Japanese
THE NOVEMBERS
Skream! マガジン 2013年08月号掲載
2013.06.29 @恵比寿The Garden Hall
Writer 沖 さやこ
聴き手に“届けたい”という思いが溢れ、やわらかな音で彩られる『GIFT』。聴き手に対しひたすらに突きつける、鋭利で攻撃的な音像の『Fourth wall』。一方は生、一方は死――同じ事象を真逆の手法で表現した“鏡合わせ”とも言える2枚のEP。この2枚は、これまでTHE NOVEMBERSが培ってきた音楽性を、強い知的好奇心と豊かな試みで深めた作品だ。バンドにとって大きな到達点だったと言えるのではないだろうか。そのツアー・ファイナルは、彼らが敬愛する海外のミュージシャンがライヴを、ファッション・ブランドがイベントを行うなど、バンドにとって思い入れの深い会場である恵比寿The Garden Hallにて開催された。
『Fourth wall』の冒頭を飾る「Krishna」がSEとして流れると、静かに緞帳が上がる。するとそこにはまた薄い幕があった。これは“観客と舞台を隔てる想像上の壁”である“Fourth wall(第四の壁)”だろうか。1曲目は「dogma」。その透けた“壁”には鮮やかな色彩の映像が流れ、向こう側にいる4人の姿が時折見える。淡々とリズムを刻む吉木諒祐(Dr)、銃声のような音や不穏な音色を奏でる小林祐介(Vo/Gt)とケンゴマツモト(Gt)、滑らかにヘヴィな音を繰り出す高松浩史(Dr)。そのまま緊張感とエネルギーが漲る「primal」へ。サウンドのスピード感と呼応し、赤いライトと4人の影が素早く切り替わる。小林とケンゴが向かい合いギターをユニゾンさせるシルエットもクールだ。薄い幕が下りるとフロアからは歓声が沸き「Figure 0」へ。桃色のレーザー光線を用い、聴き手の視覚に攻め入る。ウェットな小林の歌声とシャウトの交錯は背筋に銃口を突きつけられる感覚に陥るほどに戦慄的だ。体にまとわりつくような音色がハードに響く「瓦礫の上で」。歌も音も、衝動的だが非常に理性的である。音の中に感情をはめ込んでいくような、人間ならではの知的な空間が広がる。
ダークな空気から一転、柔らかい音色と優しいメロディの「Harem」へ。重さと軽やかさが同居するサウンドと“踊りましょう”とリフレインするフレーズがループし、場内は一気に優しさが溢れる『GIFT』のムードに包まれる。そのまま光を更に含み「Reunion with Marr」「Slogan」「ウユニの恋人」「philia」。4人は音に新たな命を吹き込むように、丁寧に音を重ねる。それは『GIFT』で示した“生”の体現のようで、その尊さに心の中が幸福感で溢れる。“改めましてTHE NOVEMBERSです”と小林が挨拶し“未来に関する歌を聴いてください”と「GIFT」へ。この日はこの曲に宿る思いがより生々しくストレートに響いてきた。“まだまだ僕らはこれから”――バンドは常に先を見据えている。思い返してみれば、筆者がTHE NOVEMBERSと出会った2007年、彼らはひたすら叫ぶように鋭く音を奏で、感情が爆発する佇まいと音は排他的で反抗的だったように感じられた。冒頭でこの日のライヴを“大きな到達点”と書いたが、彼らにとってこれは通過点でしかない。常に進化し続ける彼らの現在形を目の当たりにしたフロアは、歓喜と感謝を伝えるようにあたたかく大きな拍手を送った。
その後、NIRVANAのカヴァー「Stay Away」で、再びディープな空間を構築する。「永遠の複製」「ニールの灰に」「dysphoria」「彼岸で散る青」と、過去の楽曲も『Fourth wall』の世界へと染まっていくようだ。突きつけられる激しく、冷静な音像。EPで表現した世界を研ぎ澄まし、より明確にしようとしている印象を受けた。「children」ではステージの背景に映し出された映像の中に、昔の彼らの演奏シーンがあった。「GIFT」で感じたバンドの進化と未来を改めて視覚で認識することで、よりそれが具体性を帯びる。アンコールで小林は“音楽に関わらず、自分たちの意志で素敵だと思うものを作る人と積極的に関わることで始まった”“改めて心の底からありがとうございます”と語る。様々な思いがこみ上げるのか、うまく喋れない。だが静かにひとつひとつ感謝の思いを言葉にした。ラストの「Moiré」ではそんな実直な思いが素直に鳴り響く。様々な試みに挑戦し、より豊かに、面白く、美しく進化するTHE NOVEMBERS。彼らの今、そして未来をこれからも追い続けたい。
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