Japanese
キングサリ
Skream! マガジン 2024年02月号掲載
2024.01.16 @LIQUIDROOM ebisu
Writer : 山口 哲生 Photographer:真島洸
アルバム『SURVIVE』をリリースし、初のバンド・セットによるワンマン・ライヴ"キングサリ BAND SET ONEMAN LIVE 『Survive the new world』"を、LIQUIDROOM ebisuにて開催した6人組アイドル・グループ、キングサリ。満員御礼で迎えたこの日のライヴは、村咲ちいの力強くも艶やかなアカペラで幕を開けた「狂喜乱舞」からスタート。CO2が噴き上がるなか、蝶羽れいが"ここにいる全員で楽しんでいくぞ!"とフロアを煽れば、あやさ、栗原えみる、天神・大天使・閻魔も伸びやかに歌を届け、ネ兎ねうの指示でオーディエンスは花一匁のごとく、右に左にフロアを移動。1曲目から場内が凄まじい熱気に包まれるなか、矢継ぎ早に「Life hack キラーチューン」、「生生しろよ」と、アッパーチューンを畳み掛けていく。
今日のライヴは彼女たち6人と、バンド・メンバーの4人を合わせた"10人のキングサリ"でパフォーマンスをするとMCで話していた通り、バンド・メンバーたちも遠慮なしに爆音を堂々と轟かせていて、キレキレでアグレッシヴなプレイはとにかく迫力抜群。そんな強烈なバンド・サウンドに一切負けることなく、メンバーひとりひとりが自身の歌声をしっかりとフロアに響き渡らせていた。また、早口で畳み掛けていく「ミーイズムがとまらない!」では、原曲よりも間奏の尺を長めにとってメンバーがダンスで魅了したり、「一矢報いて」の間奏では、蝶羽、村咲、あやさ、栗原、ネ兎、閻魔とメンバーがかわるがわるフロントに飛び出してソロ・ダンスで繋いでいったりと、華やかでありながらもパワフルなパフォーマンスでオーディエンスを熱狂させていた。
フロアの熱を煽るだけでなく、ミディアム・ナンバーの「おかえりきみ」は、6人の歌とキーボード1本のみで披露。1コーラス目は村咲、栗原、あやさの3人、2コーラス目は蝶羽、ネ兎、閻魔の3人、そして最後は全員で歌うという構成もドラマチックで、歌詞のひと言ひと言に思いを込め、大切に届けていく6人の歌声に、大きな拍手が送られていた。そこからキーボードもいったん舞台を離れ、グループにとって新たな挑戦を試みたエレクトロ・ナンバーの「Cuteness Nemesis」へ。強烈な低音が轟くなか、キレのあるダンスを見せつけていた。
6人それぞれが強い個性を放ちながら怒濤の勢いで展開していくステージは、まさに彼女たちが掲げている5つの"いきる"(生きる、活きる、イキる、熱きる、射切る)というコンセプト通り。また、先日行ったインタビューで、バンド・セット・ワンマンに向けた思いや課題、目標を話してくれたが、間違いなくそれらは見事クリアされていた。グループ史上最大キャパの会場を埋めるために様々な施策を行ってきた彼女たちだったが、その裏でもこの日に向けて積み上げてきた努力の量は相当なものだったのだろう。メンバーの手書きコメントが書かれたテープが発射された「CRAZY KING」でライヴを締めくくったあと、閻魔が感極まって涙を流す場面もあった。この日に至るまでの苦悩を明かしていたが、"立ち止まっていたらキングサリっぽくないし、自分たちには好意を持って協力してくれている人たちがたくさんいて。私もメンバーも、常にその人たちにどうやって恩を返そうという気持ちでいっぱいだったんですけど......今日で返せたかな!"と絶叫。初のバンド・セット・ワンマンは大団円で幕が降りたのだった。
キングサリは、4月30日に、彼女たちがデビュー・ライヴを行ったSpotify O-WESTにて、デビュー2周年を記念したワンマン・ライヴを開催。"目指すはZepp"という目標を話していたが、それはさることながら、そのさらに先に待ち構える大舞台に立ち、客席を沸かせまくる姿を見てみたいと強く思ったステージだった。
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