Japanese
PHONO TONES
2013.10.06 @東京湾
Writer 石角 友香
ライヴハウスやホール、アリーナ以外のライヴと言えば野外フェスをはじめ、変わり種だとお寺や遊園地、銭湯、廃墟など様々あるが、会場自体が動くことは、まずないだろう。8月に2ndアルバム『LOOSE CRUISE』をリリースしたPHONO TONESが、去年の横浜に続いて、今年は東京湾をクルーズしながらのライヴを昼夜2回に渡って開催した。音楽はシチュエーションによってもその魅力を増すという意味で、全体の流れをレポートしてみよう。
私が見たのは18時出航の夜の部。18時の出航に向けて、乗船場所に集うファンは想像以上に年齢層も厚く、ライヴはもちろん、今から海に出るワクワク感と、ひとつの船で約2時間を共にする不思議な連帯感のようなものが生まれている。定時に船のエンジンがかかると見る見るうちにお台場が遠くなり、ライヴ開始まではおのおの夜景を撮ったり、デッキの手すりに腰掛けるカップルもいたりして、ちょっとした非日常を楽しんでいるようだ。
30分ほど経過した頃、おもむろにメンバーが船首にしつらえられたこじんまりしたステージに登場。サポート・ギタリストの伊賀比呂志(from Liquid)を含めた5人編成だ。オープナーは海にぴったりな「Summer Has Gone」。船の揺れとPHONO TONESのグルーヴの相性の良さを早くも確信する。伊地知潔(Dr)のサンバ的なビートで冷たくなってきた風を一瞬忘れさせる「Imaginary Line」を聴きながら、どれぐらいの範囲までこの演奏は聴こえるんだろう?などと想像しながら空を見上げると、雲間に星を発見。晴天ではなかったが、東京でもこんな広い空を見上げられる場所は貴重だと思う。3曲演奏し終わったところで、"夜の部船長"、飯塚が"ご乗船ありがとうございます"と挨拶。続いて"橋のとこ通ってる時とか、ドラマみたいで(昼の部のあとの)休憩時間にカラオケでトレンディ・ドラマの主題歌を歌ってきた"(宮下)などなど、メンバーもこのスペシャルなシチュエーションを心から楽しんでいる。リラックスしつつも演奏はタイトでシュア。音響的にも風に余り左右されることなく、楽器ひとつひとつの音が聴こえてくるのが嬉しい。
メロディを奏でるのがキーボードとペダル・スチールというPHONO TONESの魅力が顕著に現れた「Autumn Sword Fish Dance」ではワウっぽいエフェクトが施されたエレピと、それに似た音像を描くペダル・スチールがツイン・ヴォーカルのような趣きで、そこにジャズと生音ブレイクスをミックスしたようなドラミングが加わり、スリルの色合いを強め、エンディングに向かってお囃子的なテンションに転じると、大きな拍手が起こった。続く「石川町ファイヤー」のファニーなハードボイルド・テイストが港湾というシチュエーションも相まり、レアな経験に。
"どっちかと言うと客席にいたい"と言う宮下のMCも納得。それほど楽しく、特別なライヴなのだろう。"毎年やりたいし、希望を言うと座ってご飯も食べられる、というとでっかい船じゃないとダメだし、となるとチケット代が上がるし......潔さんが自分で船を買うとか?"の一言に起こる大歓声。それも80人ぐらいのキャパシティゆえに、温かい一体感も生まれるというものだ。ユルいスカ/レゲエのビートから滑り出し、宮下が放つノイジーなサウンドに伊賀のギター・ソロも相まってハードボイルドな「Yie Ar YAHMAN」、そのままずっと聴いていたいメロウネス溢れる「Hello and Goodbye」に浸りながら、陸に目をやると港湾にそびえ立つ重機の類が動物のように見える。音楽が鳴っていなければ、風の冷たさがきっともっと強く感じられただろう。
