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LIVE REPORT

Japanese

IrisaVior

Skream! マガジン 2025年01月号掲載

2024.11.26 @Shibuya eggman

Writer : 中尾 佳奈 Photographer:Wataru

福岡県在住の4人組ロック・バンド IrisaViorが、初のシンガロング曲となった4thシングル「一生のお願い」を引っ提げたツアーを開催。同曲の歌詞をもじり"君の声を探しに"と銘打たれた今回のツアーでは、まさに各地にいるリスナーの"声"を求め大阪、東京、福岡を巡った。東京公演2日目となったこの日はShibuya eggmanのレギュラー・イベント"心臓爆発日和"として開催。大トリ7組目に登場したIrisaViorは、イベント・タイトルに相応しく心臓が爆発するような爆音をドカンと一斉にかき鳴らし、その凄まじい音圧によって一瞬で会場を掌握したのだった。

オープニングを飾った楽曲は「アイノコトバ」。早速拳が上がるフロアに対し、あべさきこ(Vo)、しんじ(Gt)、みどり(Ba/Cho)はステージのギリギリまで前へ出て煽り、その前のめりな姿勢で1曲目から観客を巻き込んでいく。間髪入れず「君のせい」に突入すると、さきこの"みんなの声をたくさん聞かせてください"との言葉に応えるように"ワンツー"コールが発生。その勢いのまま"オイ! オイ!"と拳を突き上げるオーディエンスとグータッチを交わしていった。さきこが"まだまだ熱い空間作っていきましょう!「リコレクションブルー」いけるかー!"と叫ぶと、待ってましたと言わんばかりの歓声が上がる。キラキラ四つ打ちサウンドに飛び跳ねるフロア。メンバーの弾ける笑顔も楽曲のキラキラ感を増幅させ、曲終わりの高揚感の込もった"フゥーー!!"という歓声がこの曲の持つポジティヴなパワーを物語る。

MCではさきこが、本当に出たかったイベントだと言う"心臓爆発日和"に出演できた喜びと感謝を伝えると、"いろいろ喋りたいことあるけど、メンバーにも......"とマイクはリーダー Kento(Dr)のもとへ。"Shibuya eggman楽しんでますか!"と威勢良く問い掛けると、今回のツアーの感想を、なんとメンバーではなく 2デイズ参加したファンに訊くという予想外の展開に! リスナーとの距離の近さを感じさせる和気あいあいとしたトークから、各地で待っていてくれたファンへの感謝を語った。

想いを伝えるエモーショナルなMCに続き、スタンド・マイクを使いしっとりと力強く歌い上げられたミドル・バラード「おやすみ」では、その歌心に聴き入るフロア。終盤はシューゲイザー感のある轟音が包み込んでいき、最後はギターとベースの美しい旋律とハーモニーが胸を打った。"君の声を探しに"ツアーということで、"一緒に歌いたい曲があります"とさきこが「regret」のサビを歌い始めると、そのままオーディエンスとの大合唱に。そんな最高の始まりとなった「regret」は盛り上がりもひとしお、全サビ終わりの"regret"のフレーズでは大合唱が巻き起こり、その輪はフロア後方まで広がっていった。そして本編最後に放たれたのはもちろん最新曲「一生のお願い」。手数の多いドラムは緻密なプレイながら躍動感に溢れ、縦横無尽なメンバーの暴れっぷりも見ていて気持ちがいい。"君の声を探しに"ツアーを象徴するシンガロング・パートとともに、この夜は大団円を迎えた。

と思いきや、"全然足りないぞー!"との声にアンコールが沸き起こり、メンバーはすかさず再登場。会場のボルテージはまたグッと高まる。"みんなで踊ろう!"というさきこの言葉を合図に、スラップ・ベースが光るアグレッシヴな「いい関係」を投下し、フロアを躍らせボルテージMAXのまま駆け抜けた。

オーディエンス一人一人と向き合い心を鷲掴みにしていくような彼等のパフォーマンスが生んだ一体感。去り際に観客とグータッチを交わしていくメンバーの姿からもそれは見て取れた。このツアーで集まったオーディエンスの"声"をエネルギーに、IrisaVior はさらに大きなバンドへと成長していくことだろう。

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