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LIVE REPORT

Overseas

JACK’S MANNEQUIN

Skream! マガジン 2012年04月号掲載

2012.03.12 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer 石塚 麻美

Andrew McMahonがソロ・プロジェクトとして始めたJACK’S MANNEQUIN。活動は気がつけば長期間に渡り、今までに3枚のアルバムをリリースしてきた。初来日時から毎回彼らのライヴを観てきたが、バンド・セットでのライヴはかなり久しぶりだ。最近のインタビューでAndrewはJACK’S MANNEQUINとしてのアルバムは今回が最後になるかもしれないという発言を何度かしており、それを体現するかのように今回のツアーではライヴごとに内容の違う集大成と呼べるようなセット・リストを組んでいた。日本公演ではどんなセット・リストになるのかと期待を膨らませながら会場に向かった。


開演予定時刻をほど過ぎて舞台は暗転。ドラマチックなSEなどもなく、ただラフに登場するのが彼ららしくて良い。オープニングは定番曲の「The Mixed Tape」。会場が徐々に熱気を帯びていく。そして次に畳み掛けるように新作から「Release Me」がプレイ。オーディエンスの多くは体でリズムを取りながら心地の良いメロディーに身を委ね、手拍子もばっちりとハマっていた。
昨日で震災から1年経ったことを気遣ったMCをしたAndrewが、“次の曲をみんなに捧げるよ”と言って歌い出したのが「Swim」。この曲は必死に生きることを歌っていて、Andrewが熱く歌い上げる光景を見ていると本当にこちらも胸が熱くなる。


その後も新旧の曲を織り交ぜ、曲中の静と動を上手く使い分けながらバランスの良いセット・リストが消化されていく。中でも「Kill The Messenger」は曲の後半がヘヴィでロックなアレンジが利いていてかなり痺れた。後半会場のムードが一転したのが彼らの曲の中では異彩を放っている「Bloodshot」。真っ赤な照明も相まって一気に高揚感が溢れ、ダンサブルに転調するサビではオーディエンスも飛び跳ねて盛り上がる。彼らの楽曲の幅の広さを実感させる曲だ。そして「Hammers And Strings」でしっとりと聴かせた後は「I’m Ready」、「Bruised」と完璧なポップ・ソングを立て続けに披露して本編が終了。それからあまり時間を空けずにAndrewとギターのBobbyがステージに戻りアンコール。“次の曲はギター一本だけで作ったんだ。この曲でBobbyはとても良い仕事をしたと思う。新作の中でもお気に入りの曲だよ”とAndrewが語って始まったのが「Restless Dream」。ギターとヴォーカルだけのとてもシンプルで美しい曲に心が洗われ、低音から高音まで丁寧な旋律を奏でる彼の歌声が会場に深く響き渡った。次に“今夜は長いセットをやるって予告したから1曲追加するよ”と、予定にはなかったと思われる「Doris Day」を披露してくれた。MCでAndrewはいつも曲についてのエピソードを語ってくれるが、それを聞いてから曲を聴くとまた違った印象を持てるのがおもしろい。特にこの曲は小犬について書かれた曲だという事実を知り、なんだかとても微笑ましくなった。


ラスト2曲はまだこの曲が、あの曲が残っていた! と思わせる怒涛の展開。「Dark Blue」から「La La Lie」のサビの大合唱で約90分のセットが幕切れた。“トーキョー、アイシテル”、“キテクレテアリガトウ”と片言の日本語で何度もオーディエンスに呼び掛けていたAndrewの温かさが会場中に溢れていて、バンドとオーディエンスの温度差が全くない終始ピースフルな雰囲気のライヴだった。


今回のツアーの最終地が日本で光栄だとも言っていたAndrew。今後JACK’S MANNEQUINとしての活動を続けるにしてもしなくても、これだけ良質なポップ・ソングを然るべきオーディエンスに届けられるAndrew McMahonという類稀な才能の持ち主には、どんな形でも今後も曲を作り続けてほしいし、それを今後も見届けたいと強く思った。

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