Overseas
MUTEMATH
2011.11.10 @shibuya AX
Writer 山口智男

リリース前のアルバムから新曲を披露した今年8月のSUMMER SONIC 2011におけるライヴは、その2ヵ月後にリリースされた3作目のアルバム『Odd Soul』の出来を期待させるのに十二分すぎる素晴らしいものだった。そして、その『Odd Soul』はSUMMER SONIC直後にアナウンスされた今回の来日ツアーが彼らの来日史上、最も素晴らしいものになることを、かなりの高い確率で予感させる、彼らの最高傑作と言っても差し支えない作品だった。
MUTEMATH。世界最強のライヴ集団と謳われるニューオリンズの4人組ロック・バンド。
ギタリストの脱退というアクシデントを乗り越え、彼らが完成させた『Odd Soul』は、ニュー・ウェイヴを立脚点とするバンドがCREAMやLED ZEPPELINの時代のロックのスタイルを借りることによって、汗臭さや暑苦しさといった、それ以前の彼らには無縁だった要素とともに肉体の躍動感をレコーディング作品に加えることに成功した意欲作だった。『Odd Soul』における彼らの挑戦は、よりロックらしいという意味で、世界最強と謳われるMUTEMATHのライヴをさらにパワー・アップさせるにちがいない――そんなことを考えながら、SHIBUYA-AX公演に足を運んだところ、開演時間を10分ほど過ぎた頃、1階客席フロアの後方の扉から太鼓を叩き、タンバリンを鳴らしながら、メンバー4人が一列になって入場してくるという心憎いオープニングにいきなりやられてしまった。
ステージの上手からDarren King(Dr)、Roy Mitchell-Cardenas(Ba)、Paul Meany(Vo, K)、新加入のTodd Gummerman(Gt)の4人が一列に並んだ独特のセッティング、Darrenがガムテープをぐるぐる巻きにしてヘッドホンを頭に固定する光景ともにファンにはすっかりお馴染みだろう。そのDarrenが力強いビートを叩きはじめ、ライヴはいきなりスタートした。
1曲目はCREAM風のギター・リフからテンポアップしてMUTEMATH節になだれこむ『Odd Soul』からの「Prytania」。客席が一気に盛り上がる。2階席もほぼ9割のお客さんが立ち上がっている。続いて、教会風のオルガンに導かれるようにトッドが鋭いリフを放つ。MUTEMATH流のブルース・ロックとも言える「Blood Pressure」。アリーナ、いや、スタジアムかと勘違いしてしまうぐらいの大歓声が沸きあがる。
すると、バンドは間髪を入れず、「Spotlight」をたたみかける。ファンにはお馴染みのライヴ・アンセム。代表曲中の代表曲と言ってもいい。あっという間に興奮の坩堝と化した客席を見下ろしながら、そんなに立てつづけに盛り上がる曲、やっちゃっていいの? とちょっと心配になる。
しかし、そんな心配をよそにバンドは“やあ、みんな!戻ってこられてうれしいよ。一緒に歌ったり踊ったり、思い思いに楽しんで!”(Paul)という挨拶を挟んでからも快調に曲を重ねていった。
序盤の盛り上がりもさることながら、ファンキーかつソウルフルな「Allies」、Paulがギター型のテレミンを演奏したアンビエントな「Reset」、そこからインプロ風につなげた「Odd Soul」(ここでドラムのキック・ペダルがぶっ壊れた)、Paulが歌い上げた「Armistice」と新旧の楽曲をじっくりと聴かせた流れでは、R&Bの影響を窺わせる楽曲に巧みにプログレッシヴとも言える演奏を組み合わせ、テクニックとパッションが一つに溶けあった、まさに世界最強のライヴ集団の異名にふさわしい熱度満点のパフォーマンスを披露した。
ステージ後方からのフラッシュライトがバンドのシルエットを浮かび上がらせる視覚効果もあいまって、まるで音のイリュージョンとも言えるこの前半のステージは、確実にこの日のハイライトの1つだった。
しかし、そこで息切れしてしまわないところがMUTEMATH。
前半と打って変わって、アクロバティックな演奏に頼らずに演奏そのものの熱気をアピールした後半は、ダンサブルなビートを織りまぜ、ニュー・ウェイヴに立脚点を持つバンドらしいポップな一面をアピール。「Goodbye」「In No Time」をしっとりと聴かせたあと、演奏した「Control」では観客も一緒に歌い、それがさらなる盛り上がりにつながった。
そして、ラストスパートをかけるように連打したポップ度満点の「Noticed」(これを名曲といわずして何を名曲という?)、キャッチーなイントロが印象的な「Typical」といった人気曲で観客の熱狂は最高潮に達した。
結論を言えば、MUTEMATHというバンドが現在、持っている魅力を過不足なくアピールしたライヴだったのでは。
やはり『Odd Soul』を完成させたことによって、ポップ・ナンバーからインプロ可能なプログレシッヴ・ナンバー、さらにはファンキーかつソウルフルなナンバーまでレパートリーの幅が格段に広がったことが大きかったのだろう。
Darren以外の3人がそれぞれに複数の楽器を演奏することに加え、エフェクトを駆使したプレイも交えるなど、テクニックとパッションに裏打ちされたアクロバティックとも幻惑的とも言われるライヴ・パフォーマンスは、すでに定評があったが、レパートリーがさらに多彩になったことで、彼らはよりドラマチックなステージングができるようになった。
また、骨太のロック・サウンドやソウルフルなグルーヴといったニュー・ウェイヴという立脚点から時間軸を遡ったことを思わせる新しい魅力も加わった。
それらをSHIBUYA-AXという大きな会場で、満員の観客を相手にアピールできた成果はバンドのさらなる飛躍を期待させるという意味で、あまりにも大きかったはずだ。
アンコールを求める声に応え、再びステージに出てきたバンドは、“08年のサマソニで初めて演奏した曲。その時は客席があまりにも静かで、その後、まさか何度も日本に来られるなんて思わなかった”(Paul)と紹介して、セルフ・タイトルの1stアルバムからの「Chaos」を披露。オーラスを飾ったLED ZEPPELINばりのロック・ナンバー「Quarantine」では、メンバー全員がドラムを叩き(Darrenは観客に支えさせたフロアタムを連打!)、最後は全員が客席に飛び下り、熱狂のうちにライヴは幕を閉じた。
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