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LIVE REPORT

Japanese

IVORY7 CHORD

2013.10.04 @渋谷WWW

Writer 沖 さやこ

今年8月にミニ・アルバム『Synesthesia』をリリースした、大西俊也率いるIVORY7 CHORD。同作は2ndアルバム『Pentagram』以来約1年4ヶ月ぶりのリリースとなり、このレコ発イベントもまたバンドの帰還的な意味合いが強いものだった。バンドがステージに現れたときの観客から滲み出た歓喜の空気は、両腕を大きく広げて"おかえり"と迎えるような包容感で、改めてバンドマンとしての大西の活動を楽しみにしている人が大勢いることを痛感した。


まずはトップバッターとして出演した、千葉・柏を中心に活動中の3ピース・バンド、odd。ぬくもりのあるパンク&メロコア・サウンドと、ボサノヴァやソウル、ファンクを鮮やかに行き来する。アッパーな曲を畳みかけながら、丁寧に感情を伝えていく姿も印象的だった。転換中の音出しからNIRVANAの「Smells Like Teen Spirit」を演奏するなどフロアの期待を更に煽った大阪発3ピースKidori Kidoriは、クレヴァーで情熱的なロックを展開。ダークな雰囲気を醸しつつ吠えるように荒々しいギターとスケールのあるリズム隊。小気味の良い大阪弁のMCから巧みな流れで曲へ繋ぐなどで魅了する。ひりついたグルーヴでひたすら攻め続けるステージだった。


この日の主役IVORY7 CHORDは『Synesthesia』の1曲目「Earth Does Move」をSEに登場。大西、UNCHAINの吉田昇吾(Dr)、DUB STRUCTURE #9の新井遼一(Ba)、MASATO(Gt)がステージに揃うと「Paradox」へ。4人が音を鳴らすとたちまち凄まじい音数のベース、ギター、ドラムが溢れ出す。"IVORY7 CHORDです、本日はよろしく!"と大西が威勢よく告げ、ストレートに伸びる力強いナンバー「Luminously」。大西は感情をぶつけるようにギターをかき鳴らす。「Fire works」は楽しそうに歌う彼の姿と、矢継ぎ早に炸裂する明るい音色がまさしく曲名の通り大輪の花火のようだ。各プレイヤーの超絶テクニックが炸裂する「YesNo」の後、大西はエレアコを構え、ゲスト・ミュージシャンのUNCHAIN佐藤将文(Gt)、
SCRAMBLESのmiifuu(Key)をステージへ招く。6人が一斉に音を出した「PARADE」のイントロは、更に深い色をはじき出した。IVORYの音楽は、音数が増えれば触れるほどまとまりが生まれるような感覚さえある。繊細で都会的なピアノの音色と情熱的なギター・カッティングがドラマティックな「Autumn leaves」、佐藤の色気のあるギターとダンス・ミュージック的なアプローチのリズム隊が心地よい「White apple」はアダルトな空気に酔いしれる。飾らない言葉で綴られた「KIOQ」は、大西のファルセットがより優しく輝く。「Dry your tears」「Distance」と、今この時間を全力で楽しもうとする気迫と、互いが互いを支えあうような優しさが感じられる奇跡的なアンサンブルは美しい景色を次々と見せてくれた。


再び4人編成に戻り、大西がエレキに持ち替えると「Last moment」「Falling down」とエッジィに加速。"みんなの声を聴かせてください"と言い演奏された「ONE」では本編ラストに相応しい未来に繋がる晴れやかな空間が広がった。アンコールでは"いろいろメンバー交代があっていつも来てくれるお客さんに心配をかけたけど......とにかく今を生きていきたい。そういう思いが詰まった作品に『Synesthesia』はなりました""みんなにも過去ではなく今を生きてほしいし、俺もそこにいたい。それは簡単なようで難しいことなのかなと思っている"と6人編成で「Holography」を披露。高みへと突き抜けるようなエネルギーに、フロアも祝福するように熱視線を送る。あたたかい拍手は客電がつきBGMが流れてもしばらく鳴りやまなかった。
 

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