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LIVE REPORT

Overseas

SUEDE|SUMMER SONIC 2011

2011.08.14 @QVCマリンフィールド&幕張メッセ

Writer 山田 美央

長かったようであっという間だったSUMMER SONIC 2011も、2日目が終焉に近づき、会場を歩く人々の顔にはポツリポツリと疲労の色が見え始めていた。これほど多種多様なアーティストが一堂に会し楽しめるとなれば、観る方も全力でぶつかるため当然だろう。しかし、最後のアクトを迎えようとしているSONIC STAGEは、疲労はおろか異様な熱気が立ち込めていた。それもそのはず。オーディエンスは皆、奇跡の再結成を果たしたSUEDEを待ち焦がれているからだ。

白いシャツに身を包んだBrett Andersonがステージに現れると、それだけで会場がどよめく。2003年の活動休止発表以来、これだけの人々が彼らの音楽を待ち望んでいたかと思うと、それだけで胸が熱くなってしまった。耽美で心を慰撫するような「Drowners」でスタートすると、ヴォーカルが沁みる「She」へと流麗に繋ぐ。時が経つほどに増していくAndersonのナルシスト的カリスマ性に、フロアがかき乱されていくのが分かる。

Andersonは、2002年にSUEDEとして、2005年にTHE TEARS、2007年にソロでSUMMER SONICに出演した経験を持つ、同フェスにゆかりのあるアーティストだ。しかし、この日のステージは、これまでのどのステージとも違う気概がひしひしと伝わってきた。恐らくSUEDEにとって、これが日本での最後のステージ。熱く真っ直ぐな想いが込められていた。

David BowieやTHE SMITHに通ずる甘い空気を感じる。しかしそれ以上に、自由な気ままさでブリット・ポップの位置付けにまで影響を与えた彼らだからこそ、“再結成”にも臆することなく圧倒的なステージを披露できるのだ。3曲目にしてステージとフロアを一つにした「Trash」で見せた確かなパフォーマンス。彼らの長い歴史の中で培われてきたリスナーとの一体感に、知らず知らずのうちに飲み込まれてしまった。

音を削り出すような「Filmstar」、それとは対照的に柔らかいギターと奥行きのある歌声が広がる「Wild Ones」と、全てをさらけ出すかのように曲を紡いでいく。オーディエンスからも “物足りない。まだ欲しい”とでも言わんばかりの歓声。それに応えるように昂る、ステージの蒼い熱気。Andersonの色気と確かな演奏が、ある種のおとぎのような美しい空間を奏でる。双方から感じられる信頼感を共有し、高揚や多幸感を覚えずにはいられない。

1989年の結成以来、5人はメンバーを変えながら20年以上に及ぶキャリアを積み重ねてきた。その中で獲得してきた様々な表情を披露し、Andersonのナルシスト的カリスマ性や存在感などでフロアを圧倒していく。「New Generation」など彼らの代表曲では異様なほどの熱が立ち込め、「Saturday Night」では会場全員が終わりを迎えるステージを惜しんだ。

全てが終わった後のSONIC STAGEには、放心状態でステージを見つめる人の顔。全身全霊で楽しみ、正面から音楽と向き合った結果なのだ。これほどまでに圧倒的に力でオーディエンスを包み込む音楽。その一部となれたことに、誰もが限りない喜びを感じたことだろう。二度と同じ時を味わうことはできない。だからこそ、この瞬間をいつまでも自分の中に記憶しておきたいと思う。

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