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LIVE REPORT

Japanese

Brandel

2013.05.10 @下北沢MOSAiC

Writer 沖 さやこ

5月8日に4曲入りのミニ・アルバム『WHERE THE SUN RISES』をリリースしたBrandel。同作を引っ提げて36箇所で開催される全国ツアー“WHERE THE SUN RISES Tour”が、下北沢MOSAiCを皮切りにスタートした。

まずTaki(Vo/Gt)が『WHERE THE SUN RISES』の1曲目である「Let Me Go」の冒頭をしっとりと歌い上げると、フロアの視線がステージに集中する。色鮮やかなJuker(Gt)の奏でるフレーズに呼応するように、Takiの満面の笑みが輝く。Lyuon(Ba)は極太のビートを繊細に紡ぎ、コーラスでしっかりとTakiの歌声を支える。Kaz(Dr)は後ろからバンド全体を突き動かすようなエネルギー溢れるリズムを叩き出す。Takiがギターを置きハンドマイクになると「You Say You Wanna」へ。彼がクラップを煽ると、フロアも軽やかなビートに合わせて体を揺らし手を叩く。重厚で安定感のあるコーラス、カラフルなライティングは華やかな楽曲の雰囲気との相性が抜群だ。

「Addiction」でTakiは喉を枯らして聴く者の心へ言葉を刻み込む。アーティスト写真や楽曲のイメージだけでは、Brandelが軟弱なロック・バンドに見えるかもしれないが、ライヴを見ると実はとても男臭いバンドである。ギター、ベース、ドラム、全てが骨太で、かつ華やかさがあるのだ。ヴォーカル不在の頃は3人でツアーを廻るなど精力的なライヴ活動は勿論、ライヴのために走りこみを行っているという彼ら。これまで積み上げてきた経験値をしかと見せ付ける堂々としたステージングだ。「Break Out」での緊張感溢れるギターは息を飲むほどだった。

メンバー紹介を済ませると「Acceleration World」へ。歌に身を投じるTakiは全身汗だくだ。長い髪を華麗に振り乱すJukerは、ギター・ソロで竜巻のようにこちらを音の中へと巻き込む。Takiが再びギターを抱えるとアルバムのラストを飾る「Sunrise」。音が情景を描くとはまさしくこのことで、ベースの音色にギター、ドラムが重なる瞬間は、どこまでも続く水平線から太陽が昇るところを目の当たりにするような感覚に陥る。“僕らにとって大事な曲”という言葉の通り、ひとつひとつ丁寧に、壮大に音を鳴らす4人の姿が印象的だった。“盛り上がる準備は出来てますか!?”とTakiが叫ぶとラストの「Get Her Away」でステージを締めくくった。楽器隊の強靭で鮮やかなグルーヴ、英国ポップス的なセンスが光るコーラス・ワーク、全編英語詞の楽曲――それらを武器にする彼らが目指すのは世界。チャレンジを止めない彼らのネクスト・ステージに期待したい。

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