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LIVE REPORT

Overseas

THE FLAMING LIPS

2009.08.09 @千葉マリンスタジアム&幕張メッセ

Writer 佐々木 健治

 強烈な攻撃性を見せ付けたSONIC YOUTHに続いて、SUMMER SONIC 09のSONIC STAGE最終日の大トリ、THE FLAMING LIPSの登場。もちろん、SONIC STAGEは後方のバーまでギッシリと人で埋め尽くされた。
そこで繰り広げられたスペクタクル満載のエンターテイメントは、メンバーの登場からとんでもなかった。まさに人間の誕生をダイレクトに示す演出に、会場中が沸き上がる。詳細はここでは書かないけれど、掴みとしてはバッチリ。そして、大きな風船に包まれてWayneが登場。誰がこんなエンターテイメント性に溢れたライヴを考えられるだろうか。最初から風船が会場中を飛び回り、ステージ脇には、妖精やら蛙やらが常に踊っている。もう何が何だか分からない、おとぎ話のような別世界がそこにはあった。

 そして、一曲目から「Race For The Prize」。あのイントロが鳴った瞬間、SONIC STAGE全体が光り輝くようなエネルギーを放ち、紙ふぶきも舞い上がる。最初にこんなことやって大丈夫なのか?というくらいのカタルシス。
「The Yeah Yeah Yeah Song」では、スクリーンの映像に、様々な言語で「Yes」と「No」が繰り返し映し出される。その後、新曲なども混ぜながらのステージは、どこかその演出に演奏が負けている部分もあったのだが、例えば、「親切さ、実直さ、そして、ヒューマニティについての歌だ」と言って歌われた「Yoshimi Battles The Pink Robots Pt. 1」の美しさ。そして、ラストの「Do You Realize?」で押し寄せてきた感動は、言葉では言い表せない類のものだった。

 正直、Wayneの声は出ていなかったし、演奏面でも拙いライヴではあった。それでも、THE FLAMING LIPSのエンターテイメントは、この祭を締めくくるに相応しい、感動的でパワフルなショウだった。彼らが音楽を核とするこの一大スペクタクルを通じて伝えようとするメッセージは、強烈に胸に響いてきた。MCで語られた「ブッシュがはじめた戦争は、もう終りだ」というメッセージは事実というよりは希望でしかないだろう。それでも、まさに今彼らが抱えている問題意識と未来への希望を強烈にアジテートするショウが、これだけの感動を生み出すエンターテイメントになりえるということ。それこそが、THE FLAMING LIPSの表現の素晴らしさだと思う。

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