に。結局、コーヒーをこぼしたのは古舘だが、最終的な結論として藤井清也(Gt)の置いたコーヒーの位置が悪かったというところで落ち着く。そんな話を聞きながらThe SALOVERSって男子学生みたいなバンドだったんだよなあとしみじみ思い出した。くだらない会話で馬鹿みたいに何時間も笑い合える大切な存在。彼らはバンドという奇跡や音楽の力を信じるよりも何年もかけて築いてきた友情を守っていく道を選んだ。そのあと披露された「ニーチェに聞く」にてスタンド・マイクを2本使ってそれぞれ古舘と小林亮平(Ba)、藤川と藤井がペアになって歌ってる姿を見たら、4人の絆が浮き彫りになったようで、胸にじんわりと温もりが広がった。キラキラした顔で歌っていた"人生万歳! 僕らの未来は真っ暗闇のすばらしい世界だ"という絶望的で、だけど希望に満ちた歌詞は、彼らの未来がどこまでも広がっていくことを示唆しているようだった。
湿っぽいMCや空気なんて微塵もない、真剣に4人で音を鳴らした2時間。初めて楽器を握ったかのように衝動的に演奏する姿がとにかく印象的だった。この衝動がずっとThe SALOVERSを動かし続けてきたのだろう。見失った瞬間もあったはずだが、最後の最後で見つけることができたのではないかと思う。彼らがもう1度その衝動を振り回してくれたことが嬉しかった。そしたらThe SALOVERSはきっと、バンドを始めたころのわくわくやドキドキをずっと残したままでいられるから。
この日アンコールで披露したのはくるりの「東京」。冒頭のギター・リフが鳴り響いた瞬間、背筋から全身に向かってびりびりと鳥肌が立った。古舘がこの世で1番尊敬しているアーティスト、岸田繁に最大限の敬愛を込めて演奏しているようだった。くるりの代表曲であるこの楽曲がこれまで様々なアーティストに何十回、何百回とカバーされてきたのは言うまでもない。かくいうThe SALOVERSも何度もカバーしてきている。だけどこの日の「東京」は彼らの思いがはっきりと見えるぐらいに感情的で、音楽と仲間に真摯に向き合った彼らの青春が走馬灯のように巡った。
この日古舘は何度も"また会おう"と繰り返し言っていた。彼の言う"また"はどれくらい先になるのか、それは誰にもわからない。もしかしたら何十年も先かもしれないし、そのころには頭も白髪まみれで、燃やすような情熱もないかもしれない。だけどThe SALOVERSというバンドが残してきた歪で不器用な足跡を笑って振り返れるような、くすぐったい気持ちになるのは間違いないなと思った。例え何年先でも、何十年先でも。
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