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LIVE REPORT

Japanese

"#楽園収穫祭~桃ノ歌ゲ2days DAY1"

Skream! マガジン 2025年04月号掲載

2025.03.03 @下北沢MOSAiC

Writer : 中尾 佳奈 Photographer:マチダナオ

3月3日ひな祭り当日。新世代ガールズ・バンドの祭典"#楽園収穫祭~桃ノ歌ゲ2days"が、東京は下北沢MOSAiCにて開幕。女の子の幸福を祈る桃の節句に相応しく、マイク・スタンドには桃の花が添えられている。今宵、そんな華やぐステージをさらに彩る、色とりどりな個性を持ったガールズ・ロック・バンドたちが全国各地から集結した。

童謡「うれしいひなまつり」に乗せオープニング・アクトとしてステージに登場したのは、 CARAMEL CANDiDの おと(Gt/Vo)。今回は00年代生まれによる音楽プロジェクト"from00"からの楽曲、"令和の反戦歌"がテーマの2曲をライヴ初披露した。「我々贅沢品」では、身振り手振りを交えながら、突き抜けるヴォーカルで聴く者の心にガツンと思いを届け、「k0t0nakare」ではラッパー Siglinenも登場。同曲は"戦争に関与せず生きていける僕たちへの讃美歌"でもあるという。若者目線の反戦歌を掲げ、メッセージ性の強いステージで、トップバッターからオーディエンスをグッと惹きつけていく。

続く女子高生4人組 愛好嘩(ノイジーラバーズ)は、ドラムのカウントから威勢良く「忘れないように」でスタート。拳を突き上げたれなぴん(Ba)の合図に応えるように、サビでは観客の手が挙がっていく。勢いそのまま「Wish」へと繋げ、爽やかなアップチューンを連投。安定感のあるリズム隊に王道J-ROCK感を醸すギター、そしてロック映えする力強く伸びやかなヴォーカルが響き渡る。また、都内を拠点とする彼女たちが東京の"冷たさ"を歌った「東京」は最近書いた楽曲だと言うが、しっかりとオーディエンスを煽り堂々たるステージングで巻き込んでいった。観客へフランクに話し掛けたりお花を配ったりと、話に花が咲くわいわいとしたMCも彼女たちらしく、終始ポジティヴ・ムード。そして最後は、"皆さんまた会いましょう"と再会を誓い「またね」で締めくくる。

"ほんわかロック・バンド"とにもかくにもは、ピーズ「バカになったのに」に乗せて1人ずつ登場。四つ打ちのリズムと掛け声が軽快な「ちょっぷ」で和ませ、続く「永遠の恋人」ではフロアを横に揺らす。ほのぼの感を生む行進のリズムや、ユニゾンで歌うサビの青春感。さくら(Vo/Gt)ともか(Ba)がステップを踏んだり足踏みをしたりと、動きを合わせながら演奏する姿も微笑ましい。岩手出身の彼女たちはなんと東京初上陸。県外初ライヴだと言うが、MCではアウェー感を全く感じさせない温かなオーディエンスとのやりとりも。「ラーメンの唄」ではサビの"ラーメン!"コールまでバッチリだ。ラストを飾ったのは、イントロからクラップが沸き起こった「少年少女」。終始楽しそうな姿に思わずこちらも笑みがこぼれるようなパフォーマンスを見せてくれた。

続いては、同じく東北出身でこちらも初の東京でのライヴだという3人組、リリカル。円陣で気合を入れ、ドラムの合図から一斉にかき鳴らすと、"仙台からリリカル始めます!"と朗らかなミドル・ポップ・ロック「パーティー」でスタートした。癖になるキュートなヴォーカルに、クールなベース、軽やかに刻むドラムと三者三様。コーラスのハーモニーも心地よい。特に珈香(Vo/Gt)のハツラツとした太陽のような明るさが会場全体を引っ張っていく。あやね(Dr/Cho)が先日高校を卒業したという話題から「グッバイマイフレンド」、そして元気な"ワンツー!"コールで「音の鳴るほうへ」に突入。しちみ(Ba/Cho)のクラップや珈香の"下北いけますかー!"という声掛けに応え観客も一段と盛り上がりを見せると、最後の「ぼくらのうた」までそのまま駆け抜けた。

トリを飾るのは長崎発高校3年生のガールズ・バンド、マリンブルーデージー。チャイムが響く学校らしきサウンドスケープにガラスの割れる音、ピアノの旋律が広がるドラマチックなSEとともに登場すると、海音(Vo/Gt)が"私は学校に行けなかったときからずっと曲を書き溜めてきました"と語り始める。"あなたの想いが少しでも報われますように"という願いを乗せ放つ1曲目は「青春」。思春期の脆さを体言するような繊細で澄んだ歌声、"やめて!"という叫びに息をのむ沈黙と、センセーショナルなステージを展開していく。言葉と想いに耳を澄ますように聴き入るフロアの緊張感を解いたのは、リズミカルなクラップやシンガロングを盛り込んだ疾走チューン「ずっっっと!」。さらにはエモーショナルなバラード「言霊」、フロアを躍らすキャッチーな「らったった」等多彩な楽曲群で魅せ、アップチューンでは観客を煽りぐいぐい引っ張っていく求心力も光る。そして高揚する歓声とともにアンコールも発生。「藍にしずく」で最後まで丁寧にその想いを届けた。

百花繚乱、新世代ガールズ・バンドが集った"楽園"。フレッシュで有望なバンドとの出会いに恵まれたこの"収穫祭"はまさしく大豊作に終わったが、出演バンドたちにとっても刺激的な、得るものの多い収穫祭となったのでは。勢いのある若手ガールズ・バンドのサウンド、空気感、そして音楽を通して若い世代の考えや思いにも触れることができた、実りある一夜となった。

[Setlist]
■おと(CARAMEL CANDiD)
1. 我々贅沢品
2. k0t0nakare(ゲスト:Siglinen)

■愛好嘩(ノイジーラバーズ)
1. 忘れないように
2. Wish
3. 東京
4. またね

■とにもかくにも
1. ちょっぷ
2. 永遠の恋人
3. ともだちの唄
4. ラーメンの唄
5. ぱたぱた足音
6. 少年少女

■リリカル
1. パーティー
2. 狂愛
3. グッバイマイフレンド
4. 音の鳴るほうへ
5. ぼくらのうた

■マリンブルーデージー
1. ⻘春
2. 死にたがった
3. ずっっっと!
4. 言霊
5. JKブランド
6. らったった
7. See'n'You
En. 藍にしずく

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