"寒い人! トイレ!?(に行きたい人)"との伊知地の問いかけにかなりの人が挙手。"下の部屋であったまれますよ"と、ライヴが続くにも関わらず冗談抜きでつい出た言葉に人柄が出てしまう。前方で見る人が大半だが、無理せず階下で飲みながら音を楽しんでいる人もいた。それぐらい自由度が高いのだ。その後、直近のライヴや、アルバムを携えての全国ツアーを車でまわることなどを告げて、PHONO TONESとしてのまとまった活動への期待が高まったところに、ラスト・ナンバー「The World Is Yours」のイントロダクションであるハイハットのリズムが刻まれ、同時に起こるハンド・クラップ。再び東京タワーやビル群に向けて船首が波を切っていくのと同調するように、猪股ヨウスケ(Ba)が船首に向きを変え、そのビートで演奏をさらに駆動させる。レインボーブリッジを右手に臨みながら、クラップとハットのビートだけになる瞬間の、なんとも言えない一体感。海から見る東京そのものが演出に一役買ってくれている。温かな音色が夕闇に溶けて演奏は終了。が、そこに少し大きめの波が!"もうひとつちょっと大きいのきまーす"とスタッフじゃなく、伊地知が注意喚起するあたりも含めて、バンドとファン(同乗者)の距離がすごく近いライヴだった。着岸までの30分弱の時間には、メンバーも参加してのグッズの販売やコミュニケーションの時間があったことや、演奏終了後はより海が近い階下のベンチで飲みながらお喋りに興じられたり、"降りられない"からこそ生まれる空間も新鮮だった。
小さな旅とPHONO TONESの相性の良さ。それは翻って、彼らの音楽がシチュエーションを選ばない強さと自由度を持っていることの証でもあった。
- 1
LIVE INFO
- 2025.11.28
-
Galileo Galilei
優里
BLUE ENCOUNT
go!go!vanillas
怒髪天
DJ後藤まりこ × クリトリック・リス
VII DAYS REASON
Dios
崎山蒼志
凛として時雨
ズーカラデル
コレサワ
SHERBETS
Another Diary
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
ポルカドットスティングレイ
おいしくるメロンパン
sajou no hana
NEK!
CENT
OKAMOTO'S
meiyo
RAY
reGretGirl
- 2025.11.29
-
ビレッジマンズストア
Appare!
YOASOBI
NEE
暴動クラブ
brainchild's
Cody・Lee(李)
キタニタツヤ
優里
くるり
TOKYOてふてふ
MONOEYES
キュウソネコカミ
moon drop
THE BACK HORN
androp
The Biscats
フレデリック
チリヌルヲワカ
怒髪天
eill
LOCAL CONNECT
wacci
LACCO TOWER
大橋ちっぽけ
BLUE ENCOUNT
ドラマチックアラスカ
アーバンギャルド
ねぐせ。
ExWHYZ
UVERworld
フラワーカンパニーズ
愛美
浪漫革命
東京スカパラダイスオーケストラ
BACK LIFT / 魔法少女になり隊 / LEEVELLES / パピプペポは難しい ほか
Bentham
MONO NO AWARE
NANIMONO
カミナリグモ
9mm Parabellum Bullet
PIGGS
- 2025.11.30
-
ビレッジマンズストア
YOASOBI
NEE
TOKYOてふてふ
凛として時雨
キタニタツヤ
崎山蒼志
くるり
キュウソネコカミ
moon drop
SHERBETS
THE BACK HORN
TENDRE
アーバンギャルド
the paddles
秋山黄色
TOMOO
LACCO TOWER
ドラマチックアラスカ
LUCY
ExWHYZ
Maki / SIX LOUNGE / w.o.d. / KUZIRA / TETORA
UVERworld
フラワーカンパニーズ
ポルカドットスティングレイ
NANIMONO
ズーカラデル
ぼっちぼろまる×ポップしなないで×ぜったくん
コレサワ / ヒグチアイ / のん / ひぐちけい
miwa
MONO NO AWARE
Conton Candy
JYOCHO
離婚伝説
- 2025.12.02
-
RADWIMPS
LONGMAN
Dios
RAY
マカロニえんぴつ × DISH//
私立恵比寿中学
GLIM SPANKY
SUPER BEAVER
IneedS
- 2025.12.04
-
TENDRE
LEGO BIG MORL
私立恵比寿中学
SHERBETS
Homecomings
アーバンギャルド
キュウソネコカミ
吉井和哉
Hakubi
- 2025.12.05
-
桃色ドロシー
私立恵比寿中学
moon drop
ポルカドットスティングレイ
ザ・クロマニヨンズ
NANIMONO
eill
Laughing Hick
崎山蒼志
さかいゆう / 望月敬史 / L'OSMOSE(O.A.)
flumpool
とまとくらぶ
Another Diary
岡崎体育
Rei
ズーカラデル
打首獄門同好会
- 2025.12.06
-
キュウソネコカミ
AIRFLIP
ザ・クロマニヨンズ
凛として時雨
OKAMOTO'S
BLUE ENCOUNT
indigo la End / a flood of circle / Galileo Galilei / go!go!vanillas ほか
Cody・Lee(李)
brainchild's
LEGO BIG MORL
NANIMONO
怒髪天
ねぐせ。
CVLTE
UVERworld
eastern youth
キタニタツヤ
優里
Kroi / Jeremy Quartus(Nulbarich) / BREIMEN / luv
flumpool
チリヌルヲワカ
Aooo
Mirror,Mirror
心愛 -KOKONA-
THEラブ人間 / ビレッジマンズストア / 忘れらんねえよ / KALMA ほか
フラワーカンパニーズ
Ryu Matsuyama
MyGO!!!!!
- 2025.12.07
-
ぜんぶ君のせいだ。
崎山蒼志
キュウソネコカミ
MOSHIMO
moon drop
ポルカドットスティングレイ
凛として時雨
BLUE ENCOUNT
AIRFLIP
OKAMOTO'S
sumika / マカロニえんぴつ / Kroi / ズーカラデル ほか
NANIMONO
怒髪天
Devil ANTHEM.
ACIDMAN
eastern youth
小林私
UVERworld
優里
秋野 温(鶴)
LACCO TOWER
OAU
the telephones
BIGMAMA
フラワーカンパニーズ
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
トゲナシトゲアリ × RAISE A SUILEN
- 2025.12.08
-
ザ・クロマニヨンズ
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
RAY × きのホ。
ドラマチックアラスカ
PACIFICA
シベリアンハスキー
雨のパレード
never young beach
- 2025.12.09
-
キュウソネコカミ
天女神樂
ザ・クロマニヨンズ
FRANZ FERDINAND
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
ドラマチックアラスカ
TENDRE
PACIFICA
Galileo Galilei
Dios
ザ・シスターズハイ
ストレイテナー
PEDRO
モーモールルギャバン
- 2025.12.10
-
PACIFICA
Galileo Galilei
山本彩
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
くるり
森 翼
Wez Atlas
すなお
ストレイテナー
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
- 2025.12.11
-
MONOEYES
あいみょん
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
山本彩
オレンジスパイニクラブ
BIGMAMA
ポルカドットスティングレイ
そこに鳴る
The Ravens
FRANZ FERDINAND
- 2025.12.12
-
Hump Back
Chimothy→
VII DAYS REASON
LiSA
Another Diary
凛として時雨
TOMOO
BIGMAMA
PENGUIN RESEARCH
moon drop
ねぐせ。
私立恵比寿中学
くるり
PEDRO
サカナクション / Creepy Nuts / 羊文学 / ちゃんみな ほか
flumpool
the shes gone
VOI SQUARE CAT
SAKANAMON / Broken my toybox / SPRINGMAN / KEPURA
BRADIO
ザ・クロマニヨンズ
僕には通じない
LONGMAN
- 2025.12.13
-
MONOEYES
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
ぜんぶ君のせいだ。
VII DAYS REASON
Vaundy / THE ORAL CIGARETTES / sumika / マカロニえんぴつ ほか
UVERworld
eill
フラワーカンパニーズ
LITE
SHERBETS
清 竜人
ポルカドットスティングレイ
moon drop
吉井和哉
9mm Parabellum Bullet
Cody・Lee(李)
flumpool
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
[Alexandros]
Appare!
秋山黄色
藤沢アユミ
キタニタツヤ
THE SPELLBOUND
RELEASE INFO
- 2025.11.28
- 2025.11.29
- 2025.12.01
- 2025.12.03
- 2025.12.05
- 2025.12.06
- 2025.12.09
- 2025.12.10
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.19
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.24
- 2026.01.01
- 2026.01.07
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ザ・クロマニヨンズ
Skream! 2025年11月号